今回ご紹介する言葉は、故事成語の「愚公山を移す(ぐこうやまをうつす)」です。
この言葉はとても誤解されやすいですが、実はポジティブな意味の言葉です。正確な意味や使い方について知っておきたいですよね。
そこで、「愚公山を移す」の意味・由来・例文・類義語・英訳についてわかりやすく解説します。
☆「愚公山を移す」をざっくり言うと……
読み方 | 愚公山を移す(ぐこうやまをうつす) |
---|---|
意味 | どんな困難なことでも、辛抱強く努力を続ければ必ず成し遂げることができるということ |
由来 | 愚公が自宅の前にある山を移そうとしたことから |
類義語 | 雨だれ石を穿つ、金輪際の玉も拾えば尽きる、ローマは一日にして成らず、など |
英語訳 | Rome was not built in a day |
このページの目次
「愚公山を移す」の意味をスッキリ理解!
「愚公山を移す」の意味を詳しく
「愚公山を移す」とは、どんな困難なことでも、辛抱強く努力を続ければ必ず成し遂げることができるということです。
ちなみに、「愚公」を「愚行」「愚考」などとは書かないので注意が必要です。
そして、この言葉は「愚かな者でも努力したら成し遂げられる」「多少頭がいい人よりも融通の利かない、正直だけがとりえの人のほうがすごいことを成し遂げられる」という意味で使われることもあります。
そのため、誉め言葉だと思って使うと、失礼な表現だと受け取られてしまう場合もあります。
ちなみに、「愚公山を移す」は毛沢東が演説の中で使ったことで有名になりました。
毛沢東は中華人民共和国を建国した人物です。
死去するまでこの国の最高指導者でした。
「愚公山を移す」の由来
「愚公山を移す」の出典は『列子(れっし)』の「湯門(とうもん)篇」という章です。
詳しく見ていきましょう。
昔、中国に愚公(ぐこう)という90歳にもなる老人がいました。
彼は家族と協力して、家の前にある2つの大きな山、太行山・王屋山を他の場所へ移そうとしました。
そして、山を移すために、土を運び始めました。
人々は「絶対無理だ」と愚公の愚かさをあざけ笑いましたが、愚公はひるみません。
「子孫がこの行いを引き継げば山を移動させることができるだろう」と反論します。
そうして、愚公があきらめずに山の土を運んでいると、天帝はその志(こころざし)に感動しました。
そして、天帝は山を移動させてしまったのです。
上記の内容から、たとえ小さな努力であったとしても、続けることで必ず実を結ぶという教訓を込めて「愚公山を移す」という言葉が誕生しました。
「愚公山を移す」の例文
- 愚公山を移すと言うが、私もあきらめずに頑張ろうと思う。
- 愚公山を移すという言葉を座右の銘にして、毎日努力していきたい。
- 愚公山を移すという言葉を何回も思い出し、受験勉強を頑張った。
「愚公山を移す」の類義語
「愚公山を移す」には以下のような類義語があります。
- 雨だれ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)
- 金輪際(こんりんざい)の玉も拾えば尽きる
- 点滴石を穿つ
- ローマは一日にして成らず
つまり、小さな努力も、継続すればやがて実を結ぶということを意味する言葉です。「点滴石を穿つ」も同様の意味です。
「金輪際の玉も拾えば尽きる」の「金輪際」は、仏教用語です。仏教では、大地の下に黄金でできた金の輪があるとされていました。その金の輪の果て、つまりは大地の果て
を「金輪際」と言いました。
大地の底にある玉を拾う作業は、果てしないことのように思えますが、それを続ければ拾い終えることができます。諦めずに努力を継続することの大切さを説いている言葉です。
「ローマは一日にしてならず」は、かつて大帝国を築いたローマでさえ、何百年もの苦労を経験しているという意味です。努力がすぐに結果に結びつかないことと、続ける音が大切であることを説いています。
「愚公山を移す」の英語訳
「愚公山を移す」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Where there’s a will, there’s a way
(意志あるところに道は開ける) - Rome was not built in a day.
(ローマは一日にして成らず)
まとめ
以上、この記事では「愚公山を移す」について解説しました。
読み方 | 愚公山を移す(ぐこうやまをうつす) |
---|---|
意味 | どんな困難なことでも、辛抱強く努力を続ければ必ず成し遂げることができるということ |
由来 | 愚公が自宅の前にある山を移そうとしたことから |
類義語 | 雨だれ石を穿つ、金輪際の玉も拾えば尽きる、ローマは一日にして成らず、など |
英語訳 | Rome was not built in a day |
「愚公山を移す」はとても勉強になる言葉でもありますよね。すぐに実らない努力を続けることは、果てしないことのように思えますが、ゴールには確実に近づいているはずです。
物事はやはり、継続していきたいものですね。