レゾンデートルとは「自分自身の存在価値や存在理由のこと」という意味です。
レゾンデートルは哲学的な意味を持つ言葉なので、難しいと感じてしまう人も多いと思います。
しかし、レゾンデートルの意味をこの記事で理解することで、小説やニュースで出てきた際により深く文章を理解できるでしょう。
☆「レゾンデートル」をざっくり言うと……
英語表記 | レゾンデートル(raison d’être) |
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意味 | 自分自身の存在価値や存在理由のこと |
語源 | 「存在理由」を意味するフランス語の “raison d’etre” |
類義語 | 存在意義 存在価値など |
このページの目次
「レゾンデートル」の意味
自分自身の存在価値や存在理由のこと
例:自分のレゾンデートルを見つけられない。
レゾンデートルとは、哲学用語で「自分自身の存在価値や存在理由」を表す言葉です。
人間には必ず死が訪れ、人生には辛いことも多くあります。
そんな中で「自分はなぜ存在しているのか」「自分はなんのために存在しているのか」という自分自身への問いかけを表します。
他者から認められる存在価値ではなく、自分が自分に対して認める存在価値を表す言葉であるという点に注意しましょう。
「レゾンデートル」の使い方
レゾンデートルは本来、人間が自分自身の存在意義や価値について考えるときに使う言葉です。
しかし、日常会話で使われる際には、会社や他者、ものごとの存在意義を表すために使われることもあります。
単なる「存在意義」ではなく、レゾンデートルを使う場合には哲学的な意味を含むという点に注意しましょう。
- 自分自身のレゾンデートルが見つからず、思い悩んでいる。
- あの企業のレゾンデートルについて話し合おうじゃないか。
- 旅の中でレーゾンデートルをついに発見した。
また、実際に日本の小説などにもレゾンデートルという言葉が使われることがあります。
芥川龍之介の『あの頃の自分の事』の中にも、以下のように登場しています。
レゾンデートルは、フランス語を日本語読みした表記なので、複数の表記が存在します。
「レゾンデエトル」や「レーゾンデートル」などと表記されることもあります。
「レゾンデートル」の語源
レゾンデートルの語源はフランス語の “raison d’etre” です。
- raison
理由 - d'(de)
〜の - être
ある・いる(英語でいうbe動詞)
つまり、 “raison d’etre” は直訳すると「~がある理由」となります。
be動詞というものが存在しない日本語では、日本語訳するときに「存在理由」や「存在価値」などと訳されるようになりました。
しかし、明治時代の日本ではあえて翻訳語を使わず、カタカナ語で「レゾンデートル」と言うことが流行しました。
「レゾンデートル」を英語で言うと「reason of being(存在理由)」や「reason for living(生きる理由)」になります。
「レゾンデートル」の哲学的な意味
レゾンデートルは、実存主義という哲学の考え方の中で重要になる言葉です。
実存主義とは、人間は個人として現実に存在しており、どのような存在であるのかが事前に決まっているのではなく、自分の行動によってなにものかになるという考え方です。
この実存主義の中で、人間という存在は確実に訪れる「死」や絶望と向き合いながらもレゾンデートルを考えながら生きなければならないという考えが生まれたのです。
また、ひとことに実存主義と言っても、以下の代表的な3人の考えがそれぞれあります。
- キルケゴール
- サルトル
- ハイデガー
キルケゴールの実存主義
デンマークの哲学者であるキルケゴールが、実存主義を提唱した最初の人物です。
彼は、まず「人間は個人として現実に存在している」という考えを主張しました。
つまり、「自分自身は他人とは取り替えられない唯一の存在である」という考えがキルケゴールの実存主義です。
ハイデガーの実存主義
ドイツの哲学者であるハイデガーの実存主義は、「死に向き合いながら現在を生きるべき」という考え方です。
確実に訪れる「死」に向き合いながら生きねばならないという主張が特徴です。
サルトルの実存主義
サルトルは、実存主義の定義を初めて明確に定めた哲学者です。
サルトルは『人間は、生まれた時から「こういうものだ」と決まっているものではなく、自分の行為によって作り上げられるものだ』と考えました。
「レゾンデートル」の類義語
レゾンデートルには以下のような類義語があります。
- 存在意義
自分がこの世の中に存在することへの価値や必要性 - 存在理由
ある事物が存在することの根拠あるいは意義 - 存在価値
ある人間やものが存在する事の価値 - 実在根拠
現実に存在している根拠 - アイデンティティ
自己同一性
「レゾンデートル」と「アイデンティティ」の違い
- レゾンデートル
「自分はなぜ存在するのか」という存在への問い - アイデンティティ
「自分は何者か」という存在の確認
つまり、レゾンデートルが存在への問いであることに対して、アイデンティティは存在の確認であるという意味の違いがあるのです。
「レゾンデートル」のその他の意味
レゾンデートルは、以下のような作品名として使われることが多いです。
- レゾンデートル頂戴
ボーカロイドGUMIの楽曲名 - レゾンデートルの花
ボーカロイドGUMIの楽曲名 - レゾンデートル
ヴィジュアル系バンド「ナイトメア」の楽曲 - レゾンデートル
『テニスの王子様』越前リョーマのキャラクターソング - レゾンデートル
『白き鋼鉄のX THE OUT OF GUNVOLT』ROROのキャラクターの楽曲 - レゾンデイトル・カレイドスコープ
歌手「ツミキ」により作詞作曲された曲名 - レーゾンデートル
Eveの曲タイトル - 誰が為の刃 レゾンデートル
知念実希人作のサスペンス小説 - レーゾンデートルの祈り
楪一志(ゆずりは いっし)作の小説タイトル
「レゾンデートル」のまとめ
以上、この記事ではレゾンデートルについて解説しました。
英語表記 | レゾンデートル(raison d’être) |
---|---|
意味 | 自分自身の存在価値や存在理由のこと |
語源 | 「存在理由」を意味するフランス語の “raison d’etre” |
類義語 | 存在意義 存在価値など |
レゾンデートルは哲学的な概念であるため、実存主義についても一緒に理解しましょう。