イニシアチブとは「主導権」という意味です。
ビジネスを行っている人の中には、イニシアチブという単語を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
最近なんとなく使われるようになってきているカタカナ語ですが、正確な意味が分からないという人もいますよね。
今回は、そんなイニシアチブの意味や使い方などについてわかりやすく解説します。
☆「イニシアチブ」をざっくり言うと……
英語表記 | イニシアチブ(initiative) |
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意味 | 主導権 |
語源 | 英語・フランス語の “initiative” |
類義語 | リーダーシップ 率先 牽引など |
対義語 | 追随 追従 |
このページの目次
「イニシアチブ」の意味
主導権
例:Aの商品はイニシアチブがある。
イニシアチブは、主導権という意味をもつカタカナ語です。
主導権とは、「人の前に立ち、多くの人を先導して進むことができる権利」です。
イニシアチブは、大きく分けて以下のような種類があり、それぞれで微妙に意味が異なっています。
- ビジネスにおけるイニシアチブ
- 政治におけるイニシアチブ
- スポーツにおけるイニシアチブ
- ゲームにおけるイニシアチブ
ビジネスにおけるイニシアチブ
ビジネスにおいてイニシアチブという単語が使われる場合、次の3つの内のどれかの意味合いをもって使われています。
- 主導権
- 計画・戦略
- 自発性
主導権
ビジネスにおいて「主導権」という意味でイニシアチブという言葉が使われる際は、市場での商品の占有率について話しているケースがほとんどです。
占有率とは、「市場においてその商品が何%のシェアを示しているか」という数値です。
この数値が高ければ高いほど、市場においてイニシアチブを獲得していると考えることができます。
イニシアチブを獲得することによるメリットとしては、自社に有利になるよう周りの企業に対して圧力をかけることができるという点が挙げられます。
基本的に、市場においてはイニシアチブを握っている商品を基準として新製品が作られるため、イニシアチブを獲得している企業はその基準を自由に操作することができます。
これにより、他社の市場参入を防いだり、自社は自由な開発をできるようになるのです。
計画・戦略
ビジネスにおいては、イニシアチブは会社全体の方向性を決める計画・戦略といった意味合いで使われることもあります。
中でも、今ある事業を改善するための計画・戦略に対してイニシアチブが使われる傾向にあります。
自発性
また、ビジネスにおいては社員に対し、「イニシアチブがある」「イニシアチブがない」という形で使うことがあります。
この場合、「イニシアチブ」は自発性という意味で使われます。
つまり、「イニシアチブがある人」とは積極的に動く人のことであり、「イニシアチブがない人」は指示待ち人間になっているような人を指します。
政治におけるイニシアチブ
政治に関してイニシアチブが使われる場合には、以下のどちらかの意味で使われています。
- 国民発案
- 構想
国民発案
国民発案とは、国民が自分たちの力で条例制作に関与することができる権利です。
一定数の署名を集めることにより、国民は国会に対し、憲法や法律の改正案を提出することができるのです。
この権利を用いて、地方団体に条例案を提出したり、逆に今ある条例の撤廃を求めることが可能です。
構想
政治家が、自分の構想を掲げる際にイニシアチブを使うこともあります。
政治家が考えている内容をすべてまとめて、イニシアチブという言葉で表されます。
スポーツにおけるイニシアチブ
スポーツにおいてイニシアチブは、試合を有利に進めることという意味で使われます。
状況が有利になると「イニシアチブを握っている」、逆に不利になっていると「イニシアチブを握られている」という表現が使われます。
そのため、イニシアチブを握っている状態は、試合に勝ちそうな状況のことであると理解することができます。
ゲームにおけるイニシアチブ
ゲームにおいてイニシアチブが使われる場合、ゲーム内のユニットやキャラを動かす順番という意味で使われます。
主に、シミュレーションゲームやRPGといったジャンルのゲームで使われることが多いです。
イニシアチブゲームとは
イニシアチブという単語を使った言葉として、イニシアチブゲームというものがあります。
これは、複数人で一人で解決できない課題を解決するゲームのことです。
ゲームを通じてコミュニケーションが図られるため、初対面の人同士が緊張をほぐす目的などで使われることが多いです。
イニシアチブゲームの例としては、以下のようなものがあります。
- 日本列島
参加者全員で協力しながら、小さなプレートの上に全員が乗れるようにする - ラインナップ
参加者全員で丸太や角材の上に乗る。その後、そこから降りないようにしながら誕生日順や身長順など指定された順番に並び替える。
「イニシアチブ」の使い方
イニシアチブは、上でも挙げたように、ビジネス・政治・スポーツ・ゲームなど幅広い場面で使われます。
- この商品がイニシアチブを獲得できるよう、マーケティング戦略を綿密に考える。
- イニシアチブ制度を用いて、自分たちの意思を地方自治体に反映してもらう。
- 自分たちのチームが3-0と、イニシアチブを握っている状況だ。
- このゲームではイニシアチブの値が大きいほど、有利になれる。
一つ目の例文は、ビジネスにおいてイニシアチブが使われている例です。
主導権という意味でイニシアチブが使われています。
また、二つ目の例文は政治においてイニシアチブが使われている例です。
ここでは、国民発案という意味合いでイニシアチブが使われています。
三つ目の例文では、スポーツに関してイニシアチブが使われています。
そして最後の例文では、ゲームに関してイニシアチブが使われています。
「イニシアチブ」の語源
イニシアチブの語源は英語・フランス語の “initiative” です。
また、さらに語源をたどるとラテン語の “initiaus” にたどり着きます。
語源である英語の “initiative” には、以下の3つの意味があります。
- 新規計画
- 自発的
- 主導権
「イニシアチブ」の類義語
イニシアチブには以下のような類義語があります。
- リーダーシップ
統率力・指導力 - 率先
皆の先で物後をすること - 牽引(けんいん)
①物理的に物事を引っ張る
②(比喩的に)物事を主導して行う - 先導
先に立って案内すること
それぞれの類義語とイニシアチブの違いは、以下で詳しく説明します。
イニシアチブとリーダーシップの違い
リーダーシップは統率力・指導力という意味です。
イニシアチブとリーダーシップの違いは以下の通りです。
- イニシアチブ
物事を自分から引っ張っていくこと - リーダーシップ
人をまとめていく力
イニシアチブと率先の違い
率先は、先だって物事をすることという意味です。
イニシアチブの中にも「率先」というニュアンスがあるため、この2つの単語は同じ時に使用することができます。
イニシアチブと牽引の違い
牽引は、物事を大きな力で引っ張る事という意味です。
イニシアチブと牽引の違いは以下の通りです。
- イニシアチブ
物事を主導して行う - 牽引
①物理的に物事を引っ張る
②(比喩的に)物事を主導して行う
牽引も比喩的に、「物事を主導して行う」という意味を表すことがありますが、物理的に滑車などを用いて物体を引っ張る際にも使用できるという点が異なります。
イニシアチブと先導
先導とは、先に立って案内することという意味です。
イニシアチブと先導の違いは以下の通りです。
- イニシアチブ
主導権という意味も含まれている - 先導
物事を引っ張っていくという意味のみ
「イニシアチブ」の対義語
イニシアチブには以下のような対義語があります。
- 追随
前に行く者の後を追うこと - 追従
ついていくこと
追随・追従は両方とも、「前のものについていく」というニュアンスをもった言葉になっています。
そのため、主導権という意味をもつイニシアチブとは真逆の言葉となっています。
「イニシアチブ」のまとめ
以上、この記事ではイニシアチブについて解説しました。
英語表記 | イニシアチブ(initiative) |
---|---|
意味 | 主導権 |
語源 | 英語・フランス語の “initiative” |
類義語 | リーダーシップ 率先 牽引など |
対義語 | 追随 追従 |
このように、イニシアチブは場面ごとに様々な意味をもつ言葉です。
どの場面で使われても対応ができるよう、意味や使い方を正確に覚えておきましょう。