「助長」の意味とは?使い方から類語や対義語や英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「助長」です。

「助長」の意味、例文、由来、類義語、対義語、「冗長」との違い、英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「助長」をざっくり言うと……

読み方助長(じょちょう)
意味不必要な力添えをしてかえって害すること
由来『孟子』の「今日病れたり。予苗を助けて長ぜしむ」という言葉から
類義語荷担、助成
対義語妨害
英語訳“promote” など

「助長」の意味をスッキリ理解!

助長(じょちょう):不必要な力添えをしてかえって害すること

「助長」の意味を詳しく

「助長」には以下のような意味があります。

「助長」の意味
  1. 不必要な力添えをしてかえって害すること
  2. 力を添えてある物事の成長や発展を助けたり、ある傾向をより著しくさせること

もともとは①の意味でしたが、現在では②の意味でも用いられるようになっています。

「助長」の例文

  1. 君の発言は社員のさぼりを助長しているから、言葉には気を付けてほしい。
  2. アメリカ大統領のあの発言はテロを減らすどころか助長するものだ。
  3. あの発言は障がい者への差別を助長するものである。今すぐ撤回してほしい。
  4. 感染症拡大により市民の不安が助長された。
  5. この法律は青少年の豊かな成長を助長するために制定された。

❶~❸の例文のように、「助長」は「不必要な力添えをしてかえって害すること」という悪い意味で用いられることが多いです。

ただ、❺の例文のように「力を添えてある物事の成長や発展を助けたり、ある傾向をより著しくさせること」というポジティブな意味で用いられることもあります。

また、他者から影響を受けている様子を表したい時には、❹の例文のように「助長された」という受け身の形を用いると良いでしょう。

「助長」の由来

「助長」の出典は『孟子(もうし)』の「公孫丑(こうそんちゅう)・上」という章です。

この章の以下のようなエピソードが「助長」の由来です。

中国の戦国時代に、孟子という人物がいました。

彼はあるとき、弟子に、ゆったりとした精神を育てるためには心の成長にしたがって育てていくべきである、ということを教えようと思いました。

そして、「宋(そう)の国の農夫が苗の生長が遅いのを待ちきれず、茎をひっぱって伸ばしたために、苗はみんな枯れてしまった」というたとえ話をしました。

この章の中に、以下のような言葉が出てきます。

原文:
「今日病(つか)れたり。予(よ)苗(なえ)をけてぜしむ」

日本語訳:
「今日は疲れたよ。私は苗をひっぱって生長するのを助けてやったんだよ」

これが「助長」の由来になりました。

由来となった話からわかるように、「助長」はもともとは「不必要な力添えをしてかえって害すること」という悪い意味の言葉でした。

『孟子』

『孟子』とは中国の戦国時代の思想家である孟子の逸話や問答についてまとめた書物です。

儒教でもっとも大切にされている「四書(ししょ)」のひとつになっています。

「助長」の類義語

「助長」には以下のような類義語があります。

  • 荷担(かたん):力を貸して援助すること
  • 助成(じょせい):事業や研究の完成を助けること

「助長」の対義語

「助長」には以下のような対義語があります。

  • 妨害(ぼうがい):邪魔すること

「助長」と「冗長」の違い

「助長(じょちょう)」と「冗長(じょうちょう)」は漢字も読み方も似ている言葉です。

しかし、以下のように意味はぜんぜん異なるので注意しましょう。

  • 助長:不必要な力添えをしてかえって害すること
  • 冗長:話や文章の内容が無駄に長いこと

「助長」の英語訳

「助長」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • promote
    (促進する)
  • encourage
    (促す)
  • aggravate
    (悪化させる)
  • abet
    (けしかける)

まとめ

以上、この記事では「助長」について解説しました。

読み方助長(じょちょう)
意味不必要な力添えをしてかえって害すること
由来『孟子』の「今日病れたり。予苗を助けて長ぜしむ」という言葉から
類義語荷担、助成
対義語妨害
英語訳“promote” など

「助長」はとても有名な故事成語なので聞いたことがあるという人も多かったのではないでしょうか。

むしろ、これが故事成語だということに驚いた人もいると思います。

積極的に使っていきたいですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。