朴訥(ぼくとつ) は褒め言葉?意味や使い方・素朴や純朴との違い

言葉

朴訥とは「飾り気がなく、口数が少ないこと」という意味です。

朴訥を褒め言葉として使っても良いのか迷いますよね。

また、素朴や純朴との違いが知りたいという人も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では朴訥の意味や使い方、類義語や対義語に加えて、素朴や純朴との違いも詳しく解説します。

「朴訥」の意味

朴訥ぼくとつ

飾り気がなく、口数が少ないこと

例:彼はとても真面目で、朴訥な人物だ。

朴訥は以下の漢字から成り立っています。

  • :飾り気がない、素直
  • :話し上手でないさま

朴は元々、叩くと「ボクッ」と音がする厚い木の皮を表します。

↑朴の木
[出典:庭木図鑑 植木ペディア]

そこから、同音である「樸」と同じ意味「飾り気がない」として使われるようになりました。

訥は「言葉が内にこもる」と書く通り、「言葉が巧みではないこと」を表します。

つまり、朴訥は「飾り立てて格好つけることなく、ありのままでいること」を表すのです。

基本的には、人の飾らない素直さを褒める時に使われます。

「朴訥」の表記

朴訥は以下のように表記することもあります。

  • 木訥
  • 朴吶

「朴訥」の使い方

朴訥は、人物そのものや人の言動を表す時に使います。

朴訥の例文を見てみましょう。

例文
  1. 親爺は、朴訥で、真面目だった。
    [出典:黒島傳治『浮動する地価』]
  2. 彼はとても真面目で、朴訥な人物だ。
  3. 彼が異性に人気な理由は朴訥な性格にある。
  4. 朴訥な人が被害に遭いやすい事件だ。
  5. 写真に写っている人物は、朴訥とした表情だった。
  6. 受付の女性は、見るからに朴訥そうな人物だった。
  7. 担当医は朴訥感のある男性だった。

❼の朴訥感は、「飾り気がなく、無口な雰囲気」という意味です。

実際にそうではなくても、その人自身が「飾り気がなく、無口な雰囲気」を醸し出している時に使います。

「剛毅朴訥仁に近し」とは

朴訥を用いたことわざに「剛毅朴訥仁に近し」があります。

剛毅朴訥仁ごうきぼくとつじんちか

意思が強く飾り気のない人は、道徳の理想である「仁」に近い

剛毅は意志が強く諦めないこと、仁は人に対する思いやりや慈しみの心を表します。

つまり、意思が強く飾り気のない人は、儒教において、「人が守るべきである」とされる五徳のひとつである「仁」に近づけるという意味です。

「剛毅朴訥仁に近し」の出典は『論語』「子路(しろ)」です。

ちなみに、「剛毅朴訥仁に近し」の対義語であることわざは「巧言令色鮮し仁」です。

巧言令色鮮こうげんれいしょくすくなじん

口先だけで綺麗事を言い、人から好かれようと愛想を振りまく人は、「仁」が欠けている

巧言は言葉を飾ってうまく言うこと、令色は媚びへつらう顔を表します。

つまり、言葉がうまく誰にでも愛想を振りまく人は、儒教において、「人が守るべきである」とされる五徳のひとつである「仁」が欠けており徳がないという意味です。

「巧言令色鮮し仁」の出典は『論語』「学而(がくじ)」です。

故事成語「巧言令色鮮し仁」の意味と使い方|原文『論語』を交えて

「朴訥」の使い方の注意点

朴訥の使い方の注意点には以下のようなものがあります。

  1. 物事の性質は表さない
  2. 自分については使わない
  3. 褒め言葉だと思われないこともある

それぞれ見ていきましょう。

注意点①物事の性質は表さない

朴訥は、人物そのものや人の言動を表す言葉です

そのため、物事の性質などを表す時には使いません。

注意点②自分については使わない

朴訥は、他人について述べる時に使います

「私は朴訥な性格だ」など、自分については使わないため注意しましょう。

注意点③褒め言葉だと思われないこともある

朴訥と言われた時に、褒め言葉だと思わない人もいます

なぜなら、時代が変わるにつれ、「飾り気がなく無口であること」を良しと思わない人が多くなったからです。

昔の日本では、「飾り気がなく無口であること」が良しとされていたため、基本的に、朴訥は人の飾らない素直さを褒める時に使われていました。

しかし、現代では「飾り気がなく無口であること」が良いものではないと思う人も増えています。

 

そのため、「あなたは朴訥だね」と面と向かって言われても、褒め言葉だと思わずに不快な思いをする人もいますので、使う時には注意しましょう。

「朴訥」の類義語

朴訥には以下のような類義語があります。

  • 素朴(そぼく)
    ①飾り気がなく、ありのままであること
    ②自然のままであること
  • 純朴(じゅんぼく)
    飾り気がなく、裏表がないこと
  • 質朴(しつぼく)
    飾り気がなく、律儀なこと
  • 素直(すなお)
    ひねくれたところがなく、真っ直ぐなこと
  • 実直(じっちょく)
    誠実で真面目なこと
  • 質実(しつじつ)
    飾りけがなく、真面目なこと
  • 真率(しんそつ)
    飾りけがなく、真面目なこと
  • 地味
    華やかではなく目立たないこと
  • 寡黙(かもく)
    口数が少ないこと
  • 無口
    口数が少ないこと
  • 口下手(くちべた)
    話すのが不得意なこと
使い方には注意

朴訥の類義語である「地味」や「口下手」は、言われた人が不快になる可能性があります。

そのため、使う時には相手の気持ちをよく考えて使いましょう。

「朴訥」と「素朴」の違い

朴訥と素朴には以下のような違いがあります。

朴訥素朴
意味飾り気がなく、口数が少ないこと①飾り気がなく、ありのままであること
②自然のままであること
使う対象人物、人の言動人物以外にも使用可能

朴訥は人物そのものや人の言動を表す時にのみ使うのに対して、素朴は人物以外の物事を表す時にも使います。

また、朴訥と異なり、素朴は「自然のままであること」、つまり発展していないことも表すため、「素朴な疑問」などの使い方もします。

「朴訥」と「純朴」の違い

朴訥と純朴には以下のような違いがあります。

朴訥純朴
意味飾り気がなく、口数が少ないこと飾り気がなく、裏表がないこと
使う対象人物、人の言動心の様子

朴訥は人物そのものや人の言動を表す時にのみ使うのに対して、素朴は人物ではなく、心の様子を表す時に使います。

そのため、「朴訥な人」とは言っても「純朴な人」とは言いません。

また、「純朴な心の持ち主」とは言っても「朴訥な心の持ち主」とは言いません。

「朴訥」の対義語

朴訥には以下のような対義語があります。

  • 饒舌(じょうぜつ)
    やたらにしゃべること
  • 巧言(こうげん)
    口先だけでうまく言うこと
  • 軽薄(けいはく)
    ①言動が軽々しく、思慮深さや誠実さが感じられないこと
    ②お世辞
    ③物が軽くて薄いこと
  • 派手(はで)
    ①姿、形、色彩などが華やかで人目をひくこと
    ②態度や行動が大袈裟なこと
  • 大胆(だいたん)
    ①度胸があり、思い切りよくやってのけること
    ②図々しいこと

「朴訥」の英語訳

朴訥を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • unsophisticated
    (世慣れていない)
  • ruggedly honest
    (朴訥)
  • artless
    (ありのままの)
  • quiet
    (静かな)
  • shy
    (寡黙)
  • simplicity
    (質素)

「朴訥」の中国語

朴訥を中国語に訳すと、次のような表現になります。

  • 木讷
    朴訥
  • 朴俊
    純朴

「朴訥」のまとめ

以上、この記事では朴訥について解説しました。

読み方朴訥(ぼくとつ)
意味飾り気がなく、口数が少ないこと
類義語素朴
純朴
質朴 など
対義語饒舌
巧言
軽薄 など
英語訳unsophisticated
(世慣れていない)
ruggedly honest
(朴訥)
artless
(ありのままの) など
中国語木讷
朴俊

朴訥は、日常的に使われない漢字を使用した熟語です。

基本的には褒め言葉として使われますが、面と向かって言うと話下手のようなニュアンスを与えてしまうこともあるため、状況に応じて使いましょう。

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間山智賀
間山智賀
自称、誤字キラー。 Web記事でも誤字脱字を見逃しません。言葉が大好きです。 大学では言葉遊びについて研究していました。マイブームは日本語ラップを聴くこと。