今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「四分五裂(しぶんごれつ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「四分五裂」をざっくり言うと……
読み方 | 四分五裂(しぶんごれつ) |
---|---|
意味 | 組織の統一や団結が失われて、ばらばらになること。 |
由来 | 『史記』の「張儀伝」 |
類義語 | 四散五裂、分崩離析、支離滅裂など |
英語訳 | become disorganized(無秩序になる)、be disrupted(秩序が混乱する)など |
「四分五裂」の意味をスッキリ理解!
「四分五裂」の意味を詳しく
「分」は、複数に分かれることを指します。また、「裂」は、ばらばらに裂ける(さける)ことを表します。
このことから、「四分五裂」は「あるものが4つにも5つにも分裂する状態」を表すことがわかります。つまり、「ばらばらになる」という意味をもつのです。
物ではなく、組織や団体などの集団に対して使われることが一般的です。
なお、「四分五裂」は「しぶごれつ」と読む場合もあります。
「四分五裂」の使い方
- 正反対の意見が対立しているため、与党は四分五裂の状態だ。
- 優秀な部長が卒業して以来、剣道部では四分五裂の状態が続いている。
- あの部署が仕事の成果をあげていないのは、四分五裂していて団結力が欠けているからだ。
- 我が家が四分五裂の状態になってしまったので、私は家族会議の場を設けた。
「四分五裂」の由来
中国最古の歴史書に、『史記』というものがあります。『史記』には「張儀伝(ちょうぎでん)」という章が収録されています。
以下、「張儀伝」のなかで「四分五裂」の由来になったエピソードを解説します。
中国の戦国時代では、下記の7つの国が存在し、互いに争っていました。
- 秦(しん)
- 韓(かん)
- 魏(ぎ)
- 趙(ちょう)
- 斉(せい)
- 楚(そ)
- 越(えつ)
当時、秦が最も強い国でした。ですから、秦以外の6国は、一致団結することで秦を倒そうと考えていました。
秦は、この事態を防ごうとしました。そこで、秦の宰相を務める張儀(ちょうぎ)は6国を回り、各国が個別に秦と同盟を結ぶことを提案することにしました。
張儀は、魏の哀王(あいおう)に会いに行きます。そして、魏が東西南北を斉・韓・楚・趙に囲まれている点を指摘しました。そして、「今はこれらの4国と団結を誓い合っていたとしても、少し油断しただけで、彼らから攻められる可能性がありますよ」と伝えました。
このとき張儀は、魏が他国に攻められて秩序を失う事態を「四分五裂」と表現して、警告したのです。
結局、哀王は張儀の考えに納得しました。そして、魏は単独で秦と同盟を結び、国の安定を目指しました。
このように、「四分五裂」は交渉上手な張儀のセリフに由来を持つのです。
「四分五裂」の類義語
「四分五裂」には以下のような類義語があります。
- 四散五裂(しさんごれつ)
- 四分五割(しぶんごかつ)
- 四分五剖(しぶんごぼう)
- 四分五落(しぶんごらく)
- 分崩離析(ぶんぼうりせき)
- 支離滅裂(しりめつれつ)
上記の四字熟語はすべて、「組織がばらばらに分かれること」を表します。
なお、「分崩離析」は、「人々が指導者への信頼をなくして離れていくこと」を指す場合もあります。また、「支離滅裂」は、「物事の筋道が立っていない」という意味でも使われます。
「四分五裂」の英語訳
「四分五裂」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- become disorganized
(無秩序になる) - be torn asunder
(組織の統一や団結が失われて、ばらばらになること) - be torn apart into pieces
(組織の統一や団結が失われて、ばらばらになること) - be disrupted
(秩序が混乱する)
“become disorganized” と “be torn asunder” は、あらたまった表現です。ですから、カジュアルな場面では “be torn apart into pieces” や “be disrupted” を使いましょう。
まとめ
以上、この記事では「四分五裂」について解説しました。
読み方 | 四分五裂(しぶんごれつ) |
---|---|
意味 | 組織の統一や団結が失われて、ばらばらになること。 |
由来 | 『史記』の「張儀伝」 |
類義語 | 四散五裂、分崩離析、支離滅裂など |
英語訳 | become disorganized(無秩序になる)、be disrupted(秩序が混乱する)など |
家族や職場、部活など、私たちは生活のなかで様々な組織に属しています。「四分五裂」になったとしても、その状況も乗り越えようとすることが大切ですね。