「油断」と「予断」の違いとは?意味から使い分けや使い方まで解説

違いのギモン

「油断」と「予断」という言葉、ちゃんと意味を理解して正しく使用できていますか?

発音や字面が似ていることから、一見同じような意味にとらえている人も多いかもしれません。ところが、実はこの2つの意味はまったく違います。

この記事では、「油断」と「予断」の意味を、詳しく例を挙げて解説します。

結論:気を抜く「油断」、事前に判断する「予断」

「油断」は気を抜いたり、気を許したりすることを表す言葉です。

「予断」は前もって予測し、あらかじめ物事の成り行きを判断することを意味する言葉です。

「油断」をもっと詳しく


「油断」とは、たかをくくって気を許し、注意を怠る状態を表す言葉です。

「油断」の語源は仏教用語だと言われています。大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)というお経には次のように記されています。

とある主人が自分の臣下に、いっぱいの油で満たした鉢を持たせ、人ごみの中を歩かせたそうです。後ろには刀を携えた兵士を付かせ、「一滴でも油をこぼしたのなら、己れの命を断つぞ」と脅しました。その臣下は、鉢をしっかりと抱えて言われた所まで歩ききったそうです。

この「油をこぼしたら命を断つ」という言い伝えから、「油断」という言葉ができたと言われています。

「油断」の使い方の例

  1. 油断大敵。
  2. 10点リードしているからと言って、油断は禁物。
  3. 油断をしていると、事故をおこしかねない。
①の例は、注意を少しでも怠ると、思わぬ失敗を招くので十分に気を付けよ、という意味の四字熟語です。

②の例は、たとえ10点もの得点差があるとしても、気を緩めず、常に注意しておくべきであるという意味です。

③の例は、注意を怠って気を抜くと、事故につながる可能性があるという意味です。

「予断」をもっと詳しく

「予断」の「予」は、「前もって」や「あらかじめ」という意味を表し、「断」は「断定すること」や「判断すること」を意味する言葉です。

よって「予断」とは、「前もって予測すること」や「あらかじめ成り行きを判断すること」という意味になります。また、この言葉には、「自分勝手に判断する」ことや「最初から決めつける」というニュアンスが含まれています。

「予断」の使い方の例

  1. これは、予断を与える可能性がある説明文だ。
  2. 予断を持つと、誤った結論につながりかねない。
  3. 現在の様態は安定しているが、予断を許さない。
①の例では、説明文が、あらかじめ予測することができ、誤った判断をさせてしまう可能性のあるものであることを意味しています。

②の例では、早い段階で予想して判断してしまうと、誤った結論を出してしまう可能性がある、という意味になります。

③の例では、今の様態は問題なく安定しているものの、この状態が続くかどうかは予測不能であり、決して安心できないさまを意味しています。

「予断を許さない」の注意点!

なお、③の例文にある「予断を許さない」という慣用句は、「今後どのようになるかわからない予測不能の状態である」という意味が正しいものです。

しかし、「油断できない」という誤った意味にとらえてしまう場合があります。これは「予断」という言葉が、「油断」と字面や発音においてとても似通っていることが原因です。誤った使い方をしないように、気を付けましょう。

まとめ

以上、この記事では、「油断」と「予断」の違いについて解説しました。

  • 「油断」:気をゆるめてしまい、注意を怠ること。
  • 「予断」:予測して、あらかじめ判断すること。

一見似たような意味にとらえられ、誤った使い方をしてしまいがちな「油断」と「予断」ですが、実はその意味は異なることがわかりましたね。「油断」と「予断」を使用する際には、細心の注意を払いましょう。