故事成語「鬢糸茶烟の感」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「鬢糸茶烟の感(びんしさえんのかん)」です。

言葉の意味、例文、由来、類義語についてわかりやすく解説します。

☆「鬢糸茶烟の感」をざっくり言うと……

読み方鬢糸茶烟(びんしさえん)の感
意味穏やかで淡泊な老後を過ごすこと
由来杜牧の『題禅院』から
類義語晴耕雨読、光風霽月など

「鬢糸茶烟の感」の意味をスッキリ理解!

鬢糸茶烟の感(びんしさえんのかん):人が年老いてから淡泊な生活を送ること

「鬢糸茶烟の感」の意味を詳しく


「鬢糸茶烟の感」とは、若い頃の華やか日々を思い出しながら、淡泊で穏やかな暮らしをすることです。

ちなみに、「鬢糸」とは、髪の毛が薄く白くなることです。つまり老人の白髪を指します。

茶烟」とは、お茶を煎じるときに立ち上がる煙のことです。

「鬢糸茶烟の感」の例文

「鬢糸茶烟の感」は以下のように使うことができます。

  1. 若い頃は友人と街を荒らしていたが、今は田舎で鬢糸茶烟の感といった暮らしをしている。
  2. 昔は女性関係にだらしがなった私が、今年結婚 40 周年を迎えたのはまさに鬢糸茶烟の感だ。

昔と現在を対比させる時に、「鬢糸茶烟の感」を使うと良いでしょう。

「鬢糸茶烟の感」の由来

「鬢糸茶烟の感」の出典は杜牧(とぼく)の『題禅院』です。

杜牧の詩は以下の通りです。

こう船一棹百分空(せんいっとうひゃくぶんむな)し
十歳の青春公(こう)に負(そむ)かず
今日鬢糸禅榻(ぜんとう)の畔(ほとり)
茶烟軽くあがる落花の風

この詩を現代語訳にすると以下のようになります。

大量の酒を飲み干して、

私は青春の日々を本性のままに生きた。

今、髪の色は白くなり、寺院のこしかけに腰をおろしている。

茶を煮る煙が軽やかにゆらぎあがり、花びらが風に散り舞っているのを見つめている。

杜牧は中国、晩唐期の詩人です。杜牧はこの詩を 49 歳の時に書きました。今は年を老いたけど、自分の人生に悔いはない、という様子が伺えます。老後の穏やかな生活を楽しんでいる情景が思い浮かびます。杜牧は、このように哀愁の漂う詩を得意としました。

「鬢糸茶烟の感」の類義語

「鬢糸茶烟の感」には以下のような類義語があります。

  • 晴耕雨読:世間のわずらわしさを離れて心穏やかに暮らすこと
  • 光風霽月(こうふうせいげつ):穏やかで何のわだかまりもない様子
  • 安常処順:平和で穏やかな生活を暮らすこと

まとめ

以上、この記事では「鬢糸茶烟の感」について解説しました。

読み方鬢糸茶烟(びんしさえん)の感
意味穏やかで淡泊な老後を過ごすこと
由来杜牧の『題禅院』から
類義語晴耕雨読、光風霽月など

「鬢糸茶烟の感」は漢字も難しく、あまり馴染みのない故事成語かもしれません。しかし、この言葉は杜牧の実体験に基づく詩で、私達の日常生活でも使用することができます。ぜひ覚えてください!