今回ご紹介する言葉は、ことわざの「棒に振る」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「棒に振る」をざっくり言うと……
意味 | これまでの努力や苦労、習得してきたものを無駄なものにしてしまうこと |
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由来 | 「棒振り」という行商は、苦労の割に稼ぎが少なく、無駄な努力とされたことから |
類義語 | 水泡に帰す、元の木阿弥など |
英語訳 | He gambled his life on the crime.(彼はその犯罪で人生を棒に振った。) |
「棒に振る」の意味をスッキリ理解!
「棒に振る」の意味を詳しく
「棒に振る」とは、これまでの努力や苦労、習得してきたものを無駄にしてしまうことを言います。特に、長い間積み重ねてきたことが、無かったことになるような場合に使用します。
また、偶然めぐって来た幸運を活かせずに機会を逃してしまう、という意味もあります。
通常は、後悔する気持ちやもったいないという感情と共に、ネガティブな意味で使われます。
「棒に振る」の使い方
- せっかくのチャンスを、寝坊のせいで棒に振ってしまった。最悪だ。
- サッカー選手になるのが夢だったが、足に大きなケガしてしまった。人生棒に振ったようなもんだ。
- 緊張して頭が真っ白になり、うまく演奏ができなかった。せっかくのソロを棒に振ってしまった。
- ほんの出来心が、人生を棒に振ってしまう。
- 最低な男と結婚してしまい、一生を棒に振ってしまったような気分だ。
「棒に振る」の由来
昔は、店舗を構えずに、移動しながら行く先々で物を売る「行商」が盛んにおこなわれました。
また、「行商」の中でも、魚や野菜を天秤に乗せて売る方法は「棒手振り」と呼ばれていました。棒手振りは、商品を安く売る手法で、仮に全てを売り払っても、大きな儲けを出すことはほとんどありませんでした。
苦労の割に儲けが出ないことから、いつしか「棒手振り」は「無駄な努力」を意味するようになりました。
さらに、せっかくのものを棒手振りで安く損して売ってしまうということから、ことわざ「棒に振る」が生まれました。
「棒に振る」の類義語
「棒に振る」には以下のような類義語があります。
- 水の泡(みずのあわ):今までの努力を無駄になってしまうこと
- 元の木阿弥(もとのもくあみ):一度は良い状態になったものが、元の状態に戻ってしまうこと
「棒に振る」の英語訳
「棒に振る」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- He wasted his big chance.
(彼はチャンスを無駄にしてしまった。) - I ruined my career.
(私は人生を無駄にしてしまった。) - He gambled his life on the crime.
(彼はその犯罪で人生を棒に振った。)
英語には、「棒に振る」にそのまま対応する表現はありません。そのため、上記の英語訳は、同様の意味合いを持つ英文です。
まとめ
以上、この記事では「棒に振る」について解説しました。
意味 | これまでの努力や苦労、習得してきたものを無駄なものにしてしまうこと |
---|---|
由来 | 「棒振り」という行商は、苦労の割に稼ぎが少なく、無駄な努力とされたことから |
類義語 | 水泡に帰す、元の木阿弥など |
英語訳 | He gambled his life on the crime.(彼はその犯罪で人生を棒に振った。) |
せっかくの努力を、無駄にしてしまうなんて、あまりに無念です。
しかし、ひょんな失敗によって、大きなチャンスを棒に振ってしまうこともあります。
努力を重ねたからといってそれに甘んじず、注意深くすることを常に心がけましょう。そうすれば、将来何かを「棒に振る」可能性は、低くなるでしょう。