今回ご紹介する言葉は、熟語の「昵懇」です。
言葉の意味・「昵懇衆」の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「昵懇」をざっくり言うと……
読み方 | 昵懇(じっこん) |
---|---|
意味 | 親しい関係で、互いに遠慮のない様子 |
「昵懇衆」の意味 | 「将軍が皇居に参上する際に、将軍に付き添った公家 |
語源 | 「打ち解ける」「馴染む」という意味の漢字 |
類義語 | 誼、厚誼、交誼、好誼、親密、友誼 |
対義語 | 疎遠、他人行儀、よそよそしい |
英語訳 | “familiarity” (昵懇・馴れ馴れしい) |
このページの目次
「昵懇」の意味をスッキリ理解!
「昵懇」の意味を詳しく
「昵懇」の意味は、「親しい関係で、互いに遠慮のないようす」です。
かしこまった小難しい言い方です。そのため、「親友」などの表現よりも、よそよそしい印象があるのも事実です。
日常生活での会話ではなく、ビジネスなどのかしこまった場面で形式的に使われる言葉です。プライベートで仲がいいというよりも、「仕事上で親しくしている」「ビジネスの関係が深い」というニュアンスで使われます。
一方、恋愛関係にある男女を表すときに「昵懇」を使う場合があります。
「昵懇衆」の意味
「昵懇」が付く言葉に、「昵懇衆(じっこんしゅう)」があります。
将軍が皇居に参上する際に、将軍に付き添った公家(くげ)やその家を意味します。
具体的には、「昵懇衆」の役割は以下のような内容がありました。
- 皇居の門前で将軍を出迎える
- 帰りの見送りをする
- 皇居内の移動に付き添う
- 皇居に行く際に必要な礼儀作法や知識教養を伝授する
- 将軍や大御所に年始の挨拶をする
「昵懇衆」は、将軍家と皇居をつなぐ重要な役割でした。また、「将軍家に親しい公家の者」という意味から「昵懇」という言葉が使われているとも考えられます。
「昵懇」の使い方
- 今後とも、ますます御昵懇に願います。
- 彼と私は古くからの昵懇の仲です。
- 社長とは、十年来昵懇にしていただいています。
「昵懇」は、➊のように「御」をつけてより丁寧な形で使われることがあります。➊の文章は「これからもいい関係を築いていきたいです」「これからも仲良くしてください」などの意味の文章です。
➋のように「昵懇の仲」という表現が非常によく使われます。
➌の「十年来昵懇にしている」という表現は、「十年以上前から交流のある親しい関係である」という意味です。
「昵懇」の語源
「昵懇」の漢字には、それぞれ以下のような意味があります。
- 昵:近づく・馴れる・馴染む
- 懇:互いに心がうちとけて親しい・誠がこもっていておろそかでない
「昵」が使われている他の熟語には、「なれ親しむこと・なれ親しんでいる相手の人」という意味の「昵近(じっきん)」があります。
「懇」は「互いに心がうちとけて親しい」「誠がこもっていておろそかでない」という一見矛盾しそうなふたつの意味があります。
「すでに打ち解けて親しい間柄であるが、お互いのことをおろそかにしていないいい関係」を表す言葉です。「懇」が使われる他の熟語には「懇談」や「懇意」があります。
ちなみに、「昵懇」は「入魂」という漢字表記をされることもあります。
「昵懇」の類義語
「昵懇」には以下のような類義語があります。
- 誼(よしみ)
- 厚誼(こうぎ)
- 交誼(こうぎ)
- 好誼(こうぎ)
- 親密
- 友誼(ゆうぎ)
- 懇意(こんい):親しく交際して、仲のよい間柄であること
どれも「親しい間柄」を表す言葉です。また、「親密」は、「男女の間柄」を表す際に使われることが多いです。
「昵懇」の対義語
「昵懇」には以下のような対義語があります。
- 疎遠:行き来や文通が絶えて、親密さに欠けること
- 他人行儀:親しい間柄であるのに疎遠な者どうしのようによそよそしく振る舞うこと
- よそよそしい:関係の深い人なのに、知らない人に対するような態度で接すること
「昵懇」の英語訳
「昵懇」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- familiarity
(昵懇・馴れ馴れしい)
まとめ
以上、この記事では「昵懇」について解説しました。
読み方 | 昵懇(じっこん) |
---|---|
意味 | 親しい関係で、互いに遠慮のない様子 |
「昵懇衆」の意味 | 「将軍が皇居に参上する際に、将軍に付き添った公家 |
語源 | 「打ち解ける」「馴染む」という意味の漢字 |
類義語 | 誼、厚誼、交誼、好誼、親密、友誼 |
対義語 | 疎遠、他人行儀、よそよそしい |
英語訳 | “familiarity” (昵懇・馴れ馴れしい) |
難しい漢字が使われていますが意味は単純なので、この機会に覚えてしまいましょう。