今回ご紹介する言葉は、ことわざの「得手(えて)に帆(ほ)を揚(あ)げる」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「得手に帆を揚げる」をざっくり言うと……
読み方 | 得手(えて)に帆(ほ)を揚(あ)げる |
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意味 | 自分の得意な分野で絶好の機会を得た時に、張り切ること |
由来 | 追い風を受けて、船が加速する様子から |
類義語 | 順風満帆、追風に帆を上げる、流れに棹をさすなど |
英語訳 | Hoist your sail when the wind is fair.(順風のときに帆をあげよ。) |
このページの目次
「得手に帆を揚げる」の意味をスッキリ理解!
「得手に帆を揚げる」の意味を詳しく
「得手に帆を揚げる」は、自分の得意な分野で絶好の機会を得た時に、張り切るという意味のことわざです。また、絶好の機会を得た時に、思う存分に力を発揮するという意味もあります。
「得手」は、「最も得意とすること」という意味です。そのため、「得手に帆を揚げる」は、「自分の得意分野に合った機会に恵まれた」という時に使用します。単に「運がいい」という場合には使用しません。
「揚げる」は、「上げる」と表記する時もあります。また、「得手に帆」だけでも、「得手に帆を揚げる」と同じ意味を表します。
「得手に帆を揚げる」の使い方
- 最年少でプロジェクトリーダーに任命された彼は、得手に帆を揚げて様々な意見を言った。
- 彼は学生時代、学校随一のお菓子好きとして知られていた。今や、お菓子メーカーの最年少取締役だそうだ。きっと入社以来、得手に帆を揚げるようにして活躍してきたのだろう。
- スマートフォンの急劇な市場拡大に注目したS社は、スマートフォン向け新サービスの開発に注力した。その結果、得手に帆を揚げるように売り上げが右肩上がりとなった。
➀の例文では、「自分の得意なことを発揮する絶好の機会が来た時に、張り切る」という意味で「得手に帆を揚げる」を使用しています。
一方、➁と➂の例文では、「絶好の機会を得た時に、思う存分に力を発揮する」という意味で「得手に帆を揚げる」を使用しています。
➂の例文のように、会社についても「得手に帆を揚げる」と表現することができます。
「得手に帆を揚げる」の由来
「得手に帆を揚げる」は、追い風のタイミングに合わせて帆を広げ、船が加速していく様子に由来しています。
「帆」とは、帆船(はんせん)(※1)の柱に張る布のことです。帆を広げ、風を受けることで、船を加速させることができます。
しかし、帆による加速は、風向きに影響されます。向かい風の時は全く加速できません。一方、追い風の時は大きく加速することができます。そのため、風向きが良くなる瞬間を逃さずに、帆を広げることが非常に重要になります。
このことわざの「得手」は、絶好の風が吹くことを指します。つまり、「得手に帆を揚げる」は、船が進むための絶好の追い風が吹いた時に、タイミングよく帆を広げることを表しています。
- 帆船(※1):帆に風を受けることで、走る船
「得手に帆を揚げる」の類義語
「得手に帆を揚げる」には以下のような類義語があります。
- 順風満帆(じゅんぷうまんぱん):物事が順調に進むこと
- 追風に帆を上げる:「得手に帆を揚げる」と同義
- 流れに棹(さお)をさす:物事が順調に進むこと
- 追手(おいて)に帆を揚げる:物事が順調に進むこと
- 風に順(したが)いて呼ぶ:勢いに乗って事を行うと、成功しやすいということ
- 渡りに舟:何かしようとしている時に、都合よく必要なものがそろうこと
「得手に帆を揚げる」の英語訳
「得手に帆を揚げる」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Hoist your sail when the wind is fair.
(順風のときに帆をあげよ。)
“hoist” は「揚げる」、 “sail” は「帆」を意味します。
まとめ
以上、この記事では「得手に帆を揚げる」について解説しました。
読み方 | 得手(えて)に帆(ほ)を揚(あ)げる |
---|---|
意味 | 自分の得意な分野で絶好の機会を得た時に、張り切ること |
由来 | 追い風を受けて、船が加速する様子から |
類義語 | 順風満帆、追風に帆を上げる、流れに棹をさすなど |
英語訳 | Hoist your sail when the wind is fair.(順風のときに帆をあげよ。) |
誰しもが、何かしらの得意分野があるでしょう。
自分に絶好のチャンスが巡ってきて、実力を発揮できそうな時には、ぜひ「得手に帆を揚げる」を使ってみてください。