沼とは「特定のコンテンツにのめり込んでしまうこと、奇想天外な動き・発言をすること」という意味です。
ネット用語の「沼」には複雑な意味があります。いきなり沼と言われても、どんな意味なのかわかりにくいこともありますよね。
この記事では、ネット用語である「沼」の二つの意味について解説します。
☆「沼」をざっくり言うと……
読み方 | 沼 |
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意味 | ①特定のコンテンツにのめり込んでしまうこと ②奇想天外な動き・発言をすること |
類義語 | ガイジ 没頭 我を忘れる など |
英語訳 | crazy about(夢中になる) |
「沼」の意味
①特定のコンテンツにのめり込んでしまうこと
②奇想天外な動き・発言をすること
ネット用語としての「沼」には、上記のような、二つの意味があります。
それぞれの意味について解説します。
①特定のコンテンツにのめり込んでしまうこと
一つ目の「特定のコンテンツにのめり込んでしまうこと」という意味の「沼」は、「底なし沼」のイメージから生まれた言葉です。
底なし沼には本当に底がないわけではありませんが、それなりの深さがあり、泥水の性質によって人間が沈んで抜け出せなくなってしまうこともあります。
底なし沼にはまってしまうのは、足の圧力によって足元から水分が抜けてしまうからです。
足の圧力によって泥が固くなり、上に抜け出す力が押さえつけられてしまうのです。
この現象と同じで、一度興味を持って漫画やゲーム、ドラマ、アイドルといったコンテンツに触れた後、どんどんのめり込んで離れられなくなることを「沼にはまる」と表現します。
足を踏み入れると、底がないかのように、ずぶずぶと沈んでしまう性質を持つ沼
②奇想天外な動き・発言をすること
二つ目の「奇想天外な動き・発言をすること」は、「池沼(ちしょう)」の省略形として生まれました。
もともとネット上では、「知的障がい者」を省略する「知障(ちしょう)」という言葉が使われていました。
「知障」が変換しやすい「池沼」に置き換えられるようになり、やがて「沼」へと変化していきます。
変化を経るにつれて差別的なニュアンスが薄まっていきましたが、侮蔑的な文脈で使われることも多く、扱いには注意が必要です。
- 知障
知的障がい者や、その特徴に近い人物 - 池沼
共感できない行動を取る、理解不能な人物 - 沼
コミュニケーションを取るのが難しい人物・奇想天外な行動
「沼」はこうした背景を持つ言葉であるため、もともとは、人物・人格に対して使われていました。
最近では、ゲーム用語の「沼プレー(沼プ)」に変化していくことで、理解できない挙動や、定石から外れた行動そのものに対して「沼」という言葉が使われるようにもなってきています。
どのような場合でも、ネガティブな言葉であることに変わりはないため、相手を傷つけない範囲で使うよう十分気をつけましょう。
「知障」から「池沼」に変化するような、ネット上での表記の変化には、以下のような例があります。
- 厨房
中学生のような言動をする相手を表す「中坊」から変化 - うp
「アップロード」を意味する “up” から変化
ネット上では、ローマ字キーボードでのタイピング方法は同じで、表記方法だけ変化させる例がたくさん存在します。
このような変化が起きるのは、変換の煩わしさが背景にあります。
少しでも効率的にコミュニケーションを取る方法として、上記のような、同音の別の字で置き換える現象が活発化したと考えられます。
「沼」の使い方
沼の使い方には、以下のようなものがあります。
- 沼にはまる
- 沼る
- 沼プ
それぞれの使い方について解説します。
①:「沼にはまる」の使い方
「沼にはまる」は、特定のコンテンツに深くのめり込むようになったときに使われます。
- 暇つぶしのために始めたゲームだったはずなのに、気がつけば沼にはまっていた。
上記の例文では、軽い気持ちで始めたゲームに、予想外にのめり込んでしまったことを「沼にはまる」と表現しています。
「はまる」は「ハマる」と表記することもあります。
②:「沼る」の使い方
「沼る」は、「沼にはまる」を一語の動詞として使いたいときに用いられます。
- 軽い気持ちでその漫画を勧めたら、友人が見事に沼った。
上記の例文では、「沼にはまる」を動詞のような形に変形させ、「沼る」と表現しています。
意味は「沼にはまる」と同様で、「友人」が漫画をひどく気に入ってのめり込んでいく様子を表します。
③:「沼プ」の使い方
「沼プ」は、ゲームの場面において、「意味のわからないプレー」という意味で使われます。
- 沼プかよ、遊び気分でオンライン対戦に入ってくるな。
この例文の場合は、思い通りの行動をしないプレイヤーに対して文句を言うような文脈になります。
「沼プ」自体が相手を見下す言葉であるため、全体的に乱暴な言い回しで使われます。
「沼」の類義語
沼には意味別に以下のような類義語があります。
- 没頭
一つのことに集中すること - 熱中
一つのことに目を向け心を深く傾けること - 夢中
あるものに心を奪われ、熱中すること - はまる
食べ物や趣味にのめり込む様子 - 我を忘れる
物事に心を奪われ、興奮するあまり理性を失う様子
- ガイジ
「障がい児」の差別的表現、言動が常識的でない人 - キチガイ
精神的に狂ってしまった人を指す差別的表現 - サイコパス
精神障がいを持つ人、特に感情の一部が欠如している人のこと
「ガイジ」と「沼」の違い
「ガイジ」「沼」の違いは以下の通りです。
- ガイジ
「障がい児」の差別的表現 - 沼
「知的障がい者」の差別的表現が変化したもの
どちらも障がい者を差別的に表現する言葉である点で共通しますが、「ガイジ」は障がい者の中でも、年齢的に幼い人を指す言葉です。
精神的な未熟さを含んだ表現になるため、「沼」「知障」よりもさらに差別的なニュアンスになります。
よい言葉ではないため、できる限り使用を控えましょう。
「キチガイ」と「沼」の違い
「キチガイ」「サイコパス」「沼」の違いは以下の通りです。
- キチガイ
発狂した人を指す差別的表現 - 沼
「知的障がい者」の差別的表現が変化したもの
「キチガイ」は、精神的に問題のなかった人が、発狂してしまい精神に異常をきたしている場合を表します。
一方、知能面で問題があるとされる「沼」は、もともとの性質としてその場にふさわしくない行動をしてしまう場合を指します。
「サイコパス」と「沼」の違い
- サイコパス
精神障がいを持つ人をを指す差別的表現 - 沼
「知的障がい者」の差別的表現が変化したもの
「サイコパス」は、どちらも精神面で問題を抱えている人を指すという点で「キチガイ」と共通します。
「サイコパス」は人間が本来備えている感情のうちの一部を理解できず、精神的に異常であると判断されている状態です。
ただし、ネット上では単に「変わっている人」「おかしな人」という誤ったニュアンスで、差別的に使われることが多いです。
「変わった行動を取る」という点で「キチガイ」「サイコパス」「沼」は混同される傾向にあります。
本来の意味では、「キチガイ」「サイコパス」について、知能面に問題がある人を指すわけではありません。
知識はあるが変わった行動を取る「キチガイ」「サイコパス」と、知能面で侮辱の対象となる「沼」は、やや意味合いが異なるため、注意しましょう。
「沼」の関連語
沼には、以下のような関連語が存在します。
- 底なし沼
一度はまると抜け出せないコンテンツ - 沼る
特定のコンテンツにのめり込むこと - 沼落ち
特定のコンテンツに完全にのめり込んでしまっている状態 - 沼プ
意味がなかったり、理解不能なゲームのプレイングのこと - 沼ガチャ
目当てのものが当たらず課金し続けてしまうガチャのこと - 〇〇沼
〇〇という作品・ジャンルの沼のこと - 沼民
特定の沼にはまり、のめり込んでいる人のこと
「底なし沼」「沼る」「沼落ち」の意味
「底なし沼」とは、一度はまってしまうと抜け出せないコンテンツ・ジャンルのことです。
「沼る」とは、特定のコンテンツにのめり込み、「沼にはまっている」という状態を表す言葉です。
「沼落ち」は、特定の作品・人物・ジャンルの沼に落ちること、つまり深くはまってしまった状態のことです。
「沼落ち」は「沼る」よりもさらに深くのめり込んでいるイメージを与えます。
「沼プ」の意味
「沼プ」は主にゲームに関係する場面で使われる言葉です。
「沼プ」は、そのゲームの決まりや定石から外れ、わけのわからないようなプレーをすることです。
特に、複数人で協力し合うようなゲームで、仲間から理解されない動きをしているような場合に使われます。
「沼ガチャ」の意味
「沼ガチャ」は、目当てのものが当たらず課金し続けてしまうガチャのことです。
ソーシャルゲームの多くには「ガチャ」と呼ばれる機能があり、ゲーム内通貨と引き換えに、ランダムでキャラクターや装備などのアイテムを入手することができます。
ただし、運次第でなかなか目当てのキャラクターや装備が当たらないということも起こります。
こういった、なかなか思うように目当てのものが当たらないガチャのことを「沼ガチャ」と呼ぶのです。
「〇〇沼」の意味
「〇〇沼」とは、「〇〇(コンテンツ名やジャンル名)という沼」という意味の言葉です。
「〇〇沼」には、「〇〇」の部分に作品名やシリーズ名、ジャンル名、アイドルなどの人物名を当てはめて使います。
「〇〇沼にはまる」「〇〇沼に落ちる」といった表現で、その作品やジャンルに深く魅了されている状態を表します。
「沼民」の意味
「沼民」とは、「〇〇沼」と呼ばれる、何かしらの沼にはまっている人のことです。
ある作品やジャンルに特にのめり込んでいる人が、自分のことをあえてそう呼ぶ場合もあります。
「沼」の英語訳
沼を英語に訳すと、次のような表現になります。
- crazy about
(夢中になる) - mentally-handicapped person
(知的障がい者) - troll
(荒らし)
“crazy about” の意味
“crazy about” は、「夢中になる」という意味の英語表現です。
(彼はあの漫画に夢中になっている。)
“mentally-handicapped person” の意味
“mentally-handicapped person” は、「知的障がい者」を表す英語表現です。
日本語のネット用語「沼」のような差別的なニュアンスではなく、単に分類として使われます。
“troll” の意味
“troll” は、「荒らし」を表すネットスラングです。
その場に関係ない話題や、否定的な言葉を並べて場を荒らすような人のことを指します。
厳密には「沼」とは違う意味の言葉ですが、ネット上で使われるスラングとしては、ニュアンスが近くなります。
「沼」のまとめ
以上、この記事では「沼」について解説しました。
読み方 | 沼 |
---|---|
意味 | ①特定のコンテンツにのめり込んでしまうこと ②奇想天外な動き・発言をすること |
類義語 | ガイジ 没頭 我を忘れる など |
英語訳 | crazy about(夢中になる) |
「沼」は使い方を間違えると相手を傷つけてしまう言葉でもあります。
意味や背景を理解して使うようにしましょう。