今回ご紹介する言葉は、故事成語の「一日の長(いちじつのちょう)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一日の長」をざっくり言うと……
読み方 | 一日の長(いちじつのちょう) |
---|---|
意味 | その道を極めている時間が長く、人よりも知識や経験が優れていること |
由来 | 孔子が弟子との問答の中で説いたこと |
類義語 | 亀の甲より年の功、老いたる馬は道を忘れず、医者と坊主は年寄りが良い |
英語訳 | one step ahead in ~、slight superiority in ~ |
「一日の長」の意味をスッキリ理解!
「一日の長」の意味を詳しく
「一日の長」とは、ある分野の物事に自分が携わっている時間が長く、人よりも知識や経験が優れていることを指します。原義は年齢が上であることがですが、転じて、ほんの少しだけ経験値が人よりも上であることを指すようになりました。
「一日の長」は、ある分野の物事の経験年数が長い人への尊敬の念を込めて使われる一方で、他者より経験のある自分の能力を謙遜する目的でも使われます。後者の場合、自分の能力が特段優れているわけではなく、ただ経験年数が物を言っているだけの話であるというニュアンスがあります。
「一日の長」の使い方
- サッカーのスキルにおいては彼に一日の長を認める。
- 私の技能が優れているのではなく、この道においては私に一日の長があるだけだ。
「一日の長」の由来
出典は中国の古書『論語』であるとされています。『論語』では、仁徳を重んじる儒教という教えの始祖である孔子という人物と、その弟子との問答が書き記されています。
その中で、孔子は弟子に、「吾一日爾より長ずるを以て、吾を以てすること毋れ(われいちにちなんじよりちょうずるをもって、われをもってすることなかれ)」と述べました。意味は、「私が君たちより年上だからと言って、(言いたいことを言うことを)遠慮することはない」です。
この発言における「一日爾より長ずる(いちにちなんじよりちょうずる)」の部分が「一日の長」という言葉として切り取られました。年長であることを指す言葉として使われ、ひいては知識や経験が人よりも優れていることを意味するようになったのでした。
「一日の長」の類義語
一日の長には以下のような類義語があります。
- 亀の甲より年の功:年長者の知識や経験は貴重であること
- 老いたる馬は道を忘れず:経験のある人は進むべき道を誤らないこと
- 医者と坊主は年寄りが良い:大事な仕事は経験のある人にさせた方が良いこと
「一日の長」の英語訳
一日の長を英語に訳すと、次のような表現になります。
- one step ahead in ~
~においては一段上にいる - slight superiority in ~
~においてはわずかに優れている
“slight superiority” に関しては、経験年数が人よりも長いだけで能力が特段優れているわけではないという意味で「わずかに優れている」と表現しています。
まとめ
以上、この記事では「一日の長」について解説しました。
読み方 | 一日の長(いちじつのちょう) |
---|---|
意味 | その道を極めている時間が長く、人よりも知識や経験が優れていること |
由来 | 孔子が弟子との問答の中で説いたこと |
類義語 | 亀の甲より年の功、老いたる馬は道を忘れず、医者と坊主は年寄りが良い |
英語訳 | one step ahead in ~、slight superiority in ~ |
「一日の長」は使い勝手の幅が広く、尊敬の意味でも謙遜の意味でも用いることが出来ます。意味や使い方等をきちんと押さえましょう。