今回ご紹介する言葉は、故事成語の「木に縁りて魚を求む(きによりてうおをもとむ)」です。
「木に縁りて魚を求む」の意味、例文、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「木に縁りて魚を求む」をざっくり言うと……
読み方 | 木に縁りて魚を求む(きによりてうおをもとむ) |
---|---|
意味 | 方法が間違っているので目的が達成できないこと |
由来 | 『孟子』に出てくる言葉から |
類義語 | 氷を叩いて火を求む、畑に蛤、百年河清を俟つ、など |
英語訳 | Look not for musk in a dog’s kennel. (犬小屋の中にジャコウを見つけようとするな) |
このページの目次
「木に縁りて魚を求む」の意味をスッキリ理解!
「木に縁りて魚を求む」の意味を詳しく
「木に縁りて魚を求む」とは、方法が間違っているので目的が達成できないことです。
また、「見当違いで実現不可能な望みを持つこと」という意味もあります。
そして、「物事の細部や一部分に気を取られて全体を見失う」という意味を表すこともあります。
「木に縁りて魚を求む」の例文
- 木に縁りて魚を求むとは言うが、彼はやっているのはこれと似たようなことだ。
- 筋トレには休息日が必要だ。毎日筋トレをするのは木に縁りて魚を求むようなものだ。
- 彼は木に縁りて魚を求むような努力をしてしまったため、事業に失敗してしまった。
「木に縁りて魚を求む」の由来
「木に縁りて魚を求む」の出典は『孟子(もうし)』の「梁恵王(りょうけいおう)・上」という章です。
この章の中に「土地僻き秦楚を朝せしめ、中国に莅んで四夷を撫せんと欲するなり。若き為す所を以て若き欲することろを求むるは、猶お木に縁りて魚を求むるがごときなり」という言葉が出てきます。
これは孟子が斉(せい)の宣王(せんおう)に言った言葉ですが、「武力を使って天下の王になろうとするのはまるで木に登って魚を捕まえようとするものであり、絶対にできるわけがない」という意味を表しています。
孟子は武力による統一はよくないことであると考えており、まずは仁政(※1)によって民の生活を安定させることが重要だと考えていたのです。
- 仁政(※1):恵み深くて、思いやりがある政治のこと
「木に縁りて魚を求む」の類義語
「木に縁りて魚を求む」には以下のような類義語があります。
- 氷を叩いて火を求む
- 水中に火を求む
- 天に橋をかける
- 天を指して魚を射る(てんをさしてうおをいる)
- 畑に蛤(はたけにはまぐり)
- 百年河清を俟つ(ひゃくねんかせいをまつ)
- 水を煎りて氷を作る(みずをいりてこおりをつくる)
- 山に蛤を求む(やまにはまぐりをもとむ)
「木に縁りて魚を求む」の英語訳
「木に縁りて魚を求む」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Look not for musk in a dog’s kennel.
(犬小屋の中にジャコウを見つけようとするな)
ちなみに、ジャコウとはジャコウ鹿というチベットやシベリアにいる小型の鹿から採取した香料のことです。
そのいいにおいと、犬小屋のくさいにおいが対比されています。
また、「木に縁りて魚を求む」には他にも以下のような英語訳が考えられます。
- to be unable to accomplish something because one has chosen the wrong method
(方法が間違っているので達成することができない) - You ask an elm tree for pears.
(ニレの木にナシを求める) - to ask for the impossible
(不可能なことを要求する) - to look for fish by climbing a tree
(木に登って魚を探す)
まとめ
以上、この記事では「木に縁りて魚を求む」について解説しました。
読み方 | 木に縁りて魚を求む(きによりてうおをもとむ) |
---|---|
意味 | 方法が間違っているので目的が達成できないこと |
由来 | 『孟子』に出てくる言葉から |
類義語 | 氷を叩いて火を求む、畑に蛤、百年河清を俟つ、など |
英語訳 | Look not for musk in a dog’s kennel. (犬小屋の中にジャコウを見つけようとするな) |
「木に縁りて魚を求む」の由来は滑稽な話でしたが、現実世界にはこれと似たようなことがあるものです。
生活していく中でピッタリな場面があったら、この故事成語を使ってみてはいかがでしょうか。