今回ご紹介する言葉は、ことわざの「蛙(かえる)の子は蛙」です。
言葉の意味や使い方・由来・類義語・対義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「蛙の子は蛙」をざっくり言うと……
読み方 | 蛙(かえる)の子は蛙 |
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意味 | 子の性質や能力は親に似てしまうものだということ、凡人の子は凡人にしかならないということ |
由来 | カエルは、幼生と成体では姿が大きく異なるが、幼生も最終的には成体のカエルと同じような姿になることから |
類義語 | 瓜の蔓に茄子はならぬ、燕雀鳳を生まず、鳶の子は鷹にならずなど |
対義語 | 鳶が鷹を生む、鳶が孔雀を生む、烏の白糞など |
英語訳 | The apple never fall far from the tree.(リンゴは決して木から離れたところには落ちない) |
このページの目次
「蛙の子は蛙」の意味をスッキリ理解!
「蛙の子は蛙」の意味を詳しく
「蛙の子は蛙」は、子の性質は親に似てしまうものだ、凡人の子は凡人にしかならないという2つの意味を持つことわざです。
2つの意味があるものの、本来の意味は前者の「子の性質は親に似てしまうものだ」です。後者の「凡人の子は凡人にしかならない」という意味は、本来の意味が派生してできたものです。そして、後者の意味のみ、「自虐(じぎゃく)」「軽蔑(けいべつ)」のニュアンスを持ちます。
まず、1つ目の「子の性質は親に似てしまう」という意味について解説します。
子が親と同じような性質を持っていると感じられた際に使われます。例えば、車好きの親の子供も同様に車が好きになった場合です。
ただ単純に「子の性質は親に似てしまう」という意味の場合には、「自虐」「軽蔑」の意味合いは含まれません。
ただし、能力の高さや才能を自慢したり称賛したりする意味では使わないことには注意が必要です。
例えば、サッカー選手の父を持つ息子も父と同様にサッカーが上手かったとします。その際に、称賛の意味を込めて「蛙の子は蛙」とは言えないということです。
誤用される例が目立ちますので、この点は押さえておきましょう。
次に、2つ目の「凡人の子は凡人にしかならない」という意味について解説します。
前述したように、「子の性質は親に似てしまう」という意味が派生してできたものです。
例えば、凡人である親から生まれた子供が、親とは違った才能を見せたり、素晴らしい能力を発揮したりします。親としても「自分とは違う」と感じることでしょう。
しかし、成長するにつれてその才能や能力が無いことに気付き、結局は親と同じく凡人になった時、「蛙の子は蛙」と言うのです。
以上のように、自分や自分の子を自虐、卑下する際に使うほか、他人に対しても軽蔑の意を込めて使います。さらに、「平凡な親の子は平凡である」という一つの教訓としてこのことわざを使うこともあります。
「蛙の子は蛙」の使い方
- 蛙の子は蛙と言うように、うちの娘も肉より魚派だ。
- 数学が苦手な息子を見ていると、蛙の子は蛙だと思わざるを得ない。
- 蛙の子は蛙なんだから、子供には夢ばかり追いかけずに現実を見て欲しいと思っている。
「蛙の子は蛙」の由来
「蛙の子は蛙」ということわざは、カエルの幼生(※)と成体の姿が大きく異なるという性質に由来してます。
ご存知の通り、「蛙の子」、つまりカエルの幼生は「おたまじゃくし」です。手足もなく、水中で生活しています。成体のカエルとは見た目も性質も大きく異なります。
しかし、おたまじゃくしも成長するにつれて手足が生えてきて、見た目も成体のカエルに近づいていきます。そして、最終的には成体のカエルと同じような姿になるのです。
つまり、子供の頃は親とは異なる性質や見た目でも、成長すれば結局は親と同じようになる運命だということです。
「蛙の子は蛙」ということわざは、このおたまじゃくしからカエルへの成長の過程を人間に当てはめてできたものです。
- 幼生(※):動物が卵から発生して成体へと成長する間の、成体とは異なる形態や生活様式の段階のもの。
「蛙の子は蛙」の類義語
「蛙の子は蛙」には以下のような類義語があります。
- 瓜(うり)の蔓(つる)に茄子(なすび)はならぬ:子は親に似るものだということ、平凡な子から非凡な子は生まれないということ
- 燕雀鳳(えんじゃくほう)を生まず:平凡な子からは非凡な子は生まれないということ
- 鳶(とび)の子は鷹(たか)にならず:平凡な子からは非凡な子は生まれないということ
- 鳩(はと)の卵が鵯(ひよどり)にはならぬ:平凡な子からは非凡な子は生まれないということ
- 狐(きつね)の子は面白(つらじろ):子供は親に似るということ
- 蝮(まむし)の子は蝮:親が悪人であれば、子供も同じく悪人であるということ
- 親に似た蛙の子:親に似て何の取り柄も長所も無い平凡な子供のこと
- 親に似た亀の子:親に似て何の取り柄も長所も無い平凡な子供のこと
- 親に似た子瓢箪(ひょうたん):親に似すぎると何とも平凡になってしまい、見分けがつかなくなってしまうということ
- 親に似ぬ子は茗荷(みょうが)の子:子供は必ずと言っていいほど親に似るものなので、子供が親に似るのは当然だということ
- 親も嘉兵衛子(かへえこ)も嘉兵衛:何の取り柄のない平凡な親から生まれた子は、親と同様に平凡な子に育ってしまうということ
- この親にしてこの子あり:良くも悪くも子供は親の性質や才能を受け継ぐものだということ
- 血筋(ちすじ)は争えない:親の性質は何らかの形で子に受け継がれているものだということ
「この親にしてこの子あり」はマイナスの意味でもプラスの意味でも使うことができます。つまり、優れた親から生まれた優れた子供を称賛する時にも使うことができるということです。
「蛙の子は蛙」の対義語
「蛙の子は蛙」には以下のような対義語があります。
- 鳶が鷹を生む:平凡な親が才能のある子を生むこと
- 鳶が孔雀(くじゃく)を生む:平凡な親が才能のある子を生むこと
- 烏(からす)の白糞(しろふん):平凡な親から優秀な子が生まれること
- 不肖(ふしょう)の息子:優れた親から生まれた平凡または劣った子
- 筍(たけのこ)の親勝(まさ)り:子が親よりも優れているということ
「蛙の子は蛙」の英語訳
「蛙の子は蛙」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- The apple never fall far from the tree.
(リンゴは決して木から離れたところには落ちない) - Like father, like son.
(この父にしてこの息子あり) - Like mother, like daughter.
(この母にしてこの娘あり) - Like hen, like chicken.
(ひよこは親鶏に似る)
まとめ
以上、この記事では「蛙の子は蛙」について解説しました。
読み方 蛙(かえる)の子は蛙 意味 子の性質や能力は親に似てしまうものだということ、凡人の子は凡人にしかならないということ 由来 カエルは、幼生と成体では姿が大きく異なるが、幼生も最終的には成体のカエルと同じような姿になることから 類義語 瓜の蔓に茄子はならぬ、燕雀鳳を生まず、鳶の子は鷹にならずなど 対義語 鳶が鷹を生む、鳶が孔雀を生む、烏の白糞など 英語訳 The apple never fall far from the tree.(リンゴは決して木から離れたところには落ちない) 「蛙の子は蛙」ということわざを聞いて、「蛙の子はおたまじゃくしだろ」と思った方も少なくないと思います。しかし、由来から理解しようとするとなるほどと思ったのではないでしょうか。
血がつながっている以上は、子供は親に似た性質は少なからず持つでしょう。しかし、親が平凡だからと言って自分や自分の子供の可能性を狭めてしまうのは非常にもったいないことであるのは容易に想像がつくと思います。
実際に対義語では、「鳶が鷹を生む」のように平凡な親から優秀な子が生まれるという意味を表すことわざもあります。
このようにことわざは、ある面では真理を言い表していますが、そうではないこともある、もしくは信じすぎてはいけないということは、ぜひ頭に入れておきたいものです。