「月並み」とは「ありふれていて平凡なこと、毎月きまって行われること」という意味です。
「月とすっぽん」という言葉があるように、月は美しいもの、優れているものの代名詞として使われることが多いです。
「月並み」はその意味で使われてはいませんが、勘違いしやすいですよね。
この記事では、「月並み」の意味や使い方などについて詳しく解説します。
「月並み」の意味を勘違いしてしまっている方も、これを機に正しい意味を理解しましょう。
☆「月並み」をざっくり言うと……
読み方 | 月並み(つきなみ) |
---|---|
意味 | ありふれていて平凡なこと、毎月きまって行われること |
由来 | 正岡子規の「月並調」 |
類義語 | ひとなみ ありふれた 平々凡々 など |
対義語 | 風変り 非凡 異色 など |
英語訳 | indifferent(無関心) |
「月並み」の意味
- ありふれていて平凡なこと
- 毎月きまって行われること
以下でそれぞれの意味について詳しく解説します。
意味①:ありふれていて平凡なこと
一般的に、「月並み」は「ありふれていて平凡なこと」を指します。
他者を「月並み」と表現すると、「平凡でしかない」「新鮮味がない」というニュアンスから批判的な意味になります。
自分を「月並み」と表現した場合は、謙遜の意味となります。
「月並みですが」「月並みな感想ですが」と結論を述べる前の前置きとして使えます。
「月並み」を使った言い回しの例を以下にまとめました。
- 月並みだ
- 月並みなことしか言わない
- 月並みな表現だ
- 月並みの人
- 月並みの文句
- 月並みですが
- 月並みな感想ですが
- まだまだ月並みです
- 月並みな成績
- 月並みな努力
意味②毎月きまって行われること
現在では使われる機会が減りましたが、「月並み」は「毎月きまって行われること」を指します。毎月の行事に対して使われます。
たとえば、毎月行う仏教関係の講は「月次講(つきなみこう)」と言います。また、毎月6月と12月に伊勢神宮でおこなわれる祭礼を「月次祭(つきなみのまつり)」と言います。
「月並み」は「月並」「月次」「月浪」とも表記されます。全て「つきなみ」と読み、意味も同じです。
「月並み」の使い方
「月並み」の使い方を、意味別に詳しく見ていきましょう。
- 「ありふれていて平凡なこと」という意味の使い方
- 「毎月きまって行われること」という意味の使い方
①「ありふれていて平凡なこと」という意味での使い方
「ありふれていて平凡なこと」という意味での「月並み」は、自分の謙遜や他者の批判として用いられることが多いです。
- あの社員さんは有名な大学を卒業しているが、月並みな仕事しかしない。
- 月並みな努力しかしていないので、優勝できたのは運が良かっただけだと思う。
- 劇的な勝利で金メダルを獲得した選手のインタビューは、意外にも月並みな感想だった。
- 月並みですが、みんなで寄せ書きを作りましたので受け取ってください。
①の「月並み」は「ありふれていて平凡なこと」を意味します。
他人の仕事ぶりを批判する意味で使っています。
②は「ありふれていて平凡なこと」という意味で「月並み」が使われています。
自分がした努力を謙遜するために使われています。
③の「月並み」は「月並みな感想」でありふれた感想であることを意味します。
④は「月並みですが」で「ありふれて平凡ですが」と謙遜しています。
②「毎月きまって行われること」という意味での使い方
「毎月きまって行われること」という意味での「月並み」は、毎月の行事を指して用いられることが多いです。
- 月次講には毎回出席していたが、体調を崩してしまい初めて欠席した。
- 寮の円滑な運営のため、月並の会を行い問題点などを話し合う場を作った。
①の月次は「月次講」で「毎月きまって行われる講義」を指します。
②の月並は「月並の会」で「月に一度ある会」を意味します。
「月並み」の由来
一般的に使われている、「ありふれていて平凡なこと」の意味を持つようになった理由を解説します。
「月並み」は「毎月きまって行われること」という意味で使われていました。
明治の中期ごろ、毎月の恒例行事として行われていた和歌や俳句などを詠む「月並みの会」という会合がありました。
「月並みの会」で発表されていたものを、明治時代を代表する歌人・正岡子規が「ありきたりな俳句」という意味を含ませて「月並調」「並俳句」と批判しました。
これが由来となって「月並み」は「ありふれていて平凡なこと」の意味を持つようになりました。
「月並み」の類義語
「月並み」には以下のような類義語があります。
- 人並み
一般の人と同じような程度・状態であるさま - ありふれた
どこにでもあること、普通であること - 平々凡々(へいへいぼんぼん)
何の特徴も変わった点もないさま - 凡庸(ぼんよう)
すぐれた点がなく、平凡なこと - 陳腐(ちんぷ)
ありふれていて、古くさくつまらないこと - 尋常一様(じんじょういちよう)
別に他と異なるところはないこと - ありきたり
新しさのないこと - 凡下(ぼんげ)
すぐれたところがなく平凡なこと
- 普通(ふつう)
いつ、どこにでもあるような、ありふれたものであること
- 常識的(じょうしきてき)
世間一般にだれでも知っているありふれたことであるさま
- 並(なみ)
よくも悪くもないこと
- 一般的(いっぱんてき)
広く認められ行き渡っているさま
- 日常的(にちじょうてき)
日常においてよく見られるさま
- ワンパターン
同じことの繰り返しで代わりばえのしないこと
「月並み」と「人並み」の違い
同じような意味を持つ「月並み」と「人並み」ですが、ニュアンスが異なります。
「人並み」は主に、プラスのニュアンスで使います。
ニュアンスの違いを以下の文で確認しましょう。
- 月並みな学力
人と同程度しか学力がない - 人並みな学力
人と同程度に学力がある
「月並み」の対義語
「月並み」には以下のような対義語があります。
- 風変り(ふうがわり)
ようすや性質・行動などが普通と違っていること - 非凡(ひぼん)
一般の人よりずっとすぐれていること - 異色(いしょく)
他と異なって特色のあること - 奇抜(きばつ)
思いも寄らないほど風変わりなこと - 卓抜(たくばつ)
他のものよりもはるかにすぐれること - 特別(とくべつ)
他とはっきり区別して扱うこと - 稀有(けう)
めったにない、珍しいこと - 並外れた(なみはずれた)
普通でないさま、他のものよりもはるかにすぐれているさま - 型破り(かたやぶり)
他のものよりもはるかにすぐれること - 奇想天外(きそうてんがい)
慣行として定まっている型の通りでないこと
「月並み」の英語訳
「月並み」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- indifferent
(無関心) - just another
(ありきたりの) - ordinary
(普通) - normal
(標準の) - boring
(退屈な) - conventional
(型にはまった)
「月並み」のまとめ
以上、この記事では「月並み」について解説しました。
読み方 | 月並み(つきなみ) |
---|---|
意味 | ありふれていて平凡なこと、毎月きまって行われること |
由来 | 正岡子規の「月並調」 |
類義語 | ひとなみ ありふれた 平々凡々 など |
対義語 | 風変り 非凡 異色 など |
英語訳 | indifferent(無関心) |
「月並み」は「月」という漢字が入っており、褒める言葉だと勘違いしやすいですが、批判に使う言葉です。
しっかりと意味を理解して使いましょう。