今回ご紹介する言葉は、熟語の「未曾有(みぞう)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「未曾有」をざっくり言うと……
読み方 | 未曾有(みぞう) |
---|---|
意味 | これまでに起こったことがないようなこと |
語源 | サンスクリット語で「奇跡」を意味する “adbhuta” から |
類義語 | 前代未聞、空前、前例のないなど |
対義語 | 普段、普通、通常など |
英語訳 | unprecedented(先例のない)、unheard-of(聞いたことのない)など |
「未曾有」の意味をスッキリ理解!
「未曾有」の意味を詳しく
「未曾有(みぞう)」には以下のような2つの意味があります。
- これまでに起こったことがないようなこと
- 非常にめずらしいこと
「未曾有」という熟語は、用いられている漢字を訓読みすると、その意味をより理解しやすくなります。
「未曾有」は、「未(いま)だ曾(かつ)て有らず」と読むことができます。
これは簡単な言葉で表すと、「今まで起こったことがない」という意味です。
「未曾有」の読み方は「みぞう」
「未曾有」は「みぞう」と読みます。
かつては「みぞうう」と読んだ時代もありましたが、現在は「みぞう」と読むのが一般的です。
「みぞゆう」「みぞうゆう」などと読むのは間違いなので注意が必要です。
「未曾有」の使い方
「未曾有」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。
- 広範囲で震度7が観測された未曾有の大地震から3年が経った。
- A国は、主な石油の輸入先であるB国の経済制裁によって、未曾有の危機に瀕している。
- ギターの練習を1年間毎日続けたことは、三日坊主の兄にとって未曾有のことであった。
上記の例文のように、「未曾有」という熟語は「未曾有の○○」というように使われるのが一般的です。
例文にあるように、この○○には「災害」や「危機」というような「人を不幸にする出来事、災い」というネガティブな意味合いを持つ単語がよく入ります。
❶の例文では、「広範囲で震度7が観測された大地震」を「未曾有」であると表現しています。
❷の例文は、ある国の経済状況が「未曾有」の危機にあると表現しています。
前2つの例文と異なり、❸の例文では純粋に「非常にめずらしい」という意味で「未曾有」が用いられています。
このような場合も「未曾有」を使うこともできますが、1年間ギターを続けた兄に「大げさに驚いている」という意味合いが含まれています。
基本的に「未曾有」は「スケールの大きい事態」に対して用いられることが多いので、使い方には注意しましょう。
「未曾有」の語源
「未曾有」は以下のような経緯で日本で一般的に用いられるようになりました。
- 古代インドの言葉、サンスクリット語で「奇跡」を意味する “adbhuta” という仏教用語として生まれる
- 中国で「未曾有」という漢字が当てられる
- 日本に「これまでにないほど良いこと」という意味で伝わる
- 鎌倉時代後期、「悪い事態」を表現する際にも使われるようになる
- 望ましくないことに対して使われることが多くなる
ちなみに、サンスクリット語の “adbhuta” は仏の神秘さや尊さを表現する時に用いられていた言葉です。
もともとは「いまだかつてないほど素晴らしいこと」を意味していました。
「未曾有」の類義語
未曾有には以下のような類義語があります。
- 前代未聞(ぜんだいみもん):これまでに聞いたことがないようなめずらしいこと
- 空前(くうぜん):これまでに例がないこと
- 前例(ぜんれい)のない:以前に似たような例が見られないこと
- 類(るい)のない:ほかに似たものがない
- 破天荒(はてんこう):今まで誰もしなかったことを成し遂げること
- 想定外(そうていがい):予想の範囲を超えた出来事のこと
- 歴史的(れきしてき):歴史上、記されるような重要な意味があること
「未曾有」が一般的に「良くないこと」にのみ用いられるのに対し、「未曾有」の類義語は「今までにないほど良いこと」にも使うことができます。
「未曾有」の対義語
「未曾有」には以下のような対義語があります。
- 普段(ふだん):ふだんと変わらない状態
- 普通(ふつう):ごくありふれたものであること
- 通常(つうじょう):ごく一般的に見られる状態であること
「未曾有」の英語訳
未曾有を英語に訳すと、次のような表現になります。
- unprecedented
(先例のない) - unheard-of
(聞いたことのない) - the (形容詞の最上級) on record
(記録上最も~な)
名詞を形容して「未曾有の~」と英語で言いたい場合は、最初に挙げた2つの形容詞を用いましょう。
たとえば、“The earthquake caused an unprecedented damage.” は、「その地震は未曾有の被害をもたらした」という意味です。
3つ目の表現では、○○の部分に形容詞の最上級を入れることで、何が「未曾有」であったかを表現できます。
まとめ
以上、この記事では「未曾有」について解説しました。
読み方 | 未曾有(みぞう) |
---|---|
意味 | これまでに起こったことがないようなこと |
語源 | サンスクリット語で「奇跡」を意味する “adbhuta” から |
類義語 | 前代未聞、空前、前例のないなど |
対義語 | 普段、普通、通常など |
英語訳 | unprecedented(先例のない)、unheard-of(聞いたことのない)など |
災害大国とも呼ばれる日本において「未曾有」という熟語は、日常的にニュースでよく見る言葉だと思います。
使う場面が来た時のために、この記事でしっかりと意味と使い方を理解しておきましょう。