今回ご紹介する言葉は、「故事成語」の「疾きこと風の如し(はやきことかぜのごとし) 」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「疾きこと風の如し」をざっくり言うと……
読み方 | 疾きこと風の如し(はやきことかぜのごとし) |
---|---|
意味 | 行動するときには、風のように速いことが望ましい。 |
由来 | 『孫子(そんし)第七篇「軍争篇」|孫武』 |
類義語 | 電光石火、疾風迅雷、疾風怒濤など |
対義語 | 動かざること山の如し |
英語訳 | as fast as the wind、Swift as the wind. |
このページの目次
「疾きこと風の如し」の意味をスッキリ理解!
「疾きこと風の如し」の意味を詳しく
「疾きこと風の如し」とは、「いざ動く際には、疾風のように速く駆け抜けることが大事」という意味を表す「故事成語」です。
かの有名な戦国時代の大名「武田信玄」の軍旗には、「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」という言葉が記されていました。
ここで登場する4つの語句の漢字を1文字ずつ抜き取ってできた言葉が「風林火山」であり、「疾如風」は「疾きこと風の如し」を表しています。
そのため、「疾きこと風の如し」という言葉は、日本では「風林火山」の一節として有名です。
「疾きこと風の如し」の使い方
「疾きこと風の如し」は、具体的には以下のように使います。
- 疾きこと風の如しがモットーである彼は、仕事の際には何よりも速さを大事にしている。
- 疾きこと風の如しを体現している彼女は、行動時のスピード感がずば抜けている。
- 厨房は戦場だ。ゆえに、コックは皆疾きこと風の如しを心がけている。
「疾きこと風の如し」の由来
「疾きこと風の如し」という故事成語の由来は、中国春秋時代に活躍した兵法家である「孫武」が記した有名な兵法書『孫子(そんし)第七篇「軍争篇」』にあります。
『孫子』には軍隊の効果的な運用方法が記されており、その中の「故に其の疾きことは風の如く、其の徐なることは林の如く、侵掠することは火の如く、動かざることは山の如く・・・」という一節に「疾きこと風の如し」が登場しています。
先述した通り、「風林火山」はこの一節の漢字を1文字ずつ抜き取って生まれた言葉であり、軍隊は以下のように運用することが望ましいということを表しています。
- 敵を攻めるときには疾風のように速く動き
- 待機するときには林のように静寂を保ち
- いざ攻撃するときには苛烈な火のように攻め立て
- 敵から攻められたときには山のようにどっしりとした心構えで受けきる
「疾きこと風の如し」という故事成語の由来は、武田信玄の軍旗にあると思われることが多いですが、本当の由来は「孫武」が記した兵法書『孫子』にありますので注意しましょう。
「疾きこと風の如し」の類義語
疾きこと風の如しには以下のような類義語があります。
「疾きこと風の如し」という言葉は普段見慣れない故事成語ですので、初めて聞く人には意味が分かりづらいかもしれません。
他人に正しく意味を伝えたい際には、類義語の「電光石火」を引き合いに出すといいでしょう。
「疾きこと風の如し」の対義語
疾きこと風の如しには、これという対義語はありません。
しかし、あえて挙げるとするならば、同じ風林火山の一節である「動かざること山の如し」になるのではないでしょうか。
- 動かざること山の如し
動かざること山の如しとは、「敵が攻めて来たときには、山のようにどっしりと構えて、動くべきときまでは絶対に動かない」という意味を表す故事成語です。
兵法書『孫子(そんし)』を記した孫武は、軍隊が攻めるときには「疾きこと風の如し」を心がけ、守るときには「動かざること山の如し」を心がけることが望ましいと考えていたのですね。
「疾きこと風の如し」の英語訳
疾きこと風の如しを英語に訳すと、次のような表現になります。
- as fast as the wind
(風と同じくらい速い) - Swift as the wind.
(風のように迅速である。)
まとめ
以上、この記事では「疾きこと風の如し(はやきことかぜのごとし) 」について解説しました。
読み方 | 疾きこと風の如し(はやきことかぜのごとし) |
---|---|
意味 | 行動するときには、風のように速いことが望ましい。 |
由来 | 『孫子(そんし)第七篇「軍争篇」|孫武』 |
類義語 | 電光石火、疾風迅雷、疾風怒濤など |
対義語 | 動かざること山の如し |
英語訳 | as fast as the wind、Swift as the wind. |
もし、戦国時代の武将になれるのであれば、自分の軍隊が攻めるときには「疾きこと風の如し」を心がけていきたいですね。