故事成語「船に刻みて剣を求む」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「船に刻みて剣を求む(ふねにきざみてけんをもとむ)」です。

この故事成語の由来はとても間抜けな話ですが、生きていく上でとても示唆に富んだ話でもあります。ぜひ、言わんとするところを知っておきたいところです。

そこで、「船に刻みて剣を求む」の意味・由来・例文・類義語・英訳についてわかりやすく解説します。

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「船に刻みて剣を求む」の意味をスッキリ理解!

船に刻みて剣を求む:古い考えやしきたりにこだわり、時代の移り変わりに気づかないことのたとえ

「船に刻みて剣を求む」の意味を詳しく

「船に刻みて剣を求む」とは、古い考えやしきたりにこだわり、時代の移り変わりに気づかないことのたとえです。古い習わしにとらわれて、考え方を時代に合わせてアップデートできないことを戒める言葉です。

「舟(ふね)に刻(こく)して剣を求む」「船端(ふなばた)に刻(きざ)を付けて刀(かたな)を尋ねる」「剣を落として剣を刻む」と言うこともあります。

また、熟語の形で「刻舟(こくしゅう)」「「刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん)」と表記することもあります。

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「船に刻みて剣を求む」の由来

「船に刻みて剣を求む」の出典は、『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』の『察今(さっこん)』という篇です。『呂氏春秋』は、中国における秦(しん)の時代の百科事典のような書物です。

『呂氏春秋 察今』には、次のような記述があります。

『呂氏春秋 察今』
楚人(そひと)に江を渉(わた)る者有り。其の剣、舟中(しょうちゅう)より水に墜(お)つ。
(楚の国の人に、長江を渡った者がいた。彼が持っていた剣が、船から水中へ落ちた。)

遽(にわか)に其の舟に契(きざ)みて曰く、是(これ)吾が剣の従(よ)りて墜(お)ちし所なり、と。
(慌てて船に目印を刻んで言うには、「これが私の剣が落ちた場所の目印だ」とのことだ。)

舟止まる。其の契みし所の者より、水に入りて之を求む。
(船が止まった。彼は、船に刻んだ目印の場所から水に潜り、剣を探した。)

舟は已(すで)に行けり。而(しか)るに剣は行かず。
(船はもう進んでしまっている。しかし、剣は進んでいない。)

剣を求むること此(かく)のごときは、亦(また)惑いならずや。
(このようにして剣を探すというのは、なんと不合理なことではないか。)

進みゆく船に目印を付けたところで、剣を探す時に助けにはならないというのは、よく考えたら当たり前の話ですね。

以上の故事は、物事の実行には適したタイミングがあり、同じやり方の反復は継続して効果を生まないということを示唆しています。

当時の中国では、古代の政治を理想とし、その理想を手本とする儒家を批判した側面があります。

古い法律制度で国を治めるのは上の話と同じことだからです。時代が変わっているのに法律が変わらないままでは、国を治めるのが難しくなるのも当たり前だと言っているのです。

「船に刻みて剣を求む」の例文

  1. スポーツ科学を無視して根性論だけで取り組もうとするのは、船に刻みて剣を求むようなものだ。
  2. 時代が変わっても法律が変わらないのは船に刻みて剣を求むようなものだと、彼はしきりに言っている。
  3. 古い考えにこだわって変革を恐れるのは、船に刻みて剣を求むようなものだ。
③の内容を具体的に述べているのが①②であると言えるでしょう。

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「船に刻みて剣を求む」の類義語

「船に刻みて剣を求む」には以下のような類義語があります。

  • 株を守りて兎を待つ:古い習慣や成功事例にとらわれて、進歩がないさま。
「株を守りて兎を待つ」は、『韓非子(かんぴし)』の『五蠹(ごと)』という篇が出典です。以下のような故事が収められています。

 

中国における宋(そう)の時代に、あう農夫が、兎が切り株にぶつかって死亡するのを目撃しました。

その農夫は、同じような方法で兎を捕らえることができるのではないかと思い、農作業をよそに毎日切り株を見守り続けました。

しかし、兎を捕らえることは出来ず、偶然をあてにしたその農夫は国中の笑いものになったのでした。

 

以上の故事からわかるように、「株を守りて兎を待つ」は、切り株で兎を捕らえるという偶然の成功体験に縛られるように、古いやり方や過去の成功例にとらわれて考え方を改められないことを意味するようになりました。

ちなみに、「株を守りて兎を待つ」は、熟語の形で「守株(しゅしゅ)」や「守株待兎(しゅしゅたいと)」と表現することもあります。

「船に刻みて剣を求む」の英語訳

「船に刻みて剣を求む」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Foolish it is to ignore that times are changing.
    (時代が変わっていくのを無視するのは愚かなことだ)
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まとめ

以上、この記事では「船に刻みて剣を求む」について解説しました。

読み方 船に刻みて剣を求む(ふねにきざみてけんをもとむ)
意味 古い考えやしきたりにこだわり、時代の移り変わりに気づかないことのたとえ
由来 楚の国の人が移動する舟の上から剣を落としたのに、舟べりに刻んだ目印をもとに剣を探そうとしたことから
類義語 株を守りて兎を待つ
英語訳 Foolish it is to ignore that times are changing

「船に刻みて剣を求む」のはとても間抜けですが、現実にも似たようなことが起こっています。あの時のやり方こそがすべて、と思ってやり続けたものの、上手くいかなかった経験はありませんか?

その時その時に合わせて、考え方を柔軟に変えていけるようにしたいですね。

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