「複雑怪奇」の意味とは?使い方から類語や英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「複雑怪奇(ふくざつかいき)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「複雑怪奇」をざっくり言うと……

読み方複雑怪奇(ふくざつかいき)
意味様々な要素がからみ合っていて、とても分かりにくいこと
類義語複雑多岐、紆余曲折、奇奇怪怪
対義語単純明快、簡単明瞭
英語訳“complicated and mysterious” (複雑で不思議な)、 “bizarre and complex” (奇怪で複雑な)

「複雑怪奇」の意味をスッキリ理解!

複雑怪奇(ふくざつかいき):様々な要素がからみ合っていて、とても分かりにくいこと

「複雑怪奇」の意味を詳しく

「複雑怪奇」は、2つの似た意味の単語から成り立っています。

まず、「複雑」は「あることの事情が込み入っていて、容易に理解することができないこと」を意味しています。次に、「怪奇」とは「あやしくて不思議なこと」です。ちなみに、どちらの熟語も単独で使うことができます。

したがって、これらの熟語から成る「複雑怪奇」は「様々な要素がからみ合っていて、不思議に思えるほど分かりにくいこと」を意味するのです。

「複雑怪奇」の使い方

「複雑怪奇」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。

  1. 複数の犯罪グループが同時に関わっていたため、この詐欺事件は複雑怪奇に入り組んでいる。
  2. 今年から税金の制度が大きく変わった。ニュースでは、年収や子供の数など多くの条件によって払う額が変わることから、分かりづらく複雑怪奇なシステムだと批判されている。
  3. 昨年まで仲良くしていた2つの国の首脳が、現在は貿易問題などの多くの問題で火花を散らしている。国際情勢は、まさに複雑怪奇だ。

以上のように、「~は複雑怪奇だ」や「複雑怪奇な~」というように使われるのが一般的です。

「複雑怪奇」は、1つ目と2つ目の例文のように、「多くの要因が複雑に絡み合っていて分かりづらい」ことを表現するのに用いることができます。事件や制度といったものが、単純に説明できないような場合に用いましょう

3つ目の例文では、どちらかというと「不思議」という面が強調されています。「少し前まで仲が良かったのに、いつの間にかけんかしている。一体どうしてこんなことになっているのか」という気持ちを表しています。

「複雑怪奇」の類義語

複雑怪奇には以下のような類義語があります。

  • 複雑多岐(ふくざつたき):事情が込み入っていて、理解しづらいこと
  • 奇奇怪怪(ききかいかい):常識では理解できないような不思議なこと
  • 紆余曲折(うよきょくせつ):複雑な事情のせいで、物事がなかなか上手くいかないこと

どの四字熟語も「複雑怪奇」と意味が似ていますが、ニュアンスが少しずつ違います。

「複雑多岐」は、物事の「複雑さ」を強調していますが、特に「不思議だ」という感情は表していません。対して、「奇奇怪怪」は「不思議な、奇怪な」という意味がありますが、「複雑だから不思議に思える」というニュアンスはありません。

これら2つの四字熟語は、「複雑」か「怪奇」かのどちらかの意味のみを持っていると言えます。

 

「紆余曲折」については、「複雑さ」によってなかなか物事が思うように進まないという「経過」に焦点が当てられています。

それぞれのニュアンスをしっかりと理解して、上手く使い分けましょう。

「複雑怪奇」の対義語

複雑怪奇には以下のような対義語があります。

  • 単純明快(たんじゅんめいかい):ある物事がスッキリとしていて分かりやすいこと
  • 簡単明瞭(かんたんめいりょう):分かりやすくて、はっきりとしていること

「複雑怪奇」の英語訳

複雑怪奇を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • complicated and mysterious
    (複雑で不思議な)
  • bizarre and complex
    (奇怪で複雑な)

どちらの言い回しも、「複雑」と「不思議」という意味の英単語を並べて「複雑怪奇」の意味を表しています。

「複雑怪奇な事件」と言いたい場合は、“bizarre and complex case” というように使いましょう。

まとめ

以上、この記事では「複雑怪奇」について解説しました。

読み方複雑怪奇(ふくざつかいき)
意味様々な要素がからみ合っていて、とても分かりにくいこと
類義語複雑多岐、紆余曲折、奇奇怪怪
対義語単純明快、簡単明瞭
英語訳“complicated and mysterious” (複雑で不思議な)、 “bizarre and complex” (奇怪で複雑な)

太平洋戦争開戦の少し前まで首相を務めた平沼騏一郎(きいちろう)は、「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた」という言葉を残しました。

これは、ソ連とドイツがお互いに戦わないという約束をしたという衝撃の知らせを受けて発言されました。日本とドイツは、共通の敵であったソ連を東西から抑えるために同盟を結んでいたので、ドイツの動機が理解できず、日本にとって非常に困った行動でした。

このように、一見不思議に見えるほど複雑な現象を表現するのに「複雑怪奇」は適しています。しかし、「複雑すぎて分からないから、考えるのはやめた」という言い訳には使いたくないものですね。

 

「複雑怪奇」という四字熟語は、あまり日常的な四字熟語であるとは言えないでしょう。

しかし、いざ使う場面が来た時のために、この記事でしっかりと意味と使い方を理解しておきましょう。