今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「主客転倒(しゅかくてんとう)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「主客転倒」をざっくり言うと……
読み方 | 主客転倒(しゅかくてんとう) |
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意味 | 物事の順序や重要性の大小、立場などが逆転すること |
類義語 | 釈根灌枝、舎本逐末、本末転倒など |
英語訳 | reversing the order of importance(主客転倒、需要なことの順序が逆になる) |
「主客転倒」の意味をスッキリ理解!
「主客転倒」の意味を詳しく
「主客転倒」とは、物事の順序や重要性の大小、立場などが逆転することです。また、人々のそれらの認識が逆になり、本来とは反対の扱いを受けることも指します。
「主客」とは、主人と客人のことです。ここから転じて、主な物事とそれに関係する物事という意味で用いられています。「転倒」は、逆さになることを意味しています。
つまり、「主客転倒」は、物事の順序や立場などが逆転することを「主人と客の立場が逆転すること」にたとえた四字熟語なのです。
また、主客転倒は「しゅきゃくてんとう」と読んだり、「主客顛倒」と書くこともあります。
「主客転倒」の使い方
「主客転倒」は、以下のように使われます。
- 彼は新しい靴を買ったそうなのだが、なんだか勿体なくて履けないそうだ。まさに主客転倒である。
- 勉強することよりもノートを書くことに一生懸命になってしまっては、本質的に主客転倒になりかねない。
- どんなに一生懸命に物事に取り組んでいても、主客転倒になってしまっていては元も子もない。まず最初に全体を見ることが肝心だ。
「主客転倒」の類義語
「主客転倒」には以下のような類義語があります。
- 釈根灌枝(しゃくこんかんし):他のことに気をとられて物事の根本を忘れること、問題の本質を調べずに結果だけを問題にすること
- 舎本逐末(しゃほんちくまつ):物事の根本となる大事なことを疎かにして、必要のないことに関心を持つこと
- 本末転倒(ほんまつてんとう):物事の根本的な重要な部分と、そうでない部分を逆に捉えてしまうこと
- 冠履顛倒(かんりてんとう):地位や立場などが逆になっていること、価値や秩序が乱れていること
これらの類義語は、すべて「本質を見失う」という意味で共通しています。
釈根灌枝の「釈根」は、根を捨てるという意味です。「灌枝」は、枝に水を注ぎかけるという意味を表しています。つまり、「木の根に水をやらないで、枝に水を注ぎかける」というたとえなのです。
ここから転じで、上記の意味が生まれました。また、釈根灌枝は「根を釈(す)てて枝に灌(そそ)ぐ」と訓読します。
舎本逐末の「舎」は、捨てるという意味です。「本」は、根本のことを表しており、「舎本」とは、「根本を捨てる」という意味です。「逐末」は、末節やつまらないものを追い求めることです。また、舎本逐末は「本(もと)を舎(す)てて末を逐(お)う」と訓読します。
本末転倒の「本」は大事なこと、「末」は取るに足らないことという意味です。主客転倒と同様、「転」は「顛」とも書くことがあります。
冠履顛倒の「冠履」は、かんむりと靴の意味です。かんむりと靴が逆になるという意味から、「地位や立場などが逆になっていること、価値や秩序が乱れていること」を表す四字熟語として用いられています。「冠履転倒」と書くこともあります。
「主客転倒」の英語訳
「主客転倒」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- reversing the order of importance
(主客転倒、重要なことの順序が逆になる) - putting the cart before the horse
(主客転倒、馬の前に荷台を置く) - mistaking the insignificant for the essential
(本質を取るに足りないことと間違える)
2つ目の英語訳の “putting the cart before the horse” の意味をもう少し詳しくご説明します。馬は荷車を引く役割がありますので、本来馬の後ろに荷台がこなければなりません。この表現は、馬と荷車の順番が反対になっていることを、本質と末節を取り違えていることにたとえているのです。
まとめ
以上、この記事では「主客転倒」について解説しました。
読み方 | 主客転倒(しゅかくてんとう) |
---|---|
意味 | 物事の順序や重要性の大小、立場などが逆転すること |
類義語 | 釈根灌枝、舎本逐末、本末転倒など |
英語訳 | reversing the order of importance(主客転倒、需要なことの順序が逆になる) |
物事の優先順位を見極めてと取り組んだ方が、何事も効率が良いものです。「主客転倒」になってしまわないように、全体を把握する意識を持つことが重要ですね。
「主客転倒」の意味と使い方を覚え、正しく使えるようにしましょう。