今回ご紹介する言葉は、熟語の「一縷(いちる)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一縷」をざっくり言うと……
読み方 | 一縷(いちる) |
---|---|
意味 | ごくわずかであること、ひとすじしかないこと |
類義語 | 一抹、一条、一筋など |
英語訳 | a ray、slightest、slender |
「一縷」の意味をスッキリ理解!
「一縷」の意味を詳しく
「一縷」とは、物の状態がごくわずかであること、ひとすじしかないことを表す熟語です。一本の糸や、糸のように細い様子を表すこともあります。
「縷」は訓読みでは「縷(いと)」「縷(こま)かい」と読みます。
「一縷」とは糸が「一本しかないこと、ひとすじであること」から、ごくわずかしかない様子を表すようになりました。
「縷」の意味
「縷」は大きく分けて3つの意味を持っています。
1つ目の意味は、糸のように長く細いものを示します。「一縷」はこの意味で使われています。
2つ目の意味は、細かいことや、詳しいことを示します。この意味で用いられる言葉には、「縷言(るげん)」「縷述(るじゅつ)」「縷説(るせつ)」などの熟語があります。これら3つの熟語は全て、「詳細に説明する」といった意味を持ち、それぞれ同じように用いることができます。
3つ目の意味は、ぼろぼろなものやその様子を表します。この意味で用いられる熟語には「襤縷(らんる)」などがあります。これは、破れてぼろぼろになった服を表します。
普段はあまり使われない漢字ですが、知識として覚えておきましょう。
「一縷千鈞」とは
「一縷」を含む四字熟語として、「一縷千鈞(いちるせんきん)」があります。これは一本の糸でとても重いものを支えるという様子から、非常に危険であることを表す言葉です。
「鈞(きん)」は日本で古くに使われた重さの単位で、一鈞は約7.7 kg を表します。「釣(つ)る」とはよく似ていますが違う漢字なので注意してください。
「一縷」の使い方
「一縷」は文中では以下のように使われます。
- この試合に、決勝トーナメント進出の一縷の望みが掛かっている。
- 一縷の望みにすがって作戦を続行する。
- ふいに煙突から一縷の煙が上がった。
「一縷」は「一縷の望み」という慣用句として使われることが多くあります。ほんのわずかな希望、という意味です。
「一縷」の類義語
「一縷」には以下のような類義語があります。
- 一抹(いちまつ):ほんのわずかであること、微かであること
- 一条(いちじょう):細長い一本の物、ひとすじ
- 一筋(ひとすじ):細長い一本の物、一つの物に傾倒する様子
- 一髪(いっぱつ):髪の毛一本ほどにかすかなこと、余裕のないこと
「一縷」が「一縷の希望」というフレーズで使われるのと同様に、「一抹」と「一条」も「一抹の不安」「一条の光」というフレーズがあります。また「一髪」は「危機一髪」「間一髪」といったように使われます。
それぞれの具体的な使い方は、以下の例文を参考にしてください。
- 彼の不審な様子に、一抹の不安を覚える。
- そのときにわかに一条の光が差し込んだ。
- 陶器の師匠は、その道一筋四十年の職人だ。
- 間一髪で課題の提出に間に合った。
「一縷」の英語訳
「一縷」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- a ray
(一筋の) - slightest
(ほんの少し) - slender
(細い、ほんのわずかな)
ray は「光線」を表す英単語で、「一縷の望み」は “a ray of hope” と表されます。これらを使った例文は以下のようになります。
- There is not a ray ob hope.(一縷の望みもない状況だ。)
- I didn’t have a slightest idea.(私はひとつのアイディアすら持っていなかった。)
- I got slender wages for part-time jobs.(アルバイトによってほんのわずかな収入を得ていた。)
まとめ
以上、この記事では「一縷」について解説しました。
読み方 | 一縷(いちる) |
---|---|
意味 | ごくわずかであること、ひとすじしかないこと |
類義語 | 一抹、一条、一筋など |
英語訳 | a ray、slightest、slender |
「縷」はかなり難しい漢字ですが、「一縷」という熟語は本の中などでよく使われます。意味や読み方をしっかり覚えて、使えるようにしましょう。