今回ご紹介する言葉は、熟語の「傀儡(くぐつ・かいらい)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「傀儡」をざっくり言うと……
読み方 | 傀儡(かいらい) |
---|---|
意味 | 裏にいる人物に操られ、利用されている人物 |
語源 | 万葉集の「久々津」・中国語 |
類義語 | 木偶の坊、追従、など |
対義語 | 率先、操るなど |
英語訳 | pappet(傀儡)・marionette(傀儡)・dummy(傀儡) |
「傀儡」の意味をスッキリ理解!
「傀儡」の意味を詳しく
傀儡には、「操り人形」という意味と、「陰にいる人物に操られ、その人物が利益を得ることができるように利用されている人物」という2つの意味があります。
傀儡には2通りの読み方がありますが、前者で使われる場合には「くぐつ」、後者の意味で使われる場合には「かいらい」と読まれることが一般的です。
傀儡のどちらの漢字にも、「土の塊で作った人形」という意味が含まれています。したがって、もともとは「操り人形」という意味を表しています。そこから転じて、操り人形のように扱われる人物、と言う意味でも使われるようになったのです。
また、それぞれの漢字には上記の意味以外にも、「傀=大きい」「儡=疲れる」という意味があります。
傀儡という熟語を「くぐつ」と読む際には、「歌などに合わせて回せる操り人形」という意味で使われている場合が多いです。
日本では平安時代以降、傀儡を操りながら各地を旅する芸人が出現しました。このような人物は傀儡師と呼ばれています。この傀儡師は、江戸時代には首からかけた箱の上で人形を舞わして見せる大道芸人として活躍しました。
また、傀儡師の女性たちは歌舞を演じ、売春もしていたことから傀儡には「芸妓・遊女」という意味もあります。
傀儡(かいらい)と呼称される人物は、自分の意思を表さず他人の言いなりに動いて利用されている人物やその組織のことです。「人の言いなりである」という意味のため、あまりいい言葉であるとはいえません。
「傀儡」の使い方
- 部長の傀儡となって働かされている。
- 戦後、この国は傀儡政権となった。
- 江戸時代には傀儡師と呼ばれる人物が存在した。
上記の二つ目の例文にある「傀儡政権」とは、「他国によって操られている政権」という意味です。
「傀儡」の由来
傀儡の由来には、日本語が元となっているという説や中国語を起源としているとする説など、様々なものがあります。
特に日本語を起源として考える説では、万葉集に記載されている「久々津」という言葉が由来となっていると考えられています。
傀儡の由来として考えられているものは様々ですが、現在よく使われている「人の言いなりになること」という意味は、江戸時代から既に使われていました。
「傀儡」の類義語
傀儡には以下のような類義語があります。
- 木偶の坊:操り人形
- 追従:人の言う通りに行動すること
- 偶人:人形
- パペット:指人形・操り人形
- 唯々諾々(いいだくだく):少しも逆らわずに言いなりにする様子
「傀儡」の対義語
傀儡には以下のような対義語があります。
- 率先:自ら行動する
- 操る:他人を思い通りにすること
- 不承不承(ふしょうぶしょう):いやいや承知すること
傀儡には明確な対義語は存在しません。しかし、意味合いの上では上記の言葉が対義語になります。
「不承不承」は「嫌々言われたことを承知する」という意味のため、対義語ではないと考えてしまいがちです。しかし、「嫌々とは思う」という点で抵抗する意思を見せているため、「全くの言いなりになる」という傀儡とは意味が大きく異なっています。そのため、「不承不承」は対義語となります。
「傀儡」の英語訳
傀儡を英語に訳すと、次のような表現になります。
- puppet
(傀儡) - marionette
(傀儡) - dummy
(傀儡)
まとめ
以上、この記事では「傀儡」について解説しました。
読み方 | 傀儡(かいらい) |
---|---|
意味 | 裏にいる人物に操られ、利用されている人物 |
語源 | 万葉集の「久々津」・中国語 |
類義語 | 木偶の坊、追従、など |
対義語 | 率先、操るなど |
英語訳 | pappet(傀儡)・marionette(傀儡)・dummy(傀儡) |
このように、傀儡という言葉には複数の意味があります。使われる場面などから意味を把握できるようにしましょう。