今回ご紹介する言葉は、熟語の「腐心(ふしん)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「腐心」をざっくり言うと……
読み方 | 腐心(ふしん) |
---|---|
意味 | 物事を成し遂げようと、心を悩ますこと |
語源 | 心が腐るほど悩むことから |
類義語 | 苦心、苦慮、尽力 |
対義語 | 暢気、安閑、安気 |
英語訳 | fret(悩む) |
「腐心」の意味をスッキリ理解!
「腐心」の意味を詳しく
「腐心」とは、「物事を成し遂げようとして、心を悩ますこと」という意味です。字面から、「腐った心=悪い人格」のように誤解されやすいため注意しましょう。
「腐」という漢字には、「心を苦しめる」や「悩ます」といった意味があります。そこにさらに「心」という漢字が加わり、「心底悩んでいる」というさまを表しています。
そのため、「腐った心」ではなく、「心を腐らせるほど悩む」というのが正しい解釈です。「腐心」は、人の努力や気苦労を表現する際に使われます。
「腐心」の使い方
- 社員の教育に腐心する。
- 国際関係の修復に腐心する。
- あれほどまでに疲れ切って、先輩は相当腐心されたのですね。
「腐心」は、①や②のように「腐心する」のように使うことが多いです。
③のように、目上の人物の尽力を表現するために使うこともあります。しかし、「腐」という字のためあまり印象が良くありません。直接、「腐心されたのですね」と言うことは避けたほうが良いです。
「ふしん」と言うと、「不振」や「不審」など同じ読みの熟語が多々あるため、音だけでは誤解しやすいです。
また、「腐心」は昔から小説など書き言葉として使われてきました。そのため、書き言葉として使うほうが適切です。
「腐心」の語源
「腐」という漢字は、もともと食べ物などがいたむことを意味します。
組織などがいたみ、ボロボロになっていくさまが転じて、「心をいためる」という意味が含まれるようになりました。
「心をいためる」というのは、「あれこれ悩み、心が疲れる」という意味合いです。「同情する」という意味ではありません。
「腐心」の類義語
腐心には以下のような類義語があります。
- 呻吟(しんぎん):創作で、良いものを作るため苦労すること
- 尽力(じんりょく):あることを成すために努力すること
- 苦心(くしん):心を砕き、苦労すること
- 苦慮(くりょ):心配してあれこれ悩むこと
- 労苦(ろうく):心配したりして、努力をすること
「腐心」の対義語
腐心には以下のような対義語があります。
- 安閑(あんかん):気楽なさま
- 安気(あんき):心配がないさま
- 暢気(のんき):心配事や苦労がないさま
- 楽観(らっかん):全ての物事を良いように考えること
- 楽天(らくてん):明るい見通しや考えを持つこと
「腐心」の英語訳
腐心を英語に訳すと、次のような表現になります。
- fret
(悩む) - struggle
(努力する) - frazzle
(疲れさせる)
“fret” には、「悩む」や「イライラする」という意味があります。 “fret over(about)” で、「〜について悩む」という熟語になります。
“struggle” は、「苦労して取り組む」というニュアンスを持ちます。この単語は、年齢問わず日常的に使われています。
“I struggled a lot to be able to speak English.(英語を話せるようになるために、大変苦労しました)” のように使います。
“frazzle” は「非常に疲れる」という意味です。 “The problem frazzled his nerves away.(その問題は彼を腐心させた)” のように 、“nerves(神経)” という単語を加えて使いましょう。
まとめ
以上、この記事では「腐心」について解説しました。
読み方 | 腐心(ふしん) |
---|---|
意味 | 物事を成し遂げようと、心を悩ますこと |
語源 | 心が腐るほど悩むことから |
類義語 | 苦心、苦慮、尽力 |
対義語 | 暢気、安閑、安気 |
英語訳 | fret(悩む) |
「腐心」は、日常会話で使われる熟語ではありません。主に小説など、文章の中で使われます。その字面から、ニュアンスを履き違えやすいため、きちんと意味を理解しておきましょう。