「蓋然性」の意味や使い方を英語訳付きで解説|「可能性」との違い

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「蓋然性(がいぜんせい)」です。

「~する蓋然性が高い」などの表現を耳にしたことはないでしょうか。「可能性」という似ているニュアンスの言葉との違いが気になる方も多いでしょう。

以下では、「蓋然性」の意味・使い方・類義語・「可能性」との違い・対義語・英語訳について解説します。

☆「蓋然性」をざっくり言うと……

読み方蓋然性(がいぜんせい)
意味物事がそうなることについての確からしさの度合い
類義語可能性
対義語必然性
英語訳probability, be highly probable

「蓋然性」の意味をスッキリ理解!

蓋然性(がいぜんせい):物事がそうなることについての確からしさの度合い。数値で表現はしない。

「蓋然性」の意味を詳しく

「蓋然性」とは、物事がある結果になることに関して、「どの程度確からしいか」の度合いを指す言葉です。同じことを数値で表現する場合は「確率」となります。

イメージとしては、「必然性」と「偶然性」の中間に位置する概念です。「必然性」は 100%そうなることを、「偶然性」はそうなることの原因すべてを把握できないことを指します。

「蓋然性」は、物事の行きつく結果について、確からしい根拠と不確定要素を交えつつ、できるだけ客観的に分析する時の尺度です。

「蓋然性」の「蓋」は、「蓋(けだ)し」と訓読でき、強い確信を表す副詞として使われます。「然」は様子を表す字の後につくことで、前の字が表す状態であることを指します。つまり、「確からしい度合い」を表す言葉が「蓋然性」なのです。

法律用語としての「蓋然性」

「蓋然性」は、法律用語としても使われます。特に、特許権侵害に関する訴訟時に使われることが多いです。

その場合の「蓋然性」は、特許権を侵害されたという訴えについて、その事実があると疑うに足る理由が第三者の目にも明らかなことを指します。簡潔に言うと、訴えがもっともらしいものであることを「蓋然性が高い」と表現します。

会計の世界でも用いる「蓋然性」

会計の世界でも、引当金(ひきあてきん)の認識要件として「蓋然性」が定められています。

引当金とは、将来発生する損失や費用のことを前もって想定し、事前に当期の費用として計上しておく金額のことを言います。

引当金の認識要件として、「その金額が発生する可能性が高いこと」が定義されています。つまり、将来の損失に備えたその額が、ある程度の確からしさをもって発生することという意味です。「蓋然性」と言い換えられますね。

「蓋然性」の使い方

  1. 彼の努力量を思うと、合格する蓋然性は高いように思えた。
  2. 成績不振の彼がレギュラーメンバーに選ばれる蓋然性は低いだろう。
  3. 蓋然性合理主義に従えば、この投資案件は魅力的ではない。

①や②のように、「蓋然性」は高い・低いという言葉を伴って用いられることが多いです。

①では、彼がやってきた努力の量は、合格をある程度保証しているように思えたと述べています。

試験合格には、運などの不確定要素も絡むことから、合格確率を数値で出すことは出来ません。ただ、彼がやれること全力でやってきたことは事実であるため、他人よりも合格に近いだろうということを「蓋然性は高い」と表現しています。

②では、成績が振るわない彼がレギュラーメンバーとして選出されるとは考えにくいと言っています。絶対選ばれないとは明言できないながらも、「成績」という1つの指標から、ある程度の確からしさをもって未来を予測しているのです。

 

③の「蓋然性合理主義」は、主に株式投資における1つの考え方です。

その株式に関して、将来に期待されるリターンが高いか低いかを出気宇だけ客観的に判断した時、リターンが小さいと感じた際には投資しないというやり方です。つまり、株価の上昇・下降については、運などの不確定要素が含まれるため、明確な数字が出る確率ではなく「蓋然性」を用いています。

「蓋然性」の類義語

蓋然性には以下のような類義語があります。

  • 可能性:物事がそうなる見込み

「可能性」と「蓋然性」の違い

「可能性」と「蓋然性」は使い所が非常に似ていますが、ニュアンスには違いがあります。

「可能性」は、物事が起こりえるかどうか、という点から考える言葉です。そのため、ある・ないという言葉とともに使われることが多いです。

一方、「蓋然性」は、物事がそうなることに関して、確からしさがどの程度あるかを見る際に使う言葉です。そのため、「蓋然性」の焦点は、確からしさの度合いが高いのか低いのか、にあります。そのため、「蓋然性」は高い・低いといった言葉を伴うのです。

「蓋然性」の対義語

蓋然性には以下のような対義語があります。

  • 必然性:そうなる以外にありえないこと

「蓋然性」は、不確実ではありながらも、できるだけ客観的な情報から確からしさの度合いを出しています。つまり、できる限りの客観性と不確定要素が混じったものが「蓋然性」と考えてよいです。

一方、「必然性」は、100%そうなることを指すため、「偶然性」が一切絡まないのです。したがって、「偶然性」の有無によって「蓋然性」と「必然性」に明確な線が引かれるということです。

「蓋然性」の英語訳

蓋然性を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • probability
    (蓋然性)
  • be highly probable
    (蓋然性が高い)

それぞれを用いた例文は次の通りです。

例文
  • He told me about the high probability of my passing the test.
    (彼は、私がそのテストに合格する蓋然性が高いと言ってくれた。)
  • It is highly probable that he will be selected as a regular member.
    (彼がレギュラーメンバーとして選ばれる蓋然性は高い。)

ちなみに、「可能性」は英語で “possibility” と表現します。

まとめ

以上、この記事では「蓋然性」について解説しました。

読み方蓋然性(がいぜんせい)
意味物事がそうなることについての確からしさの度合い
類義語可能性
対義語必然性
英語訳probability, be highly probable

「蓋然性」は、その言葉自体を使ったことはなくても、「おそらくそうなるだろう」などと別の言葉で表現することはあるでしょう。ぜひ、「蓋然性」も表現のレパートリーの1つに加えてみてください。