今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「アテンド」です。
「アテンド」の意味・使い方・語源・類義語・訳し方についてわかりやすく解説します。
☆「アテンド」をざっくり言うと……
英語表記 | アテンド(attend) |
---|---|
意味 | 付き添ってお世話をすること、または介添人 |
語源 | 英語の自動詞である“attend” |
訳し方 | ①名詞:案内人、付添人など ②動詞:〜のお世話をする、〜の接待をするなど |
このページの目次
「アテンド」とは?
「アテンド」の意味を詳しく
「アテンド」には以下の2つの意味があります。
- 世話をする
- 介添人
それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。
意味①:世話をする
「アテンド」は「世話をする」という意味で用いられることが多いです。
場面によってニュアンスが異なり、以下のような意味で用いられることもあります。
- 案内すること
- 接待すること
- 付き添うこと
意味②:介添人
「アテンド」は「介添人」という意味で用いられることも多いです。
具体的には、以下のような人のことを指します。
- 結婚式で花嫁の身の回りの世話をする人
- 高齢者や障害者の世話をする人
- 旅行でガイドをする人
- 旅行で通訳する人
このような意味の場合、「アテンドスタッフ」という言葉が使われていることも多いです。
「アテンド」の業界ごとの意味
「アテンド」は使われる業界ごとに微妙に意味が異なります。
そこで、この見出しでは以下の業界別に「アテンド」の意味について見ていきましょう。
- イベント業界
- 旅行業界
- ブライダル業界
- ホテル業界
- ゴルフ業界
- デパート業界
イベント業界での「アテンド」の意味
イベント業界での「アテンド」は「案内係」を表します。
イベント会場でお客様に会場内の案内をする人のことです。
イベントでメインとなる人をサポートする人のことを指すこともあります。
旅行業界での「アテンド」の意味
旅行業界での「アテンド」は「ツアーガイド」のことです。
旅行先で旅客の道案内をしたり、外国人旅行者の通訳を担当したりします。
たとえば、バスガイドは「アテンド」の一種と言えます。
ブライダル業界での「アテンド」の意味
ブライダル業界での「アテンド」は花嫁の身の回りの世話をする人のことです。
また、結婚式がスムーズに進行するようにサポートすることを指すこともあります。
ホテル業界での「アテンド」の意味
ホテル業界での「アテンド」は接客業務のことを指します。
具体的には、宿泊客のサポートをすること全般を「アテンド」と言います。
たとえば、以下のようなことがホテル業界における「アテンド」の業務と言えます。
- 宿泊客を部屋まで案内する
- 宿泊客の荷物を持ち運ぶ
- 宿泊手続きを行う
ゴルフ業界での「アテンド」の意味
ゴルフ業界での「アテンド」はグリーン上でパットをする際、ホールの位置をキャディーなどに旗を持って示してもらうことを指します。
デパート業界での「アテンド」の意味
デパート業界での「アテンド」はスタッフがお客様の希望を聞き、おすすめの商品を案内することを指します。
高級デパートで見られることがあるサービスです。
「アテンド」がつく言葉
「アテンド」がつく言葉には以下のようなものがあります。
- アテンドツアー
- アテンドスタッフ
- アテンドナース
- フライトアテンダント
- アテンドサービス
それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。
アテンドツアー
「アテンドツアー」とは通常よりもサービスが充実したツアーのことを指します。
普通のツアーは旅客を旅行先まで連れて行く程度のサービスにとどまります。
一方、「アテンドツアー」ではマンツーマンで付き添って旅先を案内してくれます。
具体的には以下のようなことを行ってくれます。
- 通訳
- 観光名所の案内
- オーダーメイドの旅行プランの提案
- お土産選びのアドバイス
アテンドスタッフ
「アテンドスタッフ」とは、サポートするスタッフのことです。
分野によってさまざまなスタッフのことを指します。
たとえば、イベントではお客様の案内をする人を「アテンドスタッフ」と呼ぶことが多いです。
アテンドナース
「アテンドナース」とは、旅行に同伴する看護師のことです。
「ツアーナース」と呼ばれることもあります。
旅行中にけが人や急病人が出た場合に備えて、修学旅行などの団体旅行に同行することが多いです。
フライトアテンダント
「フライトアテンダント」とは、飛行機の中でお客様の案内を担当する人のことです。
「客室乗務員」「キャビンアテンダント」と呼ばれることもあります。
アテンドサービス
「アテンドサービス」はスタッフが付き添ってくれるサービスのこと全般を指します。
意味が広いので業界ごとに違った使い方をします。
たとえば、高級デパートの場合はスタッフがお客様の買い物に付き添って商品の案内などを行ってくれるサービスのことを指します。
「アテンド」の使い方
- 明日は当社のお得意様をアテンドする予定が入っている
- ガイドの人にアテンドしてもらったので、道に迷うことはなかった
- 昨日の大学のイベントで、アテンドスタッフの手際は実に素晴らしかった
「アテンド」は、由来となった “attend” が幅広い意味を持っているため、文脈によって意味合いが変わってきます。
まず、①の「アテンド」は業務上で誰かの付き添いをするということで、自然に訳すと「〜を接待する」になります。
次に、②の「アテンド」は道案内に付き添ってもらうということで、「〜に案内する」という訳が自然になります。
最後に、③の「アテンド」は施設内の案内やイベント運営を行うということで、「〜の段取りをつける」という意味合いとなります。
このように、「アテンド」は文脈によって意味合いが変わってきますが、「〜に意識を向ける」という点では全て同じです。
つまり、意識を向けた先が何であるのかによって、自然な訳が変わってくるということですね。
「アテンド」の語源
「アテンド」の語源は英語の動詞 “attend” です。
英語の “attend” には以下のような意味があります。
- 参加する
- (学校に)通う
- 世話をする
- 付きそう
- 伴う
- 出席する
- 注意する
カタカナ語の「アテンド」よりもさらに意味が広いことがわかります。
なお、英語の “attend” はラテン語の「~へ向ける」という単語に由来があります。
「アテンド」の類義語
「アテンド」には以下のような類義語があります。
- アテンダント:特定の人を世話したり接客したりする人
- エスコート:男性が女性に付き添うこと
- ガイド:案内すること
- アテンダンス:出席すること
- サポート:支援すること
- 案内人:道を先導したり、手順を説明したりする人
- 世話係:面倒を見る役割を持つ人
- 同伴(どうはん):一緒に連れ立つこと
「アテンド」と「アテンダント」の違い
「アテンダント」は特定の人を世話したり、接客したりする人のことです。
「アテンド」と「アテンダント」の違いは以下のとおりです。
- アテンド:動詞として用いられる
- アテンダント:名詞として用いられる
「アテンダント」は「アテンド」を名詞にした表現なのです。
なお、「アテンド」と「アテンダント」の間にこれと言った意味の違いはありません。
「アテンド」と「エスコート」の違い
「エスコート」は男性が女性に付きそうことを指します。
「アテンド」と「エスコート」には以下のような違いがあります。
- アテンド:付き添うこと全般を表す
- エスコート:男性が女性に付き添うことを表す
「エスコート」のほうが「アテンド」よりも限定的な場面でしか用いないのです。
また、「アテンド」は業務として付き添うことを指す場合が多いです。
一方、「エスコート」の場合はプライベートな関係で男性が女性に付き添うことを指します。
「アテンド」と「ガイド」の違い
「ガイド」とは、案内することを指します。
「アテンド」と「ガイド」には以下のような違いがあります。
- アテンド:案内人、接客係、世話をする人、などの意味で用いられる
- ガイド:案内人の意味のみで用いられる
「ガイド」には案内人の意味しかなく、「アテンド」よりも意味が狭いのです。
そのため、「ガイド」を「アテンド」と言い換えることはできますが、逆はできません。
「アテンド」の訳し方
カタカナ語の「アテンド」は、「〜のお世話をする」のような動詞的な訳し方と、「付添人」のような名詞的な訳し方ができます。
多様なシチュエーションで使えることから便利な言葉といえますが、その分、人によっては混乱を招くことも珍しくありません。
そこで、アテンドの訳し方について、「①名詞」と「②動詞」の2つの側面からまとめていきます。
アテンドの訳し方
- 名詞
- 案内人
- 付添人
- 随行者
- 世話役
- 補佐役
- 動詞
- 〜のお世話をする
- 〜の接待をする
- 〜の段取りをつける
まとめ
以上、この記事では「アテンド(attend)」について解説しました。
英語表記 | アテンド(attend) |
---|---|
意味 | 付き添ってお世話をすること、または介添人 |
語源 | 英語の自動詞である“attend” |
訳し方 | ①名詞:案内人、付添人など ②動詞:〜のお世話をする、〜の接待をするなど |
大学受験で英単語帳を使っていた人の多くは、アテンドを「〜に出席する」という意味で覚えていたと思います。
しかし、英語ではなくカタカナ語として使う場合には別の意味になりますので、今後は注意していきたいですね。