「本末転倒」の意味とは?使い方から英語や類語や対義語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「本末転倒(ほんまつてんとう)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「本末転倒」をざっくり言うと……

読み方本末転倒(ほんまつてんとう)
意味物事の大事な点でなく、重要ではない点を優先してしまうこと
由来本家と末端の立場が逆転してしまったこと
類義語主客転倒、釈根灌枝、舎本逐末など
対義語首尾一貫、終始一貫など
英語訳“put the cart before the horse” (馬の前に荷車を持ってくる)

「本末転倒」の意味をスッキリ理解!

本末転倒(ほんまつてんとう):物事の大事な点でなく、重要ではない点を優先してしまうこと

「本末転倒」の意味を詳しく


「本末転倒(ほんまつてんとう)」は「本来の目的を忘れてしまい、大して重要でない点に気を取られてしまう」という意味です。

「本末顛倒」と表記されることもあります。

「本末転倒」は、漢字ごとに分解すると意味がスッキリ理解できます。

「本末転倒」の漢字の意味
  • :重要なこと
  • :重要でないこと
  • :ひっくり返ること
  • :上下・位置が反対になること

「本末転倒」の漢字は「大事な部分と大事でない部分がひっくり返ってしまっている」という意味なのです。

「もとまつてんとう」とは読まない

「本末転倒」の読み方は「ほんまつてんとう」であり、「もとまつてんとう」とは読まないので注意しましょう。

「本末転倒」の使い方

  1. PTAは子供のために活動なのに、そのために家庭の時間が取られ過ぎてしまうのは本末転倒だ。
  2. 多くの人が、被災地で何が足りていないかを考えずに物資を送ったことで、現場のボランティアが大量の物資の処理をしている。まさに本末転倒といったとこだ。
  3. セール品を買い過ぎて出費がかさむなんて、本末転倒だ。

①の場合、「空いている時間で学校業務のお手伝いをすることで子供たちの役に立つこと」がPTAの本来の目的でした。

しかし、実態は「子供の面倒を見る時間すら削って、大量の仕事を長時間すること」となりました。

つまり、「子供のため」と「仕事をこなすこと」の優先順位がひっくり返っているのです。

 

②の場合、「被災地の役に立つこと」が本来の目的でした。

しかし、単純に物資を送れば良いと思ってしまったために「大量に届いた緊急性の薄い物資を処理するのに、ボランティアの人手が取られてしまうこと」となりました。

被災地の人を思っての行動が、結果的に困らせてしまっているのです。

③の場合、「買い物を安く済ませる」ためにセール品を買ったのに、逆に「余分に買い過ぎてしまう」という状況です。

「本末転倒」の由来

「本末転倒」の由来は、鎌倉時代にさかのぼります。

もともと仏教のお寺は天皇や貴族のためのものでした。

そして、一番力を持っている「本家」の寺院は天皇や貴族のおかげで力を維持できてました。

 

しかし、鎌倉時代になると仏教が庶民にも広く浸透していきました。

これにより、多くの庶民に支持された寺院はもともと「末端」であっても、「本家」よりも力を持つようになりました。

これにより、「本家」の寺院と「末端」の寺院の立場が逆転してしまったのです。

このことから「本来重要でなかった点の方が重視されてしまっている状況」を指すようになりました。

「本末転倒」の類義語

本末転倒には以下のような類義語があります。

  • 主客転倒(しゅかくてんとう):物事の重要性・優先順位がひっくり返ってしまうこと
  • 元も子もない:本来の目的などだけでなく、失う必要のないものまで失ってしまうこと
  • 釈根灌枝(しゃくこんかんし):本質を忘れ、ささいなことに気を散らしてしまうこと
  • 舎本逐末(しゃほんちくまつ):物事の重要でない部分に気を取られること
  • 冠履転倒(かんりてんとう):上下の順序が逆になっていること
  • 削足適履(さくそくてきり):重要なことと重要でないことを取り違えて無理に物事を行うこと

「本末転倒」と「主客転倒」の違い

「主客転倒」とは、物事の重要性や優先順位がひっくり返ることです。

「本末転倒」と「主客転倒」には以下のような違いがあります。

  • 本末転倒:重要なことを軽視して、ささいなことを重視すること
  • 主客転倒:重要なこととささいなことの力関係が逆転すること

つまり、「本末転倒」は「何を重視しているのか」というところに注目した言葉であり、「主客転倒」は「力関係が逆転している」というところに注目した言葉なのです。

また、「本末転倒」はネガティブな意味で使われることがほとんどです。

一方、「主客転倒」はネガティブな意味だけでなく、ポジティブな意味で使われることもあります。

「本末転倒」と「元も子もない」の違い

「元も子もない」とは、本来の目的だけでなく、失う必要のないものまで失ってしまうこと、という意味です。

「本末転倒」と「元も子もない」には以下のような違いがあります。

  • 本末転倒:重要なことを軽視して、ささいなことを重視すること
  • 元も子もない:何もかも失ってしまうこと

大きく意味が異なることがわかります。

しかし、「本末転倒」をした結果、「元も子もない」結果になることもあります。

「本末転倒」の対義語

本末転倒には以下のような対義語があります。

  • 首尾一貫(しゅびいっかん):全体を通して同じ方針を保っていること
  • 終始一貫(しゅうしいっかん):ひとつの態度が初めから終わりまで貫かれていること
  • 徹頭徹尾(てっとうてつび):最初から最後まで言動や態度が一致していること
  • 初志貫徹(しょしかんてつ):最初に決めたことを最後まで貫き通すこと
  • 脈絡通徹(みゃくらくつうてつ):最初から最後まで筋道が一貫していること

どちらも、「最初から最後まで一つのことに一貫していること」を意味しています。

本来の優先順位や目的を見失わないという点で、「本末転倒」とは正反対の意味ですね。

「本末転倒」の英語訳

本末転倒を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • put the cart before the horse
    (馬を持ってくる前に荷車を持ってくる)
  • misplace one’s priorities
    (優先順位を間違う)
  • not doing what one is supposed to do
    (すべきことをしていない)

まとめ

以上、この記事では「本末転倒」について解説しました。

読み方本末転倒(ほんまつてんとう)
意味物事の大事な点でなく、重要ではない点を優先してしまうこと
由来本家と末端の立場が逆転してしまったこと
類義語主客転倒、釈根灌枝、舎本逐末など
対義語首尾一貫、終始一貫など
英語訳“put the cart before the horse” (馬の前に荷車を持ってくる)

何かに集中していると、本来の目的を見失いがちです。

常に初心に戻って、自分の行動が「本末転倒」となっていないか注意したいものですね。