今回ご紹介する言葉は、熟語の「各位(かくい)」です。
言葉の意味・使い方・注意点・例文・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「各位」をざっくり言うと……
読み方 | 各位(かくい) |
---|---|
意味 | 皆様、皆様方 |
語源 | 「おのおの、めいめい、ひとつひとつの」、「人に対する敬語」という漢字から |
使い方 | 複数人に敬意を表す時に用いる 基本的にビジネス場面(特に文章)で用いる 取引先・上司など目上の人にも使える 書類では上から2番目の左上に記載する 「〇〇各位」という形で用いる |
注意点 | 個人には使用しない 「〇〇様各位」「〇〇各位殿」などは間違った表現 「お客様各位」は本来は間違いだが一般的に用いられる表現 「関係各位」より「関係者各位」のほうが正しい |
類義語 | 様、殿、御中など |
英語訳 | To whom it may concern(ご担当者様、関係各位) |
このページの目次
「各位」の意味をスッキリ理解!
「各位」の意味を詳しく
「各位」は、2人以上の人を対象にし、それぞれの人を敬う際に使用する言葉です。
「皆様」といった表現より、より丁寧になるためビジネスシーンにおいて多く使われる言葉です。
「各位」は「かくい」と読み、「かくくらい」とは読まないので注意が必要です。
「各位」の使い方
「各位」は以下のように用いる表現です。
- 複数人に敬意を表す時に用いる
- 基本的にビジネス場面(特に文章)で用いる
- 取引先・上司など目上の人にも使える
- 書類では上から2番目の左上に記載する
- 「〇〇各位」という形で用いる
それぞれの詳細について詳しく見ていきましょう。
使い方①:複数人に敬意を表す時に用いる
「各位」は複数人に敬意を表す時に用いる言葉です。
本来であれば、「A様 B様 C様…」と書くべきところを、多くの方にメールでお知らせしたいことがあり、全ての方の名前を記載するのが難しい場合に「各位」を使用します。
使い方②:基本的にビジネス場面(特に文章)で用いる
「各位」は基本的にビジネス場面で用いる言葉です。
カジュアルな場面で使われることはほとんどありません。
ビジネス場面でも、特に複数人に文章を送る時に用いられることが多いです。
話し言葉として用いられることはあまりありません。
使い方③:取引先・上司など目上の人にも使える
「各位」は敬語表現なので、取引先や上司など目上の人にも用いることができます。
ただ、「各位」は一見して敬語だとわかりにくいので、「不快に思われるかもしれない」と思う場合は以下のように記載するのがおすすめです。
〇〇部長
〇〇課長
各位
取引先に用いてももちろん問題ありませんが、「ほかの取引先と同列に扱われている」と思われる可能性もあります。
特に重要な取引先には「〇〇株式会社 ✕✕様」と宛名を変えて別途連絡すると丁寧でしょう。
使い方④:書類では上から2番目の左上に記載する
「各位」は以下のように、書類では上から2番目の左上に記載します。
20✕✕年◯月△日
関係者各位
株式会社□□
代表者名 ◇◇
使い方⑤:「〇〇各位」という形で用いる
「各位」は「〇〇各位」という形で用いる言葉です。
具体的には、以下のような形で用います。
- 関係者各位
- 役員各位
- 社員各位
- 保護者各位
- 担当者各位
もちろん、特に指定しない場合は「各位」のみで用いても問題ありません。
「各位」の注意点
「各位」の使い方には以下のような注意点があります。
- 個人には使用しない
- 「〇〇様各位」「〇〇各位殿」などは間違った表現
- 「お客様各位」は本来は間違いだが一般的に用いられる表現
- 「関係各位」より「関係者各位」のほうが正しい
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
注意点①:個人には使用しない
「各位」は個人には使用しないので注意しましょう。
「各位」は情報を発信する先が複数の時に用いる表現です。
注意点②:「〇〇様各位」「〇〇各位殿」などは間違った表現
「〇〇様各位」「〇〇各位殿」などは二重敬語になってしまい、間違った表現なので注意しましょう。
なぜなら、「各位」にはすでに相手を敬う意味がこめられているからです。
「〇〇各位」という表現を使いましょう。
注意点③:「お客様各位」は本来は間違いだが一般的に用いられる表現
「お客様各位」は本来は二重敬語であり間違った表現ですが、一般的に用いられている表現です。
そのため、「お客様各位」だけは使用してしまって問題ありません。
注意点④:「関係各位」より「関係者各位」のほうが正しい
「関係各位」よりも「関係者各位」のほうが正しいので注意しましょう。
「各位」は前に人を表す表現をつけて用いられるからです。
「関係各位」もよく使われる表現なので使用しても問題はありませんが、あくまで「関係者各位」のほうが正しい表現です。
「各位」の例文
- ○○株式会社 商材管理担当各位
- 管理職各位 管理職研修のお知らせ
「各位」の語源
「各位」を構成する漢字の意味は、それぞれ以下の通りです。
- 各:おのおの、めいめい、ひとつひとつの
- 位:人に対する敬語
それぞれの漢字の意味からも複数人に対する敬意を表す言葉だと推測できるでしょう。
「各位」の類義語
各位(かくい)には以下のような類義語があります。
- 様(さま)
- 殿(どの)
- 御中(おんちゅう)
- 皆様(みなさま)
「各位」と「様」の違い
「様(さま)」は個人名につけて使う敬称です。
「各位」と「様」には以下のような違いがあります。
- 各位:複数人数を敬う表現
- 様:1人を敬う表現
「各位」と「様」では敬う人数が異なるのです。
ちなみに、「様」は誰にでも広く使える敬称ですが、「課長」など役職名につけて用いるのは間違いなので注意しましょう。
「課長」などの役職名は敬称なので、「課長様」などとしてしまうと二重敬語になってしまうのです。
「各位」と「殿」の違い
「殿(どの)」は個人名につけて使う敬称です。
「各位」と「殿」には以下のような違いがあります。
- 各位:複数人数を敬う表現
- 殿:1人を敬う表現
「各位」と「殿」では敬う人数が異なるのです。
ちなみに、「殿」は先ほど紹介した「様」よりも敬意が軽めの表現です。
「殿」は主に目下の人に用います。
迷った時には誰にでも使える「様」を用いると無難でしょう。
「各位」と「御中」の違い
「御中(おんちゅう)」は団体に書類などを送る時に用いられる敬称です。
宛先が企業、学校、役所などの団体の場合に用いられます。
「各位」と「御中」には以下のような違いがあります。
- 各位:複数人数を敬う表現
- 御中:団体を敬う表現
「各位」は送付した人全員に読んでもらいたい時に用い、「御中」は団体の中の誰かに読んでもらえれば良い時に用いることが多いです。
「各位」と「皆様」の違い
「皆様」はその場にいる人や関係者全員に敬意を表す表現です。
「各位」と「皆様」には以下のような違いがあります。
- 各位
- かしこまった表現
- 文章などで文語的に用いられることが多い
- 皆様
- 比較的カジュアルな表現
- アナウンスなどで口語的に用いられることが多い
「各位」の英語訳
各位(かくい)を英語に訳すと、次のような表現になります。
- To whom it may concern
(ご担当者様、関係各位)
“whom” は漠然と「人」を意味しています。“it may concern(人)” で「(人)に関係しているかもしれない」という意味になります。
直訳すると「関係しているかもしれない方へ」という訳になります。
つまり、関係している関係者、関係している人々に対してメールを送るときに使用されます。
まとめ
以上、この記事では「各位(かくい)」について解説しました。
読み方 | 各位(かくい) |
---|---|
意味 | 皆様、皆様方 |
語源 | 「おのおの、めいめい、ひとつひとつの」、「人に対する敬語」という漢字から |
使い方 | 複数人に敬意を表す時に用いる 基本的にビジネス場面(特に文章)で用いる 取引先・上司など目上の人にも使える 書類では上から2番目の左上に記載する 「〇〇各位」という形で用いる |
注意点 | 個人には使用しない 「〇〇様各位」「〇〇各位殿」などは間違った表現 「お客様各位」は本来は間違いだが一般的に用いられる表現 「関係各位」より「関係者各位」のほうが正しい |
類義語 | 様、殿、御中など |
英語訳 | To whom it may concern(ご担当者様、関係各位) |
「各位」はビジネスの場面で使用されます。
「御中」や「殿」との使い分けには注意しましょう。