今回ご紹介する言葉は、ことわざの「明日(あした)は明日の風が吹く」です。
言葉の意味や使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「明日は明日の風が吹く」をざっくり言うと……
読み方 | 明日(あした)は明日(あした)の風が吹く |
---|---|
意味 | 先のことを案じずに、成り行きに身を任せていくのがよいこと |
由来 | 昭和時代の講談や落語の言い回しを由来とする説と、『風と共に去りぬ』の名セリフを由来とする説がある |
類義語 | 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり、明日のことは明日案じよ、明日は明日今日は今日など |
対義語 | 明日知らぬ世、明日ありと思う心の仇桜、明日食う塩辛に今日から水を飲む |
英語訳 | Tomorrow is another day.(明日は明日の風が吹く。) |
このページの目次
「明日は明日の風が吹く」の意味をスッキリ理解!
「明日は明日の風が吹く」の意味を詳しく
「明日は明日の風が吹く」は、先のことを案じるのではなく、成り行きに身を任せていくのがよいということを意味することわざです。
このことわざは基本的にポジティブな意味合いで用いられます。具体的にどのような意味合いで用いられるのかをいくつかご紹介します。
まず一つは、今日何か良くないことが起きても、明日はまた別のことが起こるから今日のことはいつまでも引きずらずに前に進もうという意味合いです。簡単に言い換えると、「切り替えて明日に期待しよう」となります。
二つ目は、明日になれば今日の心配や不安は取り越し苦労に終わるという意味合いです。簡単に言い換えると、「今日のことをいつまでも考えても無駄だ」となります。
他にも、「物事は何とかなる」といった一種の開き直りの意味合いや、「成り行きに身を任せるべきだ」といった助言の意味合いがあります。
「明日は明日の風が吹く」は、助言や励ましに広く用いられることわざです。
日々新しいものが生まれ、目まぐるしいスピードで変化する現代においては、今日と明日は全く同じことが起こるという論理は成り立ちににくいと言えます。その意味では、「明日は明日の風が吹く」ということわざは現代の時代背景にマッチしたことわざであると言えます。
「明日は明日の風が吹く」の使い方
- 今日は電車の遅延に巻き込まれたり上司に怒られたりとついてない。明日は明日の風が吹くの精神で頑張ろう。
- 明日は明日の風が吹くというように、今はくよくよ考えても意味は無い。
- そんなに落ち込まないで。明日は明日の風が吹くよ。
➂の例文は、他者を励ます意味合いで「明日は明日の風が吹く」が用いられています。
「明日は明日の風が吹く」の由来
「明日は明日の風が吹く」の由来には二つの説があります。
一つは、講談(こうだん)や落語の言い回しを由来とする説です。昭和時代の初期に、講談や落語の中で「明日は明日の風が吹く」という言い回しが取り入れられたと言われています。
それが、次第にことわざとして確立して、使われるようになったというのが一つ目の説です。
二つ目は、マーガレット・ミッチェルの長編小説である『風と共に去りぬ』( “Gone With the Wind” )の名セリフを由来とする説です。主人公のスカーレット・オハラが物語の最後に言ったセリフが、Tomorrow is another day. でした。
Tomorrow is another day. は、直訳だと「明日はまた別の日」です。しかし、それが次第に「明日は明日の風が吹く」と訳され、ことわざへと変化していきました。その結果、現在のように使われるようになったというのが二つ目の説です。
現在でも Tomorrow is another day. は、一般的に「明日は明日の風が吹く」と訳されます。ちなみに、このセリフも、小説が映画化したことによって一躍有名になりました。
「明日は明日の風が吹く」の類義語
「明日は明日の風が吹く」には以下のような類義語があります。
- 沈む瀬(せ)あれば浮かぶ瀬あり:長い人生のうちには悪い時もあれば良い時もあるということ
- 明日のことは明日案じよ:明日は何が起こるか何も分からないから今日から心配しても意味が無いということ
- 明日は明日、今日は今日:先のことを心配するのではなく、目の前のことを大切にして過ごすべきだということ
- 明日はまだ手つかず:明日がまだあるのだから慌てる必要はないということ
- 明日は明日の神が守る:明日は明日で何とかなるから、今日から心配する必要はないということ
- 明日は明日自身が何とかする:明日は明日で何とかなるから、今日から心配する必要はないということ
- 明日のことは明日自らが思い煩(わずら)わん:明日の心配は明日に任せよということ
「明日は明日の風が吹く」の対義語
「明日は明日の風が吹く」には以下のような対義語があります。
- 明日知らぬ世(よ):今日無事に過ごすことができたとしても明日はどうなるか分からないということ
- 明日ありと思う心の仇桜(あだざくら):明日はどうなるかわからないという世の無常を説いた戒めのこと
- 明日食う塩辛に今日から水を飲む:手回しが良すぎてかえって無意味であること
「明日は明日の風が吹く」の英語訳
「明日は明日の風が吹く」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Tomorrow is another day.
(明日は明日の風が吹く。) - Let the morn come and the meat with it.
(明日は明日の食物を持ってくる。) - Tomorrow never knows.
(明日のことは全く分からない。)
まとめ
以上、この記事では「明日は明日の風が吹く」について解説しました。
読み方 | 明日(あした)は明日(あした)の風が吹く |
---|---|
意味 | 先のことを案じずに、成り行きに身を任せていくのがよいこと |
由来 | 昭和時代の講談や落語の言い回しを由来とする説と、『風と共に去りぬ』の名セリフを由来とする説がある |
類義語 | 沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり、明日のことは明日案じよ、明日は明日今日は今日など |
対義語 | 明日知らぬ世、明日ありと思う心の仇桜、明日食う塩辛に今日から水を飲む |
英語訳 | Tomorrow is another day.(明日は明日の風が吹く。) |
「明日は明日の風が吹く」の意味や使い方など理解することはできたでしょうか。今日はどんなに辛い日でも明日は全く別の日になるという、非常に前向きなことわざであり、助言や励まし、座右(ざゆう)の銘(めい)として多く用いられます。
また、由来は複数ありますが、小説・映画の名セリフを由来とするのは、ことわざの中では珍しいです。意味を覚えにくいことわざも、由来まで調べてみると興味を持つことができるかもしれません。
ぜひ、何かに詰まったときや、失敗したときは、「明日は明日の風が吹く」ということわざを思い出してみてください。抱えていたストレスもすっきりするかもしれません。