今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「ディストピア」です。
「ディストピア」の意味・使い方・語源・類義語・ディストピア小説についてわかりやすく解説します。
このページの目次
「ディストピア」の意味をスッキリ理解!
「ディストピア」の意味を詳しく
「ディストピア」とは、理想郷とは真逆の世界のことです。
ディストピアは、SFの世界観で主に登場します。希望が無く、徹底的な管理社会として描かれています。
ディストピアは、一見すると全ての人の平等が実現されており、紛争などの問題もない理想的な社会です。しかし、裏側を見ると社会形成のために徹底的な管理体制が敷かれており、国民の自由が大きく制限されています。
ディストピアとして描かれる社会には、以下のような特徴があります。
- 表現の自由が存在せず、国家にとって都合の悪い作品は全て焼却される。
- 指導者が国民を洗脳し、意にそぐわない者は強制的に弾圧される。
- DNAや血筋といった情報が全て国家に管理されている。
また、ディストピアと聞くと、戦争終了後のような荒廃した社会を思い浮かべる人が多くいます。しかし、そうした社会は一般的にポストアポカリプスと呼ばれる社会のことであり、ディストピアとは関係がありません。
「ディストピア」の使い方
- このコミュニティはまるでディストピアのようだ。
- 職場環境をディストピアにしないように気をつけていく必要がある。
ディストピアはSFの小説で使われることが多い表現であるため、日常生活で使われることはあまりありません。日常会話で使用する場合は上の例文のように、自分の望まない環境、自分にとって居心地の悪い場所を指して使うことがほとんどです。
「ディストピア」の語源
ディストピアの語源は古代ギリシア語です。ギリシア語で「無い」を意味する言葉と、「場所」を意味する言葉が組み合わさって作られたと考えられています。
また、ジョン・スチュアート・ミルが1868年に行った演説の中で初めてディストピアという表現が使われたとも考えられています。
「ディストピア」の類義語
ディストピアには以下のような類義語があります。
- カコトピア:理想郷の正反対の社会、「悪い、不道徳な」を意味する古代ギリシア語が元となって作られた言葉
- 反ユートピア:理想郷と真逆の世界
- 逆ユートピア:理想郷の対極にある概念
このほかにも、日本では暗黒郷や地獄郷といった呼び方も存在します。
ディストピア小説
ディストピアの世界観は、SF小説に登場することが多いです。そのため、SFのジャンルとしてディストピア小説というものがあります。
ディストピア小説では、諸問題を解決できなかった人類に待つ未来が主に描かれています。
ディストピア小説の代表作としては、以下のようなものがあります。
- 『消滅世界』 河出書房新社 著者:村田沙耶香
- 『一九八四年』 早川書房 著者:ジョージ・オーウェル
まとめ
以上、この記事では「ディストピア」について解説しました。
英語表記 | ディストピア(dystopia) |
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意味 | ユートピア(理想郷)の正反対の社会 |
語源 | 「無い」を意味する古代ギリシア語と「場所」を意味する古代ギリシア語の組み合わせ |
類義語 | カコトピア・反ユートピアなど |
このように、ディストピアとはSF小説内で使われることが多い表現です。日常で使うことはあまりありませんが、いざこの言葉を耳にした際に戸惑わないためにも、意味を正確に覚えましょう。