「油断」と「予断」という言葉、ちゃんと意味を理解して正しく使用できていますか?
発音や字面が似ていることから、一見同じような意味にとらえている人も多いかもしれません。ところが、実はこの2つの意味はまったく違います。
この記事では、「油断」と「予断」の意味を、詳しく例を挙げて解説します。
結論:気を抜く「油断」、事前に判断する「予断」
「予断」は前もって予測し、あらかじめ物事の成り行きを判断することを意味する言葉です。
「油断」をもっと詳しく
「油断」とは、たかをくくって気を許し、注意を怠る状態を表す言葉です。
「油断」の語源は仏教用語だと言われています。大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)というお経には次のように記されています。
この「油をこぼしたら命を断つ」という言い伝えから、「油断」という言葉ができたと言われています。
「油断」の使い方の例
- 油断大敵。
- 10点リードしているからと言って、油断は禁物。
- 油断をしていると、事故をおこしかねない。
②の例は、たとえ10点もの得点差があるとしても、気を緩めず、常に注意しておくべきであるという意味です。
③の例は、注意を怠って気を抜くと、事故につながる可能性があるという意味です。
「予断」をもっと詳しく
「予断」の「予」は、「前もって」や「あらかじめ」という意味を表し、「断」は「断定すること」や「判断すること」を意味する言葉です。
よって「予断」とは、「前もって予測すること」や「あらかじめ成り行きを判断すること」という意味になります。また、この言葉には、「自分勝手に判断する」ことや「最初から決めつける」というニュアンスが含まれています。
「予断」の使い方の例
- これは、予断を与える可能性がある説明文だ。
- 予断を持つと、誤った結論につながりかねない。
- 現在の様態は安定しているが、予断を許さない。
②の例では、早い段階で予想して判断してしまうと、誤った結論を出してしまう可能性がある、という意味になります。
③の例では、今の様態は問題なく安定しているものの、この状態が続くかどうかは予測不能であり、決して安心できないさまを意味しています。
「予断を許さない」の注意点!
なお、③の例文にある「予断を許さない」という慣用句は、「今後どのようになるかわからない予測不能の状態である」という意味が正しいものです。
しかし、「油断できない」という誤った意味にとらえてしまう場合があります。これは「予断」という言葉が、「油断」と字面や発音においてとても似通っていることが原因です。誤った使い方をしないように、気を付けましょう。
まとめ
以上、この記事では、「油断」と「予断」の違いについて解説しました。
- 「油断」:気をゆるめてしまい、注意を怠ること。
- 「予断」:予測して、あらかじめ判断すること。
一見似たような意味にとらえられ、誤った使い方をしてしまいがちな「油断」と「予断」ですが、実はその意味は異なることがわかりましたね。「油断」と「予断」を使用する際には、細心の注意を払いましょう。