「知行合一」の意味とは?使い方から英語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「知行合一(ちぎょうごういつ / ちこうごういつ)」です。

意味、由来、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「知行合一」をざっくり言うと……

読み方知行合一(ちぎょうごういつ / ちこうごういつ)
意味知ることと行動することは分けることができないということ
由来儒学の一派「陽明学」の考え方から
対義語「論語読みの論語知らず」
英語訳A mere scholar, a mere ass. (タダの学者は、タダのロバだ)

「知行合一」の意味をスッキリ理解!

知行合一知ることと行動することは同じで、分けることができないということ

「知行合一」の意味を詳しく

「知行合一」は、「知ることと行動することは同じである」という意味です。「知は行の始なり、行は知の成るなり」とも言います。

ただし、この言葉の意味は誤解されやすいので気をつけなければいけません。「知っていてもやらないのでは意味がない」という説明は、誤りなのです。

「知行合一」は、「知る(認識する)こと」と「行う(行動する)こと」は「分けることができない」と言っています。「知っている」のに「やっていない」という説明では、「知行」が分離してしまっています。ここに、間違いがあるのです。

 

では、「知行」が分けることができないとは、どういうことでしょうか。

よく使われるたとえを紹介しましょう。美しい色を見て、「この色は美しい色だ」と判断します。名前の知らない色でも、見た瞬間に判断を行うことができるのです。そして、判断ができるのであれば、その色の存在を知っていることになります。

「知」も「行」も、人間にもともと備わっている善悪を判断する能力から来ているというのが、「知行合一」の考え方なのです。

「知行合一」の使い方

  1. 知行合一というように、知らなくてもできていることを心配する必要はないだろう。
  2. 知行合一というように、できないということは知らないのと同然だ。
  3. 社長は知行合一を座右の銘に掲げ、新しいことをすぐに実践している。

「知行合一」の由来

「知行合一」は、儒教の考え方の一つです。明(ミン:日本では江戸時代)の時代にできた「陽明学」という儒学の一派が唱えた考え方が、知行合一なのです。

それまで、「先知後行」(知ってから行動できるようになる)という考えが主流でした。しかし、陽明学はそれに異を唱えます。従来の考え方は、知識を重んじすぎて、現実からかけ離れてしまう部分がありました。

そこで、人間のより根本的な心に焦点を当てることで、儒教に革新をもたらしました。

 

陽明学の教えは、江戸時代の日本にも持ち込まれます。幕府が勧めていたのは、従来の教えでした。そこに陽明学という新しい考え方が入ってきて、人々に大きな影響を与えます。

影響を受けた例として有名なのが、大塩平八郎です。大塩の乱(1837年)を起こしたきっかけの一つに、「知行合一」の教えがあったと言われています。

「知行合一」の対義語

「知行合一」には、以下のような対義語があります。

「知行合一」の英語訳

「知行合一」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • A mere scholar, a mere ass.
    (タダの学者は、タダのロバだ=色々と知っていても、実践しなくては意味がない)

まとめ

以上、この記事では「知行合一」について解説しました。

読み方知行合一(ちぎょうごういつ / ちこうごういつ)
意味知ることと行動することは分けることができないということ
由来儒学の一派「陽明学」の考え方から
対義語「論語読みの論語知らず」
英語訳A mere scholar, a mere ass. (タダの学者は、タダのロバだ)

江戸時代の日本人の考え方に影響を与えた「知行合一」。あらためて意味を考えてみることで、何かの参考になるかもしれません。