今回ご紹介する言葉は、熟語の「朴訥(ぼくとつ)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
「朴訥」の意味をスッキリ理解!
「朴訥」の意味を詳しく
朴訥は、「飾り気がなく、口数が少ないさま」という意味があります。主に人柄について用いる言葉です。
それぞれの漢字の意味は、以下の通りです。
- 朴:素直、飾り気がない
- 訥:話し上手でないさま
「朴」は、もとも、叩くと「ボクッ」と音がする厚い木の皮を意味していました。そこから、同音の「樸」と同義扱いされるようになりました。「樸」は、飾り気がないという意味です、
また、「訥」は「言葉が内にこもること」と書く通り、「言葉が巧みではない様子」を表す漢字です。「口下手」「口ごもる」といった意味があります。
以上2つの漢字が合わさった「朴訥」は、飾り立ててかっこつけることなく、ありのままでいることを意味します。基本的には、他人の飾らない素直さを、良いことだとして褒める時に使われます。
ちなみに、「朴訥」は「木訥」や「朴吶」とも表記します。
「朴訥」の使い方
- 彼はとても真面目で、朴訥な人物だ。
- 受付の女性は、見るからに朴訥そうな人物だった。
- 剛毅朴訥仁に近し。
朴訥は、人柄や人の言動について使う言葉です。そのため、物事の性質などを表現する時に用いることはできません。
①と②のように、「朴訥」は他人の人柄を表する時に用いられます。自分について「朴訥だ」などとは表現しないため注意しましょう。
ただ、面と向かって「あなたは朴訥だね」といった使い方をすると、言われた方は「飾り気がない」、つまり「地味である」と受け取ってしまうこともあります。そのため、使い方には注意しましょう。
③は、『論語』に登場する言葉です。「剛毅朴訥」とは、簡単にはくじけず、それでいて素直なことを意味します。『論語』では、剛毅朴訥な人が、道徳的に理想とされる人格者に最も近いとされました。
「朴訥」の類義語
朴訥には以下のような類義語があります。
- 素朴(そぼく):飾り気がなく、ありのままであること。また、自然のままであること
- 純朴(じゅんぼく):飾り気がなく、素直なこと。また、裏表がないこと
- 質朴(しつぼく):飾り気がなく、律儀なさま
- 素直(すなお):ひねくれたところがなく、真っ直ぐなさま
「素朴」は、「素朴な味」など、人柄以外にも用いられます。また、「素朴な疑問」のように、そこまで深く考えが至っていないという意味でも使われます。
「純朴」は、心のあり方を言った言葉であり、他人の態度を表現する時には使われません。
「朴訥」の対義語
朴訥には以下のような対義語があります。
- 饒舌(じょうぜつ):やたらにしゃべること
- 巧言(こうげん):口先だけでうまく言うこと
- 軽薄(けいはく):言葉や態度が軽々しく、思慮深さや誠実さが感じられないこと
- 派手(はで):姿、形、色彩などが華やかで人目をひくこと。また、態度や行動が大袈裟なこと
- 大胆(だいたん):度胸がすわっていて、思い切りよくやってのけること。また、図々しいこと
「朴訥」の英語訳
朴訥を英語に訳すと、次のような表現になります。
- unsophisticated
(世慣れていない、素朴な) - ruggedly honest
(朴訥) - artless
(素朴な)
“ruggedly” は、「飾り気がなく」や「垢ぬけずに」という意味です。また、 “honest” は「正直な」という意味です。
まとめ
以上、この記事では「朴訥」について解説しました。
読み方 | 朴訥(ぼくとつ) |
---|---|
意味 | 飾り気がなく、口数が少ないこと |
類義語 | 素朴、実直、寡黙など |
対義語 | 饒舌、軽薄、大胆など |
英語訳 | unsophisticated(素朴な), ruggedly honest(朴訥)など |
朴訥は、日常的に使われない漢字を使用した熟語です。基本的には素直さを評価する言葉ですが、面と向かって言うと話下手のようなニュアンスを与えてしまいかねないため、意味をきちんと理解して、正しく使えるようにしましょう。