ポルナレフ状態とは「非常に混乱している状態」という意味です。
元ネタがわからないと、「心理学の用語なのかな」などと思ってしまいますよね。
実はポルナレフ状態は、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれたスラングなのです。
この記事では、ポルナレフ状態の意味や例文、元ネタなどについて詳しく解説します。
この記事では、ポルナレフ状態を解説するにあたり、『ジョジョの奇妙な冒険』第3部のストーリーについても触れています。
ネタバレを含んでいるため、ご注意ください。
☆「ポルナレフ状態」をざっくり言うと……
読み方 | ポルナレフ状態(じょうたい) |
---|---|
意味 | 非常に混乱している状態 |
元ネタ | 漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のワンシーン |
このページの目次
「ポルナレフ状態」の意味
非常に混乱している状態
ポルナレフ状態とは、「起きた出来事が理解できず、非常に混乱している状態」のことです。
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のなかで、ポルナレフという人物が、敵の力に呆然とするシーンがあります。
このシーンから、「何が何だかよくわからない」と混乱するような状態が “ポルナレフ状態” と呼ばれるようになったのです。
元ネタの詳細については、この記事の「ポルナレフ状態」の元ネタという見出しをチェックしましょう。
『ジョジョの奇妙な冒険』とは
『ジョジョの奇妙な冒険』は、荒木飛呂彦(あらき ひろひこ)氏による漫画です。
「ジョースター」という名の一族と宿敵たちが、何世代にもにわたって戦う物語です。
原作の歴史は、以下のようにまとめることができます。
- 1986年から2021年現在まで連載が続く。
- 第1部〜8部まで続いている
- 1986年から2004年まで:『週刊少年ジャンプ』で連載
- 2005年以降:『ウルトラジャンプ』で連載
原作の累計発行部数は1億部を超えています。
また、アニメ化や映画化も行われれました。
「ポルナレフ状態」の例文
ポルナレフ状態は、文のなかで以下のように使うことができます。
- Twitterのフォロワーが急に減って、ポルナレフ状態になった。
- 先月別れたばかりの元恋人が、今度結婚するらしい。今、私は完全にポルナレフ状態だ…。
- え!?ガチでポルナレフ状態なんだけど…。
- バス停の場所が変更されていて、朝からポルナレフ状態になった。
「ポルナレフ状態」の元ネタ
ポルナレフ状態の元ネタは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のワンシーンです。
ポルナレフという人物が、敵の動きに混乱した場面があります。
このシーンが元となって、ポルナレフ状態という言葉が生まれたのです。
元ネタについて、下記の3つの観点からさらに深く掘り下げてみましょう。
- ポルナレフの人物像
- ポルナレフが混乱した状況
- ポルナレフ状態の反響
以下、1つずつ見ていきます。
①ポルナレフの人物像
ポルナレフは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部に登場する人物です。
[出典:TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』公式サイト]
第3部の主人公・空条承太郎(くうじょう じょうたろう)の仲間です。
ポルナレフのプロフィールについては、以下のようにまとめることができます。
- 本名
ジャン=ピエール・ポルナレフ
(フランス人) - 特徴
身長185cm、体重78kg
垂直に逆立った髪型が特徴的 - 性格
仲間に対して優しく、熱い思いをもつ - スタンド(※)
銀の戦車(シルバーチャリオッツ)
主人公やポルナレフたちの宿敵は、DIO(ディオ)という悪者です。
ポルナレフは過去に、DIOの手下に妹を殺されたため、「DIOに復讐をする」という目的があります。
『ジョジョの奇妙な冒険』における「スタンド」とは、超能力のことです。
「幽波紋」と表記する場合もあります。
スタンドそのものが倒されると、スタンドを操る本人も亡くなってしまいます。
②ポルナレフが混乱した状況
ポルナレフ状態の元ネタになった “ポルナレフの混乱シーン” は、『ジョジョと奇妙な冒険』第3部の終盤に出てきます。
ポルナレフが階段を上がってDIOに近づこうとすると、いつのまにか自分が階段を下りた状態になってしまいました。
これは、DIOが一瞬のうちに、以下のような能力を使ったからです。
↓
階段を上るポルナレフを、階段の下に運ぶ
↓
時を戻す
このように、ポルナレフはDIOの強力な能力を受け、「何が何だかよくわからない」という状況に陥りました。
ポルナレフは混乱が残ったまま、仲間たちに以下のように説明しました。
やつを追う前に 言っておくッ! おれは今 やつのスタンドを ほんのちょっぴりだが 体験した
い…いや… 体験したというよりは まったく理解を 超えていたのだが……
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
おれは奴の前で階段を登っていたと思ったらいつのまにか降りていた
な… 何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗(へんりん)を 味わったぜ…
以上のように、ポルナレフが取り乱した様子が、ポルナレフ状態と呼ばれるようになったのです。
③ポルナレフ状態の反響
ポルナレフ状態のもとになったシーンは、『ジョジョの奇妙な冒険』の名場面の1つとなりました。
その理由は以下の2点です。
- 「ポルナレフが大きなショックを受けた」というインパクトがあったため
- 第3部の終盤で盛り上がったシーンだったため
また、ポルナレフが状況を仲間に説明するときに言った「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」というセリフも有名になりました。
「ポルナレフ状態」の類義語
ポルナレフ状態には以下のような類義語があります。
- 呆然(ぼうぜん)
あっけにとられて、ぼーっとすること - 唖然(あぜん)
思いがけない出来事にあきれて、声が出ないこと
どちらも目の前の出来事に混乱しているう状況を表すため、ポルナレフ状態の類義語といえます。
しかし、ポルナレフ状態がスラングであるのに対して、呆然と唖然は単なる熟語ですから気をつけましょう。
「ポルナレフ状態」の対義語
ポルナレフ状態には以下のような対義語があります。
- 泰然(たいぜん)
落ち着いていて、何に対しても動じない様子 - 沈着(ちんちゃく)
落ち着いていて、何に対しても動じない様子
どちらも「落ちついている」という状況を表すため、混乱を指すポルナレフ状態の対義語といえます。
しかし、ポルナレフ状態がスラングであるのに対して、泰然と沈着は単なる熟語ですから気をつけましょう。
「ポルナレフ状態」のアスキーアート
アスキーアートとは「文字や記号を入力することによって描かれる絵」のことで、AAと省略して呼ばれることもあります。
ネット上には、ポルナレフ状態を表すアスキーアートがあります。
絵の周辺には、元ネタとなったシーンでポルナレフが言ったセリフが書かれています。
『ジョジョの奇妙な冒険』の関連スラング
この記事では、ポルナレフ状態について解説しました。
ほかにも、『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれた言葉はたくさんあります。
たとえば、以下の言葉はすべて『ジョジョの奇妙な冒険』に登場するセリフですが、有名であるためネットスラング化しています。
- あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
- 俺は人間をやめるぞ!ジョジョーッ
- そこにシビれる!あこがれるゥ!
- だが断る
以下、1つずつ解説します。
スラング①あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」は、すでに解説したとおり、『ジョジョの奇妙な冒険』の第三部でポルナレフが混乱しながら仲間に言ったセリフです。
2015年のアニメ流行語大賞では金賞を受賞しました。
「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」は混乱を表すネットスラングとして使われる場合もあります。
例文
「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」を用いた例文を見てみましょう。
- あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ
注文を間違えて、ウーバーイーツで同じメニューが3セットも届いた…! - あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ
街中で芸能人に会って、握手してもらえた! - あ…ありのまま(中略)
映画館で入るシアターを間違えてしまって、全く違う映画を見てしまったようだ…気づくのが遅かった…
上記の例文③のように、全文を書くと長くなってしまうため、「あ…ありのまま(中略)」などと書かれることもあります。
スラング②俺は人間をやめるぞ!ジョジョーッ
「俺は人間をやめるぞ!ジョジョーッ」は『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部で登場するセリフです。
主人公の宿敵であるDIOが、吸血鬼になるときに「俺は人間をやめるぞ!ジョジョーッ」と言ったのです。
ネット上では、このセリフをもじって使う人が多いです。
例文
スラングとしての「俺は人間をやめるぞ!ジョジョーッ」は、以下の例文のように、言葉を状況に合わせて変えながら使います。
- 俺は1日で断捨離を終えたぞ! ジョジョーーッ
- 今日こそはダイエットをするぞ! ジョジョーーッ
- amazonで大量買いをするぞ! ジョジョーーッ
スラング③そこにシビれる!あこがれるゥ!
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」は、『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部で登場するセリフです。
第一部の主人公・ジョナサンには恋人がいました。
敵のDIOは、ジョナサンと恋人との関係を引き裂こうとします。
その際に、DIOの取り巻きたちが以下のように言いました。
さすがDIO!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ
そこにシビれる!あこがれるゥ!
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」という部分が、誰かを褒める際に使うネットスラングになっているのです。
例文
「そこにシビれる!あこがれるゥ!」の例文を見てみましょう。
- 先輩は超ストイック!そこにシビれる!あこがれるゥ!
- このデザインに、この価格…!そこにシビれる!あこがれるゥ!
- さすが、記憶力がいいですね!そこにシビれる!あこがれるゥ!
スラング④だが断る
「だが断る」は『ジョジョの奇妙な冒険』の第四部で、岸辺露伴(きしべ ろはん)という登場人物が言ったセリフです。
岸辺露伴は敵のハイウェイ・スターによって、養分をどんどん吸い取られてしまいます。
そのとき、第四部の主人公・東方仗助(ひじかた じょうすけ)が、露伴を探しに来ました。
ハイウェイ・スターは露伴に、「仗助をこちらに差し出せば、お前を殺さないでやろう」という旨を言いましたが、露伴は「だが断る」と答えたのです。
例文
露伴の「だが断る」というセリフも、ネットスラングとして定着しています。
例文を見てみましょう。
B:買って来れば、私にも貸してくれるんだろうね?
A:もちろんだよ。
B:だが断る
上記のように「だが断る」は、「自分にメリットがあることをふまえ、いったん相手の要求を飲んだように見せかけて、結局は断る」という流れで使います。
「ポルナレフ状態」のまとめ
以上、この記事ではポルナレフ状態について解説しました。
読み方 | ポルナレフ状態(じょうたい) |
---|---|
意味 | 非常に混乱している状態 |
元ネタ | 漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のワンシーン |
漫画のワンシーンが1つの言葉として定着していることから、『ジョジョの奇妙な冒険』の影響力がわかりますね。
元ネタを正しく理解したうえで、ポルナレフ状態を正しく使いこなしましょう。