ことわざ「明日ありと思う心の仇桜」の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「明日ありと思う心の仇桜(あだざくら)」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

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「明日ありと思う心の仇桜」の意味をスッキリ理解!

明日ありと思う心の仇桜(あだざくら):儚い桜の花のように、人の世も明日はどうなるかわからないということ

「明日ありと思う心の仇桜」の意味を詳しく


「明日ありと思う心の仇桜」は、すぐに散ってしまう桜の花のように、人の世も明日はどうなるかわからないということを意味することわざです。「無常」「世の中のはかなさ」といった言葉に言い換えることができます。

また、今日できることを明日に先延ばしにしていると、結局機会を逃してしまうという意味もあります。つまり「今できることは今やれ」という戒めでもあります。

 

親鸞(しんらん)上人(しょうにん)が詠んだ短歌の一部が、そのままことわざになりました。下の句は「夜半(よわ)に嵐(あらし)の吹かぬものかは」と続きます。そのため、ことわざ自体も、五・七・五の計17文字になっています。

「仇桜」とは、散りやすい桜の花のことです。つまり、元の短歌である「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」は、明日はまだ桜の花が残っているだろうと思っていると、夜中に風が吹いて散ってしまうかもしれない、ということを表現しています。

一般的なのは「仇桜」という表記ですが、「徒桜」と書くこともあります。

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「明日ありと思う心の仇桜」の使い方

  1. ワンマン社長が一代で築き上げた大会社だったが、社長の体調不良とともに売り上げが急落した。明日ありと思う心の仇桜と言わんばかりに経営が傾いた。
  2. 彼は、一時は国を完全に支配していた。しかし、明日ありと思う心の仇桜で、彼は権力をみるみるうちに失っていった。
  3. 今日は体が疲れているし、明日は時間に余裕がある。しかし、明日ありと思う心の仇桜だ。今できることは今やろう。

➀と➁の例文は、「明日はどうなるか分からない」という意味で、「明日ありと思う心の仇桜」を使っています。

一方、➂の例文は、「今日できることを先延ばしにすると、結局機会を逃してしまう」という意味で「明日ありと思う心の仇桜」を使っています。

「明日ありと思う心の仇桜」の由来

「明日ありと思う心の仇桜」の由来は、『親鸞上人絵詞(えことば)伝』にある親鸞上人のエピソードです。

親鸞上人は、仏教の浄土真宗(※1)開いた鎌倉時代の僧です。一般的には、親鸞と呼ばれます。

 

親鸞上人は、幼くして両親を亡くします。そして、仏門に入り、僧侶になることを、9歳にして決意します。そのためには、僧侶になるための儀式として、髪の毛を剃る必要がありました。

ところが、親鸞上人が寺院に着いたのは夜でした。そのため、周囲の人は「今日は時間が遅いから、明日の朝になったら儀式をしましょう」と言いました。しかし、親鸞上人は次の歌を詠みました。

明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは

この短歌には、「桜の花が簡単に散るように、自分の命も明日の朝になったらどうなっているか分からない。だからこそ、今すぐ髪を剃ってほしい。」という思いが込められています。つまり、親鸞上人は、自分の命を桜の花びらにたとえた短歌を詠んだのです。

このエピソードが元となり、「明日ありと思う心の仇桜」ということわざができました。

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「明日ありと思う心の仇桜」の類義語

「明日ありと思う心の仇桜」には以下のような類義語があります。

  • 朝(あした)に紅顔(こうがん)ありて夕べに白骨(はっこつ)となる:人の生死は予測できないということ
  • 諸行無常:この世のあらゆるものは常に変化し、永遠ではないということ
  • 無常迅速:世の中の移り変わりが非常に速いこと
  • 世の中は三日見ぬ間(ま)の桜かな:世の中の移り変わりが非常に速いこと

「明日ありと思う心の仇桜」の対義語

「明日ありと思う心の仇桜」には以下のような対義語があります。

  • 明日は明日の風が吹く:先のことは考え過ぎず、成り行きに任せた方が良いということ
  • 明日のことは明日案じよ:明日どうなるかは分からないから、考えても仕方がないということ
  • 明日はまだ手つかず:明日は必ず来るのだから、慌てる必要はないということ
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「明日ありと思う心の仇桜」の英語訳

「明日ありと思う心の仇桜」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Never put off till tomorrow what you can do today.
    (今日出来ることは、明日まで延ばすな。)
  • Nothing is permanent.
    (永遠なものは何もない。)
  • The impermanence of worldly things
    (この世のものの非永久性)

1つ目の英文は、 「今日できることを先延ばしにすると、結局機会を逃してしまう」という意味に対応しています。

一方、2つ目・3つ目の英文は、「明日はどうなるか分からない」という意味に対応しています。

まとめ

以上、この記事では「明日ありと思う心の仇桜」について解説しました。

読み方 明日ありと思う心の仇桜(あだざくら)
意味 人の世も明日はどうなるかわからないということ
由来 親鸞上人が出家する時に詠んだ短歌から
類義語 朝に紅顔ありて夕べに白骨となる、諸行無常、無常迅速など
対義語 明日は明日の風が吹く、明日のことは明日案じよ、明日はまだ手つかずなど
英語訳 Never put off till tomorrow what you can do today.(今日出来ることは、明日まで延ばすな。)

「明日ありと思う心の仇桜」は、「明日はどうなるか分からない」「今日できることは、今日すべきだ」ということを意味します。美しく、季節感のある桜にたとえる部分に、優れた感性があるといえるでしょう。

日常生活でさりげなく使うと、洒落た雰囲気を醸し出せると思います。ぜひ使ってみてください。

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