パラダイムシフトとは「ある時代に当然と考えられていた物事の考え方や味方が劇的に変わること」という意味です。
近年、ビジネスシーンなどで「パラダイムシフト」という言葉が使われる機会が増えてきています。
しかし、この言葉の意味をわからないまま使っている人も多いのではないでしょうか。
言葉の意味をわからないままだと、時代に追いてかれてしまう可能性もありますよね。
今回は、そんなパラダイムシフトの意味や使い方をわかりやすく解説します。
☆「パラダイムシフト」をざっくり言うと……
英語表記 | パラダイムシフト(paradigm shift) |
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意味 | ある時代に当然と考えられていた物事の考え方や味方が劇的に変わること |
語源 | ギリシャ語”paradeigma” |
類義語 | 革命 |
対義語 | ステレオタイプ |
このページの目次
「パラダイムシフト」の意味
ある時代に当然と考えられていた物事の考え方や味方が劇的に変わること
例:時代が移り変わると共に、パラダイムシフトが発生する。
パラダイムシフトとは、その時代に当然と考えられてきた考え方が急速に変化することを指します。
今常識になっている事柄は、長い年月をかけて作られてきたものです。
しかし、技術革新や新しい発見などにより、これまで当たり前とされてきたことが短い間に一気に変わることがあるのです。
こうした出来事のことを、パラダイムシフトと呼びます。
パラダイムシフトが注目されている理由
近年、パラダイムシフトは注目を集めています。
これは、新型コロナウイルスによる社会の急速な変化や、IT技術などが非常に進化していることにより、様々な価値観の変化が起こっているためです。
パラダイムシフトが発生しやすくなっているため、この言葉に対して注目が集まっているのです。
パラダイムシフトが社会に与える影響
パラダイムシフトによる影響については、複数の教授が様々な意見を述べています。
中でも、パラダイムシフトが頻発することによる影響について、マサチューセッツ工科大学のデイビット・カイザー教授は「万人にとってパラダイムシフトが必ずしも良いとは限らない」と述べています。
これは、パラダイムシフトが起こることで一部の人々は新技術に適応でき、利益を得るもののそれ以外の人には新技術に適応できないことで不利益を被ることを意味しています。
このように、パラダイムシフトは必ずしもプラスな影響のみを及ぼすわけではないのです。
また、パラダイムシフトが起きないことについては、サンノゼ州立大学のジャネット・ステムウェデル教授が「今存在する同じ概念を持つコミュニティの中にずっと閉じ込められ、なぜ他者や他の社会が違った視点で世界を見ているか、決して理解できなくなる」と述べています。
これは、パラダイムシフトが起きないことで、他者への理解力が薄れると警戒している文章です。
このように、パラダイムシフトが全く起きない場合でも、社会に対してマイナスな影響を及ぼします。
以上のことから、パラダイムシフトは起こりすぎても、全く起きなくても社会に対して害を及ぼすということができます。
「パラダイムシフト」の使い方
ここでは、パラダイムシフトを使った例文をご紹介します。
- アインシュタインの相対性理論の発明は、当時の人物にとってパラダイムシフトを引き起こした。
- 電話からスマホに変わったことは、パラダイムシフトと呼んでいいだろう。
- 今まではマーケティング戦略と言えばマスメディアを使うことが一般的だったが、近年ではネットメディアが使われるようになるというパラダイムシフトが発生した。
パラダイムシフトは、今まであったものが急速に変わったことを表す際に使われます。
一つ目の例文は、歴史において起きた新発見に対してパラダイムシフトを使っている例文です。
例文ではアインシュタインの相対性理論が挙げられていますが、他の例としては以下のようなものがあります。
- コペルニクスやガリレオが唱えた地動説
- ダーウィンが唱えた進化論
- ニュートンの万有引力
二つ目の例文は、主に現代で起きている変化についてパラダイムシフトを使っている例文です。
スマホは、電話機能だけでなくアプリによってゲームや音楽機能など様々なことを行うことができるようになったため、パラダイムシフトの一例だと考えられています。
また、三つ目の例文は、ビジネスに関するパラダイムシフトです。
ビジネスに関するパラダイムシフトとしては、他にも以下のようなものがあります。
- これまで当たり前だった終身雇用が崩壊
- 出社するのではなく、テレワークが中心となる
「パラダイムシフト」の語源
パラダイムシフトの語源はギリシャ語の “paradeigma” が関係しています。
“paradeigma” は、「範例」という意味です。
この言葉は元々、語形変化の一覧表を指していました。
しかし1962年にアメリカのトーマス・クーン氏が、著書「科学者の構造」の中で、科学的研究の土台となる前提のことを「パラダイム」と呼びました。
この前提とは、一定期間の間、科学者に自然に対する手本を与えるものを指すものであり、その後「常識」「特徴的な価値観」などという意味がつけ足されました。
これがパラダイムの由来であり、パラダイムに「転換」を意味する「シフト」がつけ足されて、パラダイムシフトという言葉が生み出されたのです。
「パラダイムシフト」の類義語
パラダイムシフトには以下のような類義語があります。
- 革命
社会変革や技術革新が短期間の間に起きること
パラダイムシフトは考え方・価値観が急速に変わることを指す言葉なのに対し、革命は社会のあり方や技術が急速に変わることを指す、という違いがあります。
「パラダイムシフト」の対義語
パラダイムシフトには以下のような対義語があります。
- ステレオタイプ
多くの人がもつ固定観念
パラダイムシフトはステレオタイプを変化させ、新たな考え方を持ち込むことであるため、ステレオタイプはパラダイムシフトの対義語であると考えられます。
パラダイムシフトの関連語
パラダイムシフトの関連語には、以下のようなものがあります。
- 〇〇パラダイム
特定分野におけるパラダイムを指す言葉
実際にパラダイムシフトが起きた際、パラダイムシフトが起きた分野を〇〇の部分に入れ、「〇〇パラダイム」と表すことがあるのです。
「〇〇パラダイム」で表されるものとしては、以下のようなものがあります。
- ビジネスパラダイム
例:年功序列から成果主義に変わること - 経済パラダイム
例:地域経済からグローバル経済に変わること
パラダイムシフトへの対応法
これまで、パラダイムシフトの概要について説明してきましたが、では実際にパラダイムシフトに対応するにはどうすればよいのでしょうか。
以下では、パラダイムシフトに対応するための方法について解説します。
周囲の変化を知ろうとする
パラダイムシフトに対応するためには、周囲の情報に敏感である必要があります。
そのためにも、色々な人から話を聞いたり、新聞を読んだりして、周囲の変化を知ろうとし続ける姿勢が重要です。
柔軟性をもつ
パラダイムシフトは、それまでの価値観や考え方など、当然とされてきたものを大きく変えてしまいます。
そのため、以前の常識に固執しようとする姿勢をとっていれば、パラダイムシフトに追いてかれてしまいます。
柔軟性をもち、新しい考え方に慣れていこうとする姿勢が大事です。
企業間でコミュニケーションをとる
ここからは、企業においてのパラダイムシフトへの対応についてご紹介します。
一つの企業だけでパラダイムシフトに対応しようとしても、新たな発見や知識を取り入れることには限界があります。
そのため、他企業とコミュニケーションをとり、他企業の知識や技術を取り込んでいくことが重要になるのです。
リスクを恐れすぎない
パラダイムシフトに対応するためには、新たな考え方や価値観にそった新製品を生み出していく必要があります。
新しいものを生み出す際には、当然リスクも伴います。
しかし、ここでリスクを恐れているようでは、パラダイムシフトに対応することはできません。
ある程度、リスクを許容しながら動くことが必要になります。
「パラダイムシフト」のまとめ
以上、この記事ではパラダイムシフトについて解説しました。
英語表記 | パラダイムシフト(paradigm shift) |
---|---|
意味 | ある時代に当然と考えられていた物事の考え方や味方が劇的に変わること |
語源 | ギリシャ語”paradeigma” |
類義語 | 革命 |
対義語 | ステレオタイプ |
パラダイムシフトは、2021年現在、非常に注目を集めています。
しっかりと対応するためにも、意味や使い方を覚えましょう。