今回ご紹介する言葉は、熟語の「弾劾(だんがい)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「弾劾」をざっくり言うと……
読み方 | 弾劾(だんがい) |
---|---|
意味 | 地位のある人が犯した不正や罪を明らかにし、その責任を問うこと |
語源 | 「罪を暴き責めたてる」という意味を持つ「弾」と、「罪を調べ追及する」という意味を持つ「劾」という似た意味を持つ漢字を組み合わせた言葉 |
類義語 | 指弾、糾弾、論難など |
英語訳 | impeachment(弾劾) |
「弾劾」の意味をスッキリ理解!
「弾劾」の意味を詳しく
「弾劾」とは、地位のある人が犯した不正や罪を明らかにし、その責任を問うことを意味する言葉です。
ここでの地位のある人とは、法令によって強い身分保障を受けた公務員のことを指します。身分保障とは、本人の意思に反して身分を変動させることを制限することです。強い身分保障を受ける公務員として該当するのは、裁判官や大臣、首相、大統領などです。
つまり、裁判官や大臣などが不正や罪を犯した場合に、罪状を明らかにして責任を問うことが「弾劾」なのです。
似た意味の言葉に、「罷免(ひめん)」という言葉がありますが、「罷免」は、地位のある人を辞めさせるという意味を持つ言葉です。「弾劾」の手続きにおいて、当人を辞めさせるという処分を施すことが「罷免」であると言えます
日本における「弾劾」の対象
日本の「弾劾制度」の対象は、裁判官と人事官のみです。首相や大臣などに対する弾劾制度は日本にはありませんが、例えばアメリカでは、大統領を対象に「弾劾」することができます。弾劾される対象は国ごとに異なっているのです。
日本では、裁判官や人事官が、身分にふさわしくない行為(憲法違反の判決、犯罪行為など)をした場合に、「弾劾裁判」によって責任を問い、罷免するかどうかを判断するという手続きが踏まれます。
日本における弾劾裁判は、弾劾する対象によって担当の裁判所が異なります。対象が裁判官の場合は「裁判官弾劾裁判所」、人事官の場合は「最高裁判所」で行われます。
「弾劾」の使い方
- 不正を犯した裁判官の弾劾を申し立て、罷免を求める。
- 野党は犯罪行為をした大統領の弾劾を求めた。
➀の例文のように、「弾劾」は不正を明らかにして責任を問う手続きを指し、「罷免」は辞めさせることを意味します。
「弾劾」の語源
「弾劾」の語源は、その言葉そのものにあると言えます。
「弾」という漢字には、「罪を暴き責めたてる」という意味があります。また、「劾」という漢字には、「罪を調べ追及する」という意味があります。
つまり、「弾劾」は、以上のような似た意味を持つ漢字を組み合わせてできた言葉です。
「弾劾」の類義語
「弾劾」には以下のような類義語があります。
- 指弾(しだん):非難して排斥(はいせき)すること
- 糾弾(きゅうだん):罪や責任を問いただして咎(とが)めること
- 論難(ろんなん):相手の不正や誤りを論じ、非難すること
- 難論(なんろん):相手の非を論じなじること
- 非議・誹議(ひぎ):批判すること
「弾劾」の英語訳
「弾劾」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- impeachment
(弾劾) - accusation
(弾劾)
「弾劾する」という動詞の形は、それぞれ “impeach” ・ “accuse” です。
ちなみに、「弾劾裁判」は “impeachment trial” 、「弾劾裁判所」は “court of impeachment” と表します。
まとめ
以上、この記事では「弾劾」について解説しました。
読み方 | 弾劾(だんがい) |
---|---|
意味 | 地位のある人が犯した不正や罪を明らかにし、その責任を問うこと |
語源 | 「罪を暴き責めたてる」という意味を持つ「弾」と、「罪を調べ追及する」という意味を持つ「劾」という似た意味を持つ漢字を組み合わせた言葉 |
類義語 | 指弾、糾弾、論難など |
英語訳 | impeachment(弾劾) |
「弾劾」の意味や使い方など理解することはできたでしょうか。
「弾劾」自体は、首相や大臣などを含めた強い身分保障を受けた公務員を対象にしています。しかし、本文で触れたように、日本では「弾劾」の対象となるのは「裁判官」と「人事官」のみです。
国ごとの制度によって、首相や大臣など、誰に対しても使うことができるわけではないという点には注意が必要です。