今回ご紹介する言葉は、ことわざの「後の祭り(あとのまつり)」です。
意味、使い方、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「後の祭り」をざっくり言うと……
読み方 | 後の祭り(あとのまつり) |
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意味 | 時期が遅すぎて、今からやっても間に合わず、後悔すること |
由来 | 京都八坂神社の「祇園祭」(諸説あり) |
類義語 | 六日の菖蒲、証文の出し遅れ、後薬など |
英語訳 | It’s too late.(遅すぎる。) |
「後の祭り」の意味をスッキリ理解!
「後の祭り」の意味を詳しく
「後の祭り」とは、「時期が遅すぎて、今からやっても間に合わない」という意味で、基本的には後悔の念を表します。時期や機会を逃してしまうことで、手遅れになってしまうということです。
また、時期が過ぎてしまった時だけでなく、「やってはいけないことをやってしまったとき」にも使われます。やってはいけないことをやってしまった場合も、それを取り返そうと頑張っても間に合わないと考えることができるのです。
人間は、様々な場面で時期や機会を逃してしまう生き物です。例えば、学校が始まる前日まで、夏休みの宿題にほとんど手を付けていなかった経験はありませんか。また、自分でなくとも周りにそういうような友人はいませんでしたか。
締め切りがあって、それまでにやらなければいけないのは分かっているのにもかかわらず、夏休みの楽しさに負けてしまうものです。前日に宿題に取り掛かっても、それはもう手遅れです。やるべき時期にやらずに、時期を逃してしまう良い例です。
他にも、例えば、好きな異性がいたとします。しかし、告白できずにグズグズしていたら、好きな異性は他の人と付き合い始めてしまう可能性があります。つまり、告白という機会を逃すことで、手遅れとなってしまう例です。
このような、時期や機会を逃してしまう際に共通して起こる感情が「後悔」です。「後の祭り」という言葉には、この後悔の念が含まれています。
「後の祭り」の例文
- 今日のテストの勉強を今からやっても、そんなの後の祭りだ。
- トイレに行きたいが終電に乗っている。途中下車したらもう電車がない。電車に乗る前にトイレに行っておくべきだった。もう後の祭りだ。
- 後の祭りにならないよう、夏休みの宿題は計画的に取り組んでおこう。
- 妻にうそをついてしまった。弁解もできなさそうで、後の祭りだ。
➀では、勉強すべき時期に出来ず、時期、機会を逃してしまい後悔している例として使われています。
➁では、電車に乗った後に、機会を逃したことに気づき後悔している例として使われています。
➂は、後々後悔しないようにという、事前の戒(いまし)めとして使われています。
➃では、「うそをつく」というやってはいけないことをやってしまい、どうにもできずに後悔している例として使われています。
「後の祭り」の由来
「後の祭り」の由来には細かく分けて四通りの説があります。
どの説も、なるほどと思わせるものなので、どれが正しい説なのかは神のみぞ知るといったところです。
一つ目は、京都にある八坂(やさか)神社で行われる、全国でも有名な「祇園祭(ぎおんまつり)」が由来とされる説です。その「祇園祭」には、「前の祭り」と「後の祭り」というものがあります。
「前の祭り」は、にぎやかで派手な祭りである一方で、「後の祭り」は地味でつまらないということに由来していると言われています。
二つ目は、祭りの際に使用される山車(だし)が由来とされる説です。山車は、祭りの際には華やかですが、祭りが終われば役目を終えます。
山車はこのように、祭りが終われば役にも立たず、目に触れることもないということから、「後の祭り」となったという説です。
三つ目は、祭りが終わった後に見物しても意味がないということに由来する説です。どんなに楽しく、盛り上がった祭りでも、その翌日などに行っても、何もなくつまらないですよね。
終わった後の祭りに行っても意味がないということから由来するという、一番単純かつ明快な説です。
四つ目は、葬式や法事のような故人(こじん)の霊を祭る際のことを由来とする説です。亡くなった後の祭りを、どんなに豪華にしても意味がないということです。
いくらお金をかけて、豪快にしても生き返ることは無く、手遅れだというところに由来をしている説です。
有力とされているのは、一つ目の「祇園祭」を由来とする説です。
しかし、ことわざの由来で諸説ある場合は、どれが本当でどれが誤りかは、誰も知る由は無いと言わざるを得ません。
「後の祭り」の類義語
「後の祭り」には以下のような類義語があります。
- 六日の菖蒲(むいかのあやめ)
- 証文の出し遅れ(しょうもんのだしおくれ)
- 後薬(あとぐすり)
- 遅かりし由良之助(おそかりしゆらのすけ)
- 覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)
六日の菖蒲の後ろに続けて、十日の菊(とおかのきく)と付けて言う場合もあります。
「後の祭り」の英語訳
「後の祭り」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- (It’s) too late.
(遅すぎる。) - That ship has sailed.
(船はもう海に出て行ってしまった。) - The bird has flown.
(鳥がもう飛んで行ってしまった。)
まとめ
以上、この記事では「後の祭り」について解説しました。
読み方 | 後の祭り(あとのまつり) |
---|---|
意味 | 時期が遅すぎて、今からやっても間に合わず、後悔すること |
由来 | 京都八坂神社の「祇園祭」(諸説あり) |
類義語 | 六日の菖蒲、証文の出し遅れ、後薬など |
英語訳 | It’s too late.(遅すぎる。) |
多くのことわざには、対義語となるようなことわざが存在しますが、「後の祭り」はそれが存在しない非常に珍しい例です。つまり、それほど人間は時期や機会を逃し、手遅れとなってしまうことの多い生き物だということです。
「後の祭り」となるようなこと無く生きていくことは難しいかもしれません。しかし、「後の祭り」となってしまっては、何もできなく後悔するだけです。
常に、やるべき時期にやるべきことをやる姿勢が大事ですね。