「辟易」の意味とは?読み方は?類語や英語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「辟易(へきえき)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「辟易」をざっくり言うと……

読み方辟易(へきえき)
意味尻込みすること。また、うんざりすること
語源「道を避けて、場所を変える」という原義から
類義語倦厭、食傷、閉口など
対義語堂々、感謝、恩恵など
英語訳flinch from(~に尻込みする), be bored with(~にうんざりする)など

「辟易」の意味をスッキリ理解!

辟易(へきえき):尻込みすること。また、うんざりすること。

「辟易」の意味を詳しく


「辟易」は「へきえき」と読みます。

「辟易」には、以下の2つの意味があります。

「辟易」の意味
  1. 相手の勢いに押されて尻込みする
  2. 迷惑に耐えかねてうんざりする

それぞれの意味を、「辟易」の漢字の成り立ちとともに詳しく見ていきましょう。

意味①:相手の勢いに押されて尻込みする

「辟易」の意味の1つ目は「相手の勢いに押されて尻込みする」です。

「凄い剣幕で怒鳴りつける先生に辟易した」というように、相手に圧倒されてたじろぐ様子を表します。

意味②:迷惑に耐えかねてうんざりする

「辟易」の意味の2つ目は「迷惑に耐えかねてうんざりする」です。

これは「相手の勢いに押されて尻込みする」という意味から派生した意味ですが、現在ではこちらの意味が主流です。

「彼の喧嘩っ早い性格には辟易する」というように、対象に嫌気がさすことを指します。

「辟易」の漢字の意味

「辟易」のそれぞれの漢字の意味は以下のとおりです。

  • :避ける、たじろぐ
  • :変える

これは「相手の勢いに押されて尻込みする」という意味にも通じますよね。

「辟易」の使い方

  1. 負けを知らないかのように堂々としている対戦相手のたたずまいに、私は辟易した。
  2. テストの成績に関する彼の自慢話に、周囲の生徒はいつも辟易する。
  3. 姉には幾度となく長時間の買い物に付き合わされ、辟易した。

上記の例文のように、「辟易」は「辟易する」という形で使われることが多いです。

 

①では、「尻込みする」という意味で「辟易」が使われています。

対戦相手の堂々とした態度に「私」がひるんでいる様を表現しています。

②と③では、「うんざりする」という意味で「辟易」が使われています。

②では彼の自慢話に、③では長時間の買い物に付き合うことに嫌気がさしていることを述べています。

「辟易な」は誤用

「辟易」は「辟易な人」などのように、形容詞として使うことはできないので注意が必要です。

「辟易とする」は誤用

「辟易とする」という表現は間違いなので注意が必要です。

「辟易」は気持ちを表す言葉です。

「辟易とする」にすると、「辟易と判断する」という意味になってしまうので、使うことができないのです。

「辟易」を物に使うことはできない

「辟易」は「辟易な建物」などのように、物に使うことはできないので注意が必要です。

「辟易」は人の気持ちを表す表現だからです。

「辟易」の語源

「辟易」という言葉の発端は、中国の歴史書『史記』にさかのぼります。

『史記』では「道を避けて、場所を変える」という意味で「辟易」が使われていました。

そこから意味が転じ、相手を恐れて尻込みすることを「辟易」と言うようになりました。

「辟易」の類義語

「辟易」の類義語は意味別に以下のとおりです。

「相手の勢いに押されて尻込みする」の意味の類義語
  • 足がすくむ:緊張や恐怖で足がこわばって、思うように動けなくなること
  • ひるむ:怖気づいて尻込みする
  • たじろぐ:威圧されて尻込みする
「迷惑に耐えかねてうんざりする」の意味の類義語
  • 倦厭(けんえん):飽きて嫌気がさすこと
  • 食傷(しょくしょう):同じことが続いてうんざりすること
  • 閉口(へいこう):手に負えなくてうんざりすること
  • うんざり:物事がつくづく嫌になること
  • 嫌気がさす:嫌な気持ちになること
  • 憂鬱(ゆううつ):気が晴れないこと

「辟易」と「閉口」の違い

「辟易」と「閉口」には以下のような違いがあります。

  • 辟易:「うんざり」というニュアンスが強い
  • 閉口:「手に負えなくて困る」というニュアンスが強い

また、「辟易」には「しりごみする」という意味もあり、「閉口」には「言葉に詰まる」という意味もある点も異なります。

「辟易」と「食傷」の違い

「辟易」と「食傷」には以下のような違いがあります。

  • 辟易:「起こったこと」に対しての嫌悪感を表す
  • 食傷:「続くこと」に対しての嫌悪感を表す

そのため、同じことが何度も続いて起こっている場合は、「食傷」という言葉を使うほうが適切です。

一方、1回だけ起こったことに対してうんざりしている場合は「辟易」を用いましょう。

「辟易」の対義語

「辟易」には意味別に以下のような対義語があります。

「相手の勢いに押されて尻込みする」の意味の対義語
  • 堂々:びくびくしておらず、威厳が感じられる様子
  • 勇敢:勇気があって危険を恐れないこと
「迷惑に耐えかねてうんざりする」の意味の対義語
  • 感謝:ありがたく思う気持ち
  • 恩恵:他人や自然から受けて、幸福・利益をもたらすもの
  • 好意:良い人だと思う気持ち
  • 興味:ある物事にひきつけられる気持ち

「辟易」の英語訳

「辟易」を英語にすると、意味別に以下のようになります。

「相手の勢いに押されて尻込みする」の意味の英語訳
  • flinch from~
    (~に尻込みする)
  • shrink from~
    (~に尻込みする)
  • wince at~
    (~に尻込みする)
「迷惑に耐えかねてうんざりする」の意味の英語訳
  • be bored with~
    (~にうんざりする)
  • be fed up with~
    (~にうんざりする)
  • be sick of~
    (~にうんざりする)
  • be tired of~
    (~にうんざりする)

「尻込みする」と「うんざりする」のそれぞれの意味ごとに英語訳を使い分けましょう。

以下、それぞれを用いた例文です。

例文
  • He did not flinch from his friend’s threatening air.
    (彼は、友人の恐ろしい剣幕にもひるまなかった)
  • My brother always shrinks from challenges.
    (弟はいつも困難に屈する)
  • I winced at her thought.
    (私は彼女の考えにたじろいだ)
  • I was bored with her bragging.
    (彼女の自慢話にはうんざりした)
  • We are fed up with our teacher’s long talk.
    (先生の長話には全員がうんざりしている)
  • I am sick of accompanying her shopping because it always takes a long time.
    (彼女の買い物はいつも長いから、付き添うのは嫌だ)
  • It seems that his father is tired of working overtime every day.
    (彼の父親は毎日の残業にうんざりしているようだ)

まとめ

以上、この記事では「辟易」について解説しました。

読み方辟易(へきえき)
意味尻込みすること。また、うんざりすること
語源「道を避けて、場所を変える」という原義から
類義語倦厭、食傷、閉口など
対義語堂々、感謝、恩恵など
英語訳flinch from(~に尻込みする), be bored with(~にうんざりする)など

「辟易」は、小説などで心理描写としてよく出てくる言葉です。

ぜひ、意味や使い方等を覚えてみてください。