今回ご紹介する言葉は、熟語の「是正(ぜせい)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「是正」をざっくり言うと……
読み方 | 是正(ぜせい) |
---|---|
意味 | 悪い点や不都合な点を改め正すこと |
語源 | 「正しいと考える」「正しくする」という漢字の意味から |
類義語 | 正す、訂正、修正 |
英語訳 | correction(訂正、是正) |
「是正」の意味をスッキリ理解!
「是正」の意味を詳しく
「是正」とは、「悪い点や不都合な点を改め正すこと」という意味です。
「改善」のような前向きな意味はあまりなく、「バランスの取れていない状態を正す」というイメージを持ちます。
また、「是正」は専門用語としても用いられています。以下でご紹介します。
「是正勧告」とは?
「是正勧告」とは、「国や国際機関などが調査を行い、ルール違反者に対してその行いを改めるよう警告すること」です。
例えば、「○○会社が違法な長時間労働に関して、労働基準監督署から是正勧告を受けた」というようなニュースを聞いたことがあるでしょう。
「労働基準監督署」とは、各企業が労働者の権利を守るための法律を守っているかどうかをチェックしている国の役所です。
つまり、「労働条件に関する法律を破っている」というような「悪い状況を正す」ための警告が「是正勧告」なのです。
また、そのような悪い状態を直すために実施する手だてを「是正措置」や「是正処置」といいます。
「是正」の使い方
「是正」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。
- 前首相は、国民の経済格差の是正に取り組んできた。
- その国は、貿易不均衡(ふきんこう)を是正するように努力する姿勢を見せた。
上記の例文のように、「是正」は「バランスの取れていない仕組みや状態を正す」という意味で使われるのが一般的です。また「是正する」というように、動詞の形で使うことができます。
①の例文では、「格差」を「是正」する対象としています。「経済格差」とは、「もらう賃金の額の違い」のことです。一部の人がたくさんのお金をもらっている状態は、バランスが取れているとはいえませんよね。
②の例文は、「貿易不均衡」の「是正」に関してです。貿易の「不均衡」とは、ある国との貿易で輸出額か輸入額がもう一方を大幅に上回っている状態のことです。
「是正」の語源
「是正」という熟語は、用いられている漢字に注目すると、語源からその意味をより理解しやすくなります。
まず「是」は、「正しい」「正しいと考える」という意味を持っています。次に「正」には、「ただしい」「ただしくする」という意味があります。
これら2つの似た意味の漢字を合わせて、「是正」は「悪いものを正しくする」という意味を持っているのです。
「是正」の類義語
是正には以下のような類義語があります。
- 正す:良くないところ、間違っているところをなおす。また、乱れているところを整える。
- 訂正(ていせい):誤りを正しく直すこと
- 修正:不十分・不適当と思われるところを改め直すこと
これらの熟語は、「間違っていることや悪いことなどを改めること」という意味を表しているという点で「是正」と共通しています。ですが、それぞれのニュアンスや使い方は異なっています。
まず、「正す」は「是正」と同じ意味を持っていますが、加えて「乱れている態度や姿勢を直す」という意味もあります。次に「訂正」を用いることができるのは、「文章や発言の誤り」です。「是正」のように「仕組みを正す」という意味では使えません。
最後に、「修正」は「不十分な点を直す」という意味です。対象とするのは、必ずしも「誤り」でなく「よりよく改善するために直す」というニュアンスを持っています。
それぞれのニュアンスと使い方を理解して、上手く使い分けましょう。
「是正」の英語訳
是正を英語に訳すと、次のような表現になります。
- correction
(訂正、是正)
英語で「是正」の意味を表したい場合、 “correction” を用いましょう。 “correct” が動詞の形です。ちなみに、この語には「訂正」の持つ「文章の間違いを直す」という意味もあります。
例えば「格差の是正」は、 “correction of disparities” と英訳できます。
まとめ
以上、この記事では「是正」について解説しました。
読み方 | 是正(ぜせい) |
---|---|
意味 | 悪い点や不都合な点を改め正すこと |
語源 | 「正しいと考える」「正しくする」という漢字の意味から |
類義語 | 正す、訂正、修正 |
英語訳 | correction(訂正、是正) |
「是正」という言葉は、日常的においてはニュースでなどでしか耳にすることはないでしょう。
いざ「是正」という言葉を使う場面が来た時のために、しっかりと意味と使い方を理解しておきましょう。