今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「不易流行(ふえきりゅうこう)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「不易流行」をざっくり言うと……
読み方 | 不易流行(ふえきりゅうこう) |
---|---|
意味 | 不変で本質的なもののなかにも、新しい変化を取り入れること |
由来 | 松尾芭蕉の俳諧理念によるもの |
類義語 | 温故知新、千古不易、万代不易など |
英語訳 | unchangebleness(不変性)など |
「不易流行」の意味をスッキリ理解!
「不易流行」の意味を詳しく
「不易流行」は、「不易」と「流行」という2つの単語で構成されています。
「不易」とは、時代を経ても変化しないものを指します。一方、「流行」とは新しさを求めて、時代に沿って変化するもののことです。
この2つの単語は、正反対の意味を表します。しかし、「不易流行」は両者を組み合わせることで、「物事には、変わらないものと変わるものの両方が必要であり、バランスが大切である」という考えを表しているのです。
「不易流行」の使い方
- 変化の激しい現在こそ、不易流行の考え方が必要である。
- 会社を経営する際には、不易流行を念頭に置く必要がある。
- 不易流行を理念に、開発した商品は大成功を収めた。
- 伝統を守りながらも、不易流行の精神で新しい挑戦を続ける。
「不易流行」の由来
「不易流行」は、松尾芭蕉の提唱した俳諧理念の一つです。
松尾芭蕉の俳諧論書である『去来抄(きょらいしょう)』の一節に、「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」とあります。
これを現代語に訳すと、「長く変わらないものを知らなければ、基礎が確立せず、新しく変化のあるものを知らなければ、新たな進歩がない」という意味になります。
俳句における変わらないものとは、「五・七・五調であること」や「季語を用いること」等を指します。一方、一時的なものとは、「字余りの句」や「新しい季語を取り入れること」をいいます。
つまり、俳句においては、普遍的なルールと新しい手法の両方が欠かせないものなのです。両者を両立することで、より良いものが生まれるといえます。
この言葉が熟語となり、「不易流行」という四字熟語が生まれたといわれています。
このように、「不易流行」の由来は俳句にあります。しかし、現代では俳句の場面に限らず、様々な事象に対して使うことができます。
「不易流行」の類義語
不易流行には以下のような類義語があります。
- 温故知新(おんこちしん):古いものを見つめ直すことで、新しい知識を得ること
- 千古不易(せんこふえき):永遠に変化しないこと
- 万代不易(ばんだいふえき):永遠に変化しないこと
- 万世不易(ばんせいふえき):永遠に変化しないこと
- 一時流行(いちじりゅうこう):世の中の好みに合わせた一時的な新しさのこと
「不易」や「流行」という単語は、主に期間を表す語と合わせて熟語を構成していることが分かります。
千古不易・万代不易・万世不易は、「不易流行」の「不易」の意味が共通しています。つまり、「変わらないもの」を重んじる四字熟語です。
また、一時流行は、「不易流行」の「流行」の意味が共通する同義語です。つまり、「新しいもの」に着眼した四字熟語です。
「不易流行」の英語訳
不易流行を英語に訳すと、次のような表現になります。
- unchangeableness
(不変性) - changelessness
(不変性) - changebility
(可変性)
まとめ
以上、この記事では「不易流行」について解説しました。
読み方 | 不易流行(ふえきりゅうこう) |
---|---|
意味 | 不変で本質的なもののなかにも、新しい変化を取り入れること |
由来 | 松尾芭蕉の俳諧理念によるもの |
類義語 | 温故知新、千古不易、万代不易など |
英語訳 | unchangebleness(不変性)など |
昔からの伝統にばかり固執(こしつ)して、変化を毛嫌いしていては、今以上の発展は望めません。しかし、新しいものばかりを追い求めていては、一過性の不安定なものしか生み出すことが出来ません。
より良い進歩を目指すには、古くからあるものと新しいものの両方を取り入れ、バランスを適切に保つことが大切です。