今回ご紹介する言葉は、熟語の「追伸(ついしん)」です。
言葉の意味・使い方・書き方・返信方法・注意点・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「追伸」をざっくり言うと……
読み方 | 追伸(ついしん) |
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意味 | 手紙などで本文のあとに文をさらに書き足す際、その初めに書く語 |
類義語 | 追啓、追白、二伸など |
英語訳 | postscript(追伸) |
このページの目次
「追伸」の意味をスッキリ理解!
「追伸」の意味を詳しく
「追伸」は、メールや手紙などで本文のあとにさらに書き加える文です。
「追伸」は元々、手紙を書くときに使われていました。
手紙は書き直しができないため、書き終わってから文章を書き忘れたことに気づいた場合に、全文書き直すのではなく「追伸」として書き入れるのです。
メールでの「追伸」
書き直しが簡単にできるメールでは、ふつうに考えれば「追伸」を書く必要はありません。
しかし、「追伸」はメールでも用いられています。
これは、「追伸」を話題を変えるための言葉として用いている人が多いためです。
たとえば、仕事のメールで、ちょっとしたプライベートな誘いなどをつけたい場合に「追伸」を用いることがあります。
「追伸」の表記
「追伸」には以下のような表記があります。
- PS
- P.S.
- ps
- p.s.
「PS」は「後に書く」という意味の “postscript” を略した表現です。
「P.S」「p.s」などとは通常表記されないので注意しましょう。
ちなみに、「追伸」にさらに「追伸」をつけたい場合は “post postscript” を略した「PPS」が使われます。
日本語では追伸が複数ある場合は「追伸1」「追伸2」などと番号をふると良いでしょう。
「追伸」の使い方
- 追伸 来月からのご出張、お体に気を付けて行ってらっしゃいませ。
- 追伸 恒例になってきた食事会ですが、お時間ございましたら、日程をご相談させていただきたいと考えております。
上記の例文のように、追伸は文を付けたす際の始まりの言葉として使われます。
「追伸」はビジネスメールでは基本的に用いませんが、❶の例文のように、相手の体調を気遣う文章を入れたい場合は用いられることがあります。
「追伸」の書き方
「追伸」は基本的に、文章の末尾に「追伸」と記した後、補足したい内容を書き足すという形で書かれます。
名前や日付の後に書かれることが多いです。
たとえば、以下のような形です。
敬具
令和◯年◯月◯日
✕岡◎子
△田□男様
追伸 今度ランチに行きませんか? 先日お世話になったお礼をしたいです。
ただ、現在では「追伸」が送り主の名前の前に書かれることもあります。
「追伸」への返信方法
追伸で書かれた内容に返信する場合は、同様に追伸欄で返信するのが一般的です。
以下のように返信しましょう。
敬具
令和◇年◇月◇日
△田□男
✕岡◎子様
追伸 いいですね! 最近新しくできた喫茶店はいかがでしょうか?
しかし、本文に返信内容を書いても間違いではありません。
なお、「追伸」に質問などが記載されていた場合には必ず返信する必要があります。
しかし、体調の心配などの場合は無理に返信する必要はないでしょう。
「追伸」の注意点
「追伸」には以下のような5つの注意点があります。
- 「追伸」は長文にしない
- 「追伸」に重要な事柄は記載しない
- 基本的にビジネス場面では用いない
- 目上の人へのメール・手紙には用いない
- 「追伸」に書くべきではない内容もある
- 「追伸」をつけてはいけない内容もある
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
注意点①:「追伸」は長文にしない
「追伸」はあくまで本文の内容に対する付け足しの内容なので、長文にはしないようにしましょう。
通常は1~2行程度、長くても3行程度に抑えるべきです。
特にメールの場合、長文になるなら本文に書くか、もしくはメールを分けて内容を記載するべきです。
注意点②:「追伸」に重要な事柄は記載しない
「追伸」には重要な事柄は記載しないようにしましょう。
「追伸」は本文のおまけ的な内容を書く場所です。
「追伸」は差出人・受取人の名前の後に書くため、見逃しやすい場所にあります。
重要な事柄は必ず本文に記載するようにしましょう。
注意点③:基本的にビジネス場面では用いない
「追伸」は基本的にビジネス場面では用いないので注意が必要です。
「追伸」は手間を省くためのものという印象が強く、相手方に丁寧でないと思われる恐れがあるためです。
しかし、食事会のお誘いなど、ビジネスと全く関係ないことを手紙の中に入れる際には、追伸を使ってもよいとされています。
注意点④:目上の人へのメール・手紙には用いない
「追伸」はビジネス場面でなくても、目上の人には用いないようにしましょう。
「追伸」は手間を省くためのものという印象が強く、相手方に丁寧でないと思われる恐れがあるためです。
注意点⑤:「追伸」に書くべきではない内容もある
「追伸」を用いるべきではない内容もあるので注意が必要です。
それは、具体的には以下の4つです。
- お祝い
- お悔み
- お詫び
- 感謝
注意点⑥:「追伸」をつけてはいけない内容もある
手紙の内容によっては、「追伸」自体をつけてはいけない場合もあるので注意しましょう。
具体的には、お見舞いの手紙や冠婚葬祭の手紙では「追伸」をつけないようにしましょう。
なぜなら、「追伸」は「重なり」を連想させるような「忌(い)み言葉」の一種だからです。
また、本文で謝罪の内容を述べている場合も、「追伸」は用いないほうが良いでしょう。
「追伸」の類義語
追伸には以下のような類義語があります。
- 追啓(ついけい):手紙などで本文に文を追加して書く時に、多くその初めに書く語
- 追白(ついはく):書き終わった手紙の本文に文を追加する時に、多くその初めに書く語
- 二伸(にしん):書き終わった手紙にさらに文を追加する際、その初めに書く語
- 末筆(まっぴつ)ながら:手紙の結びの際、最初に書く言葉
- 追記(ついき):あとから付け足して書くこと
- 追而書(おってがき):書状本文とは関係ない事柄を別紙に書き添えること
- 補記(ほき):補って書き記したもの
- 付記(ふき):本文に付け加えて書きつけること
- 加筆(かひつ):文章などを部分的に直したり書き加えたりすること
- 追陳(ついちん):本文のあとにさらに書き加える文
ちなみに、「追伸」は、「本文のあとにさらに文を書き加える際の最初の語」ですが、後から書き加える行為自体は「追って書き」といいます。
「追伸」と「追記」の違い
「追記」は「後から付け足して書くこと・その内容」という意味です。
「追伸」と「追記」には以下のような違いがあります。
- 追伸:手紙やメールなど、明確に送る相手がいる場合に用いる
- 追記:本など、不特定多数に読まれる文章で用いる
「追伸」と「追記」では使う場面が異なるのです。
また、「追伸」が主に親しい人に対して用いるのに対して、「追記」は広告・ビジネスなど改まった場面で用いられることが多いです。
「追伸」の英語訳
追伸を英語に訳すと、次のような表現になります。
- postscript
(追伸)
“post” は「後に」を意味する接頭辞です。
また、 “script” は「書く」の過去分詞が元となっています。
追伸を書く際、「PS」と書くことがありますが、このPSは “post” と “script” の頭文字をとったものです。
まとめ
以上、この記事では「追伸」について解説しました。
読み方 | 追伸(ついしん) |
---|---|
意味 | 手紙などで本文のあとに文をさらに書き足す際、その初めに書く語 |
類義語 | 追啓、追白、二伸など |
英語訳 | postscript(追伸) |
このように、「追伸」は手紙やメールを書く際に、本文に文を付け足す際の書き出しの言葉として使われます。
「追伸」は便利な一方、使い方を間違えると相手方に失礼な印象をもたれてしまうこともあります。
正しい使い方を学び、「追伸」を使いこなせるようになりましょう。