ベネフィットとは「利益・恩恵」という意味です。
英単語としても馴染みがある言葉ですが、複数の分野で使われる専門的な意味は知らない人も多いでしょう。
この記事では、ベネフィットの分野ごとの意味まで詳しく解説します。
☆「ベネフィット」をざっくり言うと……
英語表記 | ベネフィット(benefit) |
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意味 | 利益・恩恵・援助 |
語源 | 「良い行い」という意味のラテン語 “benefactutum” |
類義語 | メリット プラスなど |
対義語 | ディスアドバンテージ ダメージなど |
このページの目次
「ベネフィット」の意味
利益・恩恵・援助
例:最後までベネフィットを追求したい。
ベネフィットには利益や恩恵、援助という意味があります。
「事業などをして得るもうけ」という意味の利益、「得られる恵み」という意味の恩恵の他、それらを生み出すような援助という意味で使われることもあるのです。
「ベネフィット」の分野ごとの意味
ベネフィットは、以下のような分野でより限定的な意味として使われます。
- マーケティング
- 医療
- 行政
それぞれの分野ごとの意味について詳しく解説します。
分野➀:マーケティング
マーケティングにおけるベネフィットとは、顧客が商品を買うことによって受け取ることのできるメリットのことです。
たとえば、以下のような例がマーケティングにおけるベネフィットになります。
- リニアモーターカー
移動時間が短縮できる - ビジネス書
ビジネスで役立つ知識や考え方を学ぶことができる
ベネフィットの基本的な意味に含まれる利益は、企業側の儲けのことを表しますが、マーケティングの分野では消費者側が受け取ることのできるメリットを表すのです。
両者は似ているようで、正反対の対象のことを表すので注意が必要ですね。
分野➁:医療
医療におけるベネフィットとは、「医薬品で得られる効果や安全性」のことです。
たとえば、薬では以下のようなベネフィットを得られます。
- 解熱剤
体温が下がり、頭痛などの症状が改善される - 鼻炎薬
鼻詰まりが改善される
上記の例では薬の効能を挙げていますが、医療におけるベネフィットは「薬の安全性」という意味で使われることもあります。
たとえば、「薬のベネフィットが保証されている」と言うときは、「薬の安全性が公的に保証されている」という意味になります。
分野➂:行政
行政におけるベネフィットとは、「公共事業によって得られる利益」を表します。
ここで言う利益とは、売り上げなどの金銭的な利益ではなく、大きな意味での得られるメリットを指します。
たとえば、公共事業として堤防を作ると以下のようなベネフィットを生み出すことができます。
- 川の氾濫を防ぐ
- 雇用の創出
公共事業を行うと、その事業に関わる労働者を雇う必要が生まれます。
そのため、社会全体の中で雇用が新しく生まれるというメリットを生み出すこともできるのです。
つまり、公共事業では「川の氾濫を防ぐ」などのメインの目的以外にも雇用の創出というベネフィットが得られるのです。
行政では、公共事業のベネフィットと、公共事業でかかる費用を分析することで、公共事業のコストパフォーマンスを考えます。
「ベネフィット」の分類
ベネフィットは、以下のように大きく3種類に分けることができます。
- ファンクショナル・ベネフィット
その商品やサービスから直接得られる、便利さ、効率性などのベネフィットのこと - エモーショナル・ベネフィット
その商品やサービスが満たしてくれる、優越感、名誉などの感情のこと - 自己表現・ベネフィット
商品やサービスなどにより、可能となる自己表現・自己実現
つまり、ファンクショナル・ベネフィットは商品やサービスの機能的な部分で得られるメリットで、エモーショナル・ベネフィットは商品やサービスがもたらす感情的なメリットを表すのです。
自己表現ベネフィットは、エモーショナル・ベネフィットの一部として考えられることも多いです。
ひとつの商品やサービスでも、ファンクショナル・ベネフィットとエモーショナル・ベネフィットを持ち合わせることがあります。
たとえば、ブランド物のバッグを購入したときのファンクショナル・ベネフィットとエモーショナル・ベネフィットは以下のようになります。
- ファンクショナル・ベネフィット
大容量の収納力や大量のポケットによって荷物を小分けにできるメリット - エモーショナル・ベネフィット
優れたデザインによる気分の高揚やブランド性で感じられる優越感
上記のようなブランド品では、エモーショナル・ベネフィットを求めて購入する人が多いため、企業側のエモーショナル・ベネフィットを強調したプロモーションを行います。
一方で、料理グッズや掃除道具などの生活用品では、ファンクショナル・ベネフィットを求めて購入する人が多いため、企業側もファンクショナル・ベネフィットを強調するのです。
ひとつの商品でも、顧客がファンクショナル・ベネフィットとエモーショナル・ベネフィットのどちらを重視するのかが異なる場合もあります。
「ベネフィット」の使い方
ベネフィットは、以下のような形で使われることが多いです。
- ベネフィットを得る
- ベネフィットになる
- ベネフィットが大きい・小さい
上記を踏まえて、実際の例文を見ていきましょう。
- 企業としてベネフィットが得られないなら、この事業は撤退だ。
- あの企業のベネフィットは非常に大きいらしい。
- 新作のゲームは、ベネフィットが弱いので購入を見送った。
- 新薬は、ベネフィットが明確になっていない。
➀と➁のベネフィットは「事業から得られる利益」という意味で使われています。
➂のベネフィットは、マーケティングの分野における「顧客が商品から得られるメリット」という意味で使われています。
➃のベネフィットは、医療の分野における「医薬品の効能」という意味で使われています。
上記からもわかるようにベネフィットは名詞として使用します。
そのため、「ベネフィットする」などのように動詞化した使い方はできないので注意しましょう。
「ベネフィット」の語源
ベネフィットの語源はラテン語の “benefactutum” です。
“benefactutum” は以下のような意味を持つ単語です。
- bene
良い - facere
行い・行う
つまり、 “benefactutum” は「よい行い」という意味の単語なのです。
“benefactutum” は特に「価値基準に沿ってよいと思うことをする」という意味で使われていました。
ここから、カタカナ語のベネフィットと同じ意味の英単語 “benefit” が生まれました。
“benefit” には具体的に以下のような意味があります。
- 利益
- ためになること
- 給付手当
- 税の免除(アメリカ英語)
「ベネフィット」の類義語
ベネフィットには以下のような類義語があります。
- メリット
よい点、長所 - プラス
得 - アドバンテージ
優位性 - プロフィット
利益、もうけ
「ベネフィット」と「メリット」の違い
ベネフィットとメリットには以下のような違いがあります。
- ベネフィット
商品やサービスの良い特徴から受けられる恩恵のこと - メリット
商品やサービスの良い特徴のこと
つまり、メリットから受けられる恩恵がベネフィットなのです。
たとえば、あるノートPCのメリットとベネフィットは以下のようになります。
- ベネフィット
持ち運びに便利・扱いやすい - メリット
本体が700gで軽量
つまり、メリットは事実で、ベネフィットはその事実から感じられる心地よさや使用感を表すのです。
「ベネフィット」と「アドバンテージ」の違い
アドバンテージは「優位性」という意味の言葉です。
つまり、「これは○○に比べて優れている」という意味合いになるので、アドバンテージを言うときは比較対象が必要になります。
それに対してベネフィットは、比較対象が必要ではありません。
「ベネフィット」と「プロフィット」の違い
ベネフィットとプロフィットには以下のような違いがあります。
- ベネフィット
金銭以外にも得られるさまざまな利益 - プロフィット
金銭的に得られる利益
つまり、プロフィットはベネフィットの中でも特に金銭的なメリットを限定して表す言葉なのです。
「ベネフィット」の対義語
ベネフィットには以下のような対義語があります。
- ディスアドバンテージ
不利益 - ダメージ
損害 - ロス
損失 - リスク
危険性のこと
リスクは、「医薬品の安全性」という意味のベネフィットの対義語になります。
「ベネフィット」の関連語
ベネフィットには以下のような関連語があります。
- フリンジ・ベネフィット
企業が従業員に対して給与以外に提供する経済的利益 - ベネフィットコンサート
金銭的援助を受けるために開催されるコンサートのこと
「フリンジ・ベネフィット」の意味
フリンジ・ベネフィットとは、企業などが、従業員に対して賃金・給与以外の形で提供する経済的利益のことです。
たとえば、以下のようなものがフリンジ・ベネフィットに含まれると言われています。
- 通勤手当
- 家賃補助
- 社員旅行
ただし、何がフリンジ・ベネフィットに含まれるのかという明確な定義があるわけではありません。
そのため、欧米と日本といった地域ごとでフリンジ・ベネフィットの捉え方が異なるとされています。
「ベネフィットコンサート」の意味
ベネフィットコンサートとは、金銭的援助を受けるために開催されるコンサートのことです。
主に慈善事業などを行う団体が、活動資金を得るために経営者などの富裕層や企業を招いて音楽コンサートやスピーチなどを行います。
「ベネフィット」のその他の意味
ベネフィットは、以下のように固有名詞として使われることがあります。
- ベネフィットステーション
企業などの福利厚生のパッケージサービス - 株式会社ベネフィット・ワン
企業などの福利厚生業務ベネフィット・ステーションの運営を行う企業 - 株式会社JTBベネフィット
東京都江東区に本社を置くJTBグループ企業 - 株式会社トータルベネフィット
東京都港区東麻布に本社を持つ日本の芸能事務所 - ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト
ビートルズの楽曲名 - アーバンベネフィット株式会社
中小零細・中堅企業の企業再生を支援する業務を行う企業
「ベネフィット」のまとめ
以上、この記事ではベネフィットについて解説しました。
英語表記 | ベネフィット(benefit) |
---|---|
意味 | 利益・恩恵・援助 |
語源 | 「良い行い」という意味のラテン語 “benefactutum” |
類義語 | メリット プラスなど |
対義語 | ディスアドバンテージ ダメージなど |
ベネフィットにはさまざまな意味があることがわかりましたね。