「刎頸の交わり」の意味とは?読み方は?使い方から類語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「刎頸(ふんけい)の交わり」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「刎頸の交わり」をざっくり言うと……

読み方刎頸(ふんけい)の交わり
意味共に首をはねられても悔いはないと言えるほどの深い付き合い
由来『史記』の廉頗と藺相如のエピソードから
類義語管鮑の交わり、金石の交わり、水魚の交わりなど
対義語犬猿の仲、水と油など
英語訳A friend in need is a friend indeed.(必要な時にそばにいる友人こそ、本当の友人。)

「刎頸の交わり」の意味をスッキリ理解!

刎頸(ふんけい)の交わり:共に首をはねられても悔いはないと言えるほどの深い付き合い

「刎頸の交わり」の意味を詳しく

「刎頸の交わり」は、共に首をはねられても悔いはないと言えるほどの深い付き合いを意味することわざです。

生死を共にできるほどの親しい交際や堅い友情を表します。

同じ意味で「刎頸の友」とも言います。

 

「刎」には「首をはねる」という意味があります。また、「頸」には「首」という意味があります。

つまり、「刎頸」は首を斬ることを意味します。一方、「交わり」は、付き合うことを表します。

「刎頚」を「刎刑」と書く人もいますが、こちらは誤りです。

「刎頸の交わり」の使い方

  • 彼とは青春時代によくやんちゃをしたものだ。お互いにケンカもしたが、今では刎頸の交わりといえる仲だ。
  • 刎頸の交わりとまでいえる友人は、一朝一夕で出来るものではない。
  • 彼は口先では刎頸の交わりと言っているが、いざとなったら保身に走るのではなかろうか。

「刎頸の交わり」の由来

「刎頸の交わり」の由来は、『史記』の廉頗藺相如列伝(れんぱりんしょうじょれつでん)です。『史記」とは、中国前漢の時代(紀元前206年から紀元前8年)に司馬遷により編集された中国の歴史書です。

元となっているのは、廉頗(れんぱ)と藺相如(りんしょうじょ)という人物のエピソードです。

中国の春秋時代、趙の将軍であった廉頗は、口先だけで自分より出世したとして、藺相如を恨んだ。しかし、藺相如は廉頗と争うと国を滅ぼすことになるとして、争いを避けた。

これを聞いた廉頗は、自らを恥じて藺相如に謝罪に行った。その時、お互いのために首をはねられても悔いはないとする「刎頸の交わり」を結んだ。

「刎頸の交わり」という言葉がでてくる原文は、以下の通りです。

卒相与驩為刎頸之交。

この部分を書き下し文に直すと、次のようになります。

卒(つひ)に相与に驩(よろこ)びて刎頸の交はりを為す。

田中角栄と「刎頸の交わり」

日本において「刎頸の交わり」ということわざが有名になったきっかけとしては、田中角栄の発言があります。

田中角栄は、1972年から64代・65代内閣総理大臣を務めた人物です。エリートではない経歴や、日中国交正常化の実現などにより、民衆から高い支持を受けました。

田中角栄は、国会の答弁において「刎頸の交わりをしている友人」「入内島氏とは刎頸の交わりをしているが、そんなことをする人ではない」などと発言しています。これらは新聞でも取り上げられ、「刎頸の交わり」の認知度が高まりました。

「刎頸の交わり」の類義語

「刎頸の交わり」には以下のような類義語があります。

「刎頸の交わり」の対義語

「刎頸の交わり」には以下のような対義語があります。

  • 犬猿の仲:非常に仲の悪い間柄のこと
  • 水と油:お互いの性格が合わないこと

「刎頸の交わり」の英語訳

「刎頸の交わり」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  1. A Damon and Pythias friendship
    (古代ギリシャのダモンとピュシアスのような関係)
  2. inseparable friendship
    (分けることのできない友情)
  3. A friend in need is a friend indeed.
    (必要な時にそばにいる友人こそ、本当の友人。)

➀の例文は、古代ギリシャの伝承が元になっています。死刑を言い渡されたピュシアスと、死刑猶予期間の保証人になったダモンの友情が描かれています。

まとめ

以上、この記事では「刎頸の交わり」について解説しました。

読み方刎頸(ふんけい)の交わり
意味共に首をはねられても悔いはないと言えるほどの深い付き合い
由来『史記』の廉頗と藺相如のエピソードから
類義語管鮑の交わり、金石の交わり、水魚の交わりなど
対義語犬猿の仲、水と油など
英語訳A friend in need is a friend indeed.(必要な時にそばにいる友人こそ、本当の友人。)

「刎頸の交わり」は、自分の命を懸けられるような親しい仲を意味します。

このような関係性は、1日や2日で築かれるものではありません。そのため、作ろうと思っても簡単に作れるものではないでしょう。

しかし、今ある友情や関係性の延長線上にきっと「刎頸の交わり」はあります。周囲にいる人を大切にすることが、「刎頸の交わり」への第一歩になるのではないでしょうか。