「無我の境地」とは、漫画『テニスの王子様』で、限界を超えた人が到達する特別な状態です。
『テニスの王子様』をよく知らない人によっては、「無我の境地」がどのような状態なのかわかりづらいですよね。
この記事では、「無我の境地」の意味や由来、例文などについて、詳しく解説します。
この記事では、「無我の境地」を解説するにあたり、『テニスの王子様』のストーリーについても触れています。
ネタバレを含んでいるため、ご注意ください。
- 無我の境地の意味は「『テニスの王子様』で、限界を超えた人が到達する特別な状態」
- 無我の境地の先にある3つの扉は「百練自得の極み」「才気煥発の極み」「天衣無縫の極み」
- 無我の境地の由来は「仏教用語」
☆「無我の境地」をざっくり言うと……
読み方 | 無我(むが)の境地(きょうち) |
---|---|
意味 | 漫画『テニスの王子様』で、限界を超えた人が到達する特別な状態 |
由来 | 仏教用語「無我の境地」 |
「無我の境地」の意味
漫画『テニスの王子様』で、限界を超えた人が到達する特別な状態
「無我の境地」は、漫画『テニスの王子様』に登場する用語です。
試合中に限界を超える現象を「無我の境地」と呼ぶのです。
「無我の境地」に達した状態は、「スーパーサイヤ人化」と呼ばれます。
「無我の境地」に達したプレーヤーは、以下のような状態になります。
- 目で見えるほどのオーラが立ち上る
- 試合で、常人にはできないプレーができる
- 無意識に、過去に対戦した選手の技を再現できる
「無我の境地」は、限界を超えたプレーヤーだけが到達できる状態となっています。
なお、「無我の境地」になると無意識にたくさんのパワーを使うため、体力が消耗されるというデメリットがあります。
『テニスの王子様』とは
『テニスの王子様』は許斐剛(このみ たけし)作の漫画で、続編『新テニスの王子様』もあります。
アニメやゲーム、ミュージカルにもなっています。
『テニスの王子様』シリーズでは、主人公・越前(えちぜん)リョーマをはじめとする男子たちが、「テニヌ」という競技でバトルを繰り広げます。
テニヌはテニスと似ていますが、相手を吹き飛ばしたり攻撃したりなど、超能力が含まれる点が特徴的です。
無我の境地も、テニヌならではの超人的な状態といえます。
『無我の境地』になったことがある登場人物
『テニスの王子様』シリーズで、『無我の境地』になったことがある登場人物は下記の6名です。
- 越前リョーマ
- 手塚国光(てづか くにみつ)
- 切原赤也(きりはら あかや)
- 真田弦一郎(さなだ げんいちろう)
- 千歳千里(ちとせ せんり)
- 幸村精市(ゆきむら せいいち)
「無我の境地」の先にある3つの扉
『テニスの王子様』では、「無我の境地」の先に、以下のような3つの現象があります。
- 百練自得(ひゃくれんじとく)の極み(きわみ)
- 才気煥発(さいきかんぱつ)の極み
- 天衣無縫(てんいむほう)の極み
上記3つの現象は、「3つの扉」と呼ばれています。
以下、それぞれの現象について解説します。
3つの扉①百練自得の極み
「百練自得の極み」は、「無我の境地」の奥にある “1つ目の扉” です。
「百練自得の極み」の状態になったプレーヤーは、相手からの球を倍返しで撃ち返すことができます。
しかし、「百練自得の極み」になって利き腕に力を宿らせると、威力が強すぎて持て余してしまうため、加減の調節が難しいとされています。
『テニスの王子様』シリーズで「百練自得の極み」に達したプレーヤーには、以下のような人物がいます。
- 手塚国光
最初に「百練自得の極み」を得た人物 - 樺地崇弘(かばじ むねひろ)
手塚から技をコピーした - 越前リョーマ
主人公
ちなみに、百練自得という言葉はもともと剣道用語で、「経験や努力を重ねることが大切」という意味です。
3つの扉②才気煥発の極み
「才気煥発の極み」は、「無我の境地」の奥にある “2つ目の扉” です。
「才気煥発の極み」の状態になったプレーヤーは、一球ごとの戦略を瞬時に考え、試合の展開を読み取ることができます。
しかし、この境地は頭脳の回転に特化しているため、身体的な能力は上がりません。
『テニスの王子様』シリーズで「才気煥発の極み」に達したプレーヤーには、以下のような人物がいます。
- 千歳千里(ちとせ せんり)
最初に「才気煥発の極み」を得た人物 - 越前(えちぜん)リョーマ
主人公 - 手塚国光(てづか くにみつ)
実力の高い選手
ちなみに、才気煥発という言葉はもともと四字熟語で、「優れた才能が溢れている」という意味です。
3つの扉③天衣無縫の極み
「天衣無縫の極み」は、「無我の境地」の奥にある “3つ目の扉” です。
「天衣無縫の極み」の状態になったプレーヤーは、感覚が研ぎすまされ、落ち着きながらもテニスを心から楽しむことができます。
3つの扉のなかでも、最もプレーに没頭している状態といえます。
『テニスの王子様』シリーズで「天衣無縫の極み」に達したプレーヤーには、以下のような人物がいます。
- 越前リョーマ
主人公 - 越前南次郎(えちぜん なんじろう)
リョーマの父 - 手塚国光(てづか くにみつ)
実力の高い選手 - 遠山金太郎(とおやま きんたろう)
驚異的な体力をもつ選手 - 鬼十次郎
実力の高い選手
ちなみに、天衣無縫という言葉はもともと四字熟語で、「わざとらしくなく、自然に優れた状態である」という意味です。
「無我の境地」の由来
もともと「無我の境地」は、仏教で使われる用語です。
「無我」と「境地」には、それぞれ以下のような意味があります。
- 無我
いつまでも変わらない実体など存在しない - 境地
身体や心が置かれている状態
仏教における「無我の境地」には、具体的に以下のような意味があります。
- 心から雑念が取り除かれ、執着がまったくない状態
- ①から転じて、1つのことに没頭すること
ここからは4つの観点から、仏教用語の「無我の境地」について解説します。
- 「無我の境地」になるには
- 「無我の境地」と「無我」の違い
- 「無我の境地」と「無心」の違い
- 「無我の境地」と「無の境地」の違い
- 「無我の境地」と「無我夢中」の違い
1つずつ見ていきましょう。
①「無我の境地」になるには
「無我の境地」は、仏教を信じる者が達することができる最終形態です。
「無我の境地」になることは、悟りを開いた状態といえます。
仏教徒は、「無我の境地」になるために以下のようなことを行います。
↓
迷いや雑念を頭の中からなくそうとする
↓
煩悩(ぼんのう)をなくす
しかし、通常の人間は以下のような理由で、「無我の境地」に到達することは難しいのです。
- 周囲の音や景色に意識が向いてしまい、完全に集中できないため
- 誘惑や悩みに負けてしまい、心を無にできないため
つまり、「無我の境地」は、限界を達した人にしか味わえない状態といえます。
そのため、仏教徒は「無我の境地」を目指して修行を行うのです。
②「無我の境地」と「無我」の違い
「無我の境地」と「無我」はどちらも仏教用語ですが、意味が異なります。
- 無我の境地
心から雑念が取り除かれ、執着がまったくない状態 - 無我
いつまでも変わらない実体など存在しないという考え方
③「無我の境地」と「無心」の違い
「無我の境地」と「無の境地」には、以下のような違いがあります。
意味① | 意味② | |
---|---|---|
無我の境地 | 心から雑念が取り除かれ、執着がまったくない状態 | 1つのことに没頭すること |
無心 | – |
「無我の境地」には「心から雑念が取り除かれ、執着がまったくない状態」という意味だけでなく、「1つのことに没頭すること」という意味もあります。
しかし、「無心」には「1つのことに没頭すること」という意味はありません。
③「無我の境地」と「無心」の違い
「無我の境地」と「無心」には、以下のような違いがあります。
- 無我の境地
心から雑念がないこと - 無心
欲がないこと
「無我の境地」は、心からすべての感情・雑念が消え去った究極の状態です。
一方で、「無心」は単に、欲望やわがままがないことを指すのです。
⑥「無我の境地」と「無我夢中」の違い
「無我の境地」と「無我夢中」は似ている言葉ですが、厳密には意味が異なります。
- 無我の境地
我をなくして、意識を集中させること - 無我夢中
1つのことに心を奪われて、我を忘れて没頭すること
つまり、「無我の境地」が我をなくすことであるのに対して、「無我夢中」は我を忘れることなのです。
「無我の境地」の使い方
「無我の境地」の文中での使い方を、以下の2つのパターンに分けて紹介します。
- 『テニスの王子様』での使い方
- 仏教用語での使い方
①『テニスの王子様』での使い方
『テニスの王子様』における「無我の境地」は、「無我の境地を使う」という言い回しで使います。
「無我の境地」は状態を表す言葉であるため、「〜を使う」を続けるのは不自然ともいえます。
しかし、『テニスの王子様』では、「無我の境地」が一種の技となっているため、「〜を使う」と合わせて用いるのです。
例文を見てみましょう。
- 切原赤也が初めて無我の境地を使ったシーンは、印象的だった。
- 小さい頃は『テニスの王子様』に憧れていたので、自分も無我の境地を使えるようになりたかったものだ。
②仏教用語での使い方
仏教用語における「無我の境地」は、以下のような言い回しで使います。
- 無我の境地に達する
- 無我の境地に至る
例文を見てみましょう。
- 彼は無我の境地に達するべく、修行に励んだ。
- 無我の境地に至るのは、簡単なことではない。
「無我の境地」のまとめ
以上、この記事では「無我の境地」について解説しました。
読み方 | 無我(むが)の境地(きょうち) |
---|---|
意味 | 漫画『テニスの王子様』で、限界を超えた人が到達する特別な状態 |
由来 | 仏教用語「無我の境地」 |
仏教用語としての意味も理解したうえで、『テニスの王子様』の「無我の境地」を正しく使いこなしましょう。