今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「右顧左眄(うこさべん)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「右顧左眄」をざっくり言うと……
読み方 | 右顧左眄(うこさべん) |
---|---|
意味 | 周囲のことばかり気にして、決断することができないこと。 |
由来 | 『三国志』 |
類義語 | 右顧左顧、左見右見、首鼠両端、二股膏薬など |
対義語 | 即断即決、剛毅果断など |
英語訳 | vibrate(迷う), oscillate(気迷う), vacillate(ゆらぐ) |
このページの目次
「右顧左眄」の意味をスッキリ理解!
「右顧左眄」の意味を詳しく
「右顧左眄」は、「右」と「顧」と「左」と「眄」の4つの文字に分けることができます。「右」と「左」は、それぞれ右方向と左方向を表します。
「顧」は、「顧みる(かえりみる)」と読みます。つまり、「振り返って、見る」ことを意味します。「眄」は、「横目でちらりと見る」ことを意味します。
つまり、「右顧左眄」は、そのまま意味を読み解くと、「右を振り返って見て、左をちらりと見る」となります。
さらに、そこから意味が発展して、周囲の状況ばかり伺って、決断をためらっていることを表すようになりました。
「右顧左眄」の使い方
- 私の部下はいつも右顧左眄しているだけなので、私が決めないと、話が前に進まない。
- それはかなり斬新なアイデアだったが、最終決定の段階になると、皆右顧左眄するばかりで、結局採用されなかった。
- 仕事を納期に間に合わせるためには、右顧左眄している時間はない。
- 自分の価値観や判断基準を持っていない人は、いつも右顧左眄してしまう。
「右顧左眄」の由来
「右顧左眄」は、もとは「左顧右眄」という四字熟語でした。
「左顧右眄」が最初にでてくるのは、『三国志』です。この書物は、中国の後漢末期から三国時代にかけての興亡史です。
魏の詩人が、友人にあてた手紙の中で、「周りに大勢の人がいても、臆することなく堂々とした態度でいる」という意味で「左顧右眄」を使いました。
つまり、もともとは、現代の「なかなか決断できない」という意味と正反対の意味をもっていたのです。
その後、長い年月をかけて、「左顧右眄」は「右顧左眄」になりました。意味も「周囲のことばかり気にして、決断できないこと」と変化したのです。
ちなみに、今では、「左顧右眄」も「右顧左眄」と同じ意味を表します。
「右顧左眄」の類義語
右顧左眄には以下のような類義語があります。
- 右顧左顧(うこさこ):あれこれ気にすること。
- 左見右見(とみこうみ):あっちを見たり、こっちを見たりすること。
- 首鼠両端(しゅそりょうたん):どっちつかずで、様子を見ていること。
- 二股膏薬(ふたまたごうやく):節操がないこと。
- 優柔不断(ゆうじゅうふだん):ぐずぐずしているために、物事の決断が鈍いこと
「右顧左眄」の対義語
右顧左眄には以下のような対義語があります。
- 即断即決(そくだんそっけつ):その場で直ちに決断を下すこと。
- 剛毅果断(ごうきかだん):意志がしっかりとしていて、思い切って事を行うこと。
「右顧左眄」の英語訳
右顧左眄を英語に訳すと、次のような表現になります。
- vibrate
(迷う) - oscillate
(気迷う) - vacillate
(ゆらぐ)
全て「揺れる、迷う、ゆらぐ」というニュアンスを持つ動詞です。
まとめ
以上、この記事では「右顧左眄」について解説しました。
読み方 | 右顧左眄(うこさべん) |
---|---|
意味 | 周囲のことばかり気にして、決断することができないこと。 |
由来 | 『三国志』 |
類義語 | 右顧左顧、左見右見、首鼠両端、二股膏薬など |
対義語 | 即断即決、剛毅果断など |
英語訳 | vibrate(迷う), oscillate(気迷う), vacillate(ゆらぐ) |
「右顧左眄」が、最初は「周りに他の人がいても、全く動じない様子」を意味していたことを、今回初めて知った人も多いのではないでしょうか。
このように、日本語には、時間の経過とともに意味が真逆になった言葉がいくつかあります。
言葉というものは、時代によって意味を変えていく柔軟なものであると言えます。