「要綱」「要項」「要領」の違いとは?具体度が違う??

違いのギモン

「〇〇市要綱集」「募集要項」「学習指導要領」。一度は目にしたことがあるものですが、その違いを説明することはできるでしょうか。どれも似たような言葉で使い分けが難しいですよね。

今回は「要綱」「要項」「要領」の違いを解説していきます。

結論:内容の具体性が違う

「要綱」「要項」「要領」はどれも必要な事柄のことを指しますが、具体度が違います。

要綱よりも要項の方が、そして要項よりも要領の方が具体的です。ただ、要項と要領は使い分けがされないケースもあるので、この2つはほとんど同じだと捉えて良いです。

しかし「要綱」と「要項」・「要領」はまったくの別物ですので注意が必要です。

「要綱」をもっと詳しく

「要綱」とは「要約した大綱(ある事柄の根本となるもの)」の略で、役所が事務処理を行うための基準、行政指導などを実施する基準、委員会の設置・運営など、指針やルールを大まかにまとめたものです。

要項の内容の例として、以下のものがあげられます。

要綱の内容
  • 〇〇課はウェブサイトを管理する
  • 広告は都市の景観を害してはならない
  • 総合窓口には常に職員を置く
  • 補助金は施設の購入・修繕にのみ使用する
  • 市長は防災訓練の際に制服を貸与する

行政や地方自治体で用いられるものですので、法律に似た堅苦しさがあります。「綱」には「物事を総括する大筋」という意味があるので、普遍的な(すべてのことに共通している)ルールが書かれています。

 

英訳すると guideline や outline となります。

例文
Japan and China agreed on an outline of an Anti-Comintern Pact.
(日本と中国は防共協定を目的とする要綱を取り決めた)

「要項」をもっと詳しく

「要項」は必要事項を箇条書きにしたものや、それらが書かれた文書のことを指します。「項」には「物事を小分けにした一つ」という意味があり、必要な事柄の項目のことを言います。

代表的な物として高校や大学が発行する「募集要項」がありますが、内容は以下の通りです。

要項の内容
  • 募集人数
  • 試験日程
  • 受験会場
  • 試験時間
  • 受験料
機械的に情報だけが並んでいるイメージです。

英訳すると requirement となります。

例文
A list of the entrance requirements for college.
(入学要項案内)

「要領」をもっと詳しく

「要領」は物事をうまく処理するための方法や手段のことを指します。「学習指導要領」の内容は以下の通りです。

学習指導要領の内容
  • 英語は小学5年生から学ぶ
  • 数学は年間決められた時間履修する
  • グループ活動や実験をする

「要綱」「要項」のような大まかな方針や情報ではなく、いつ・何を・どのようにすれば良いのかが詳しく書かれています。

英訳すると point となります。

例文
This report is not to the point.

この報告書は要領を得ていない。)

「要領」を用いた表現として、「要領が良い」がよく使われます。「要領が良い」物事の処理が上手いことを意味します。最低限の力量で効率よく仕事をこなす人のことを「要領が良い人」というのです。

まとめ

以上、この記事では、「要綱」「要項」「要領」の違いについて解説しました。

  • 要綱:指針・基準を大まかにまとめたもの
  • 要項:必要事項を箇条書きにしたもの
  • 要領:具体的な目的・方法が書かれたもの

どれも作業を円滑に行うために必要なものという位置づけですが、その在り方には大きな違いがありました。

英訳するとguideline(outline)→requirement→pointという風に面から点になっていることがわかります。

どれが何を指すのか、しっかりイメージして正しく理解しましょう。

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mikan
愛読書は広辞苑。 日本語の持つゆかしさや含み、趣深さが大好きです。大学では音声学・日本語学を専攻しました。 慣用句や四字熟語が得意分野です。