今回ご紹介する言葉は、熟語の「矢面(やおもて)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「矢面」をざっくり言うと……
読み方 | 矢面(やおもて) |
---|---|
意味 | 敵の矢が飛来する正面。非難を集中的に受ける立場。 |
類義語 | 第一線、最前線 |
英語訳 | front of an arrow, firing line, bear the brunt of an attack |
「矢面」の意味をスッキリ理解!
「矢面」の意味を詳しく
「矢面」の原義は、「矢が飛んでくる正面」です。「矢」はその文字通り武具としての「矢」を表し、「面」は正面という意味です。「矢面」は、戦場において、敵が飛ばす矢の矛先のことを指す言葉でした。
そこから派生し、人々からの非難や質問を集中的に浴びる立場のことも「矢面」と言うようになりました。現代では、こちらの意味が主流です。
「矢面」の使い方
- 彼は将軍の矢面に立ちふさがった。
- エースである私は、チームが不調の際に批判の矢面に立つ覚悟を持たねばならない。
- あるクラスでのいじめについて、担任の先生は責任追及の矢面に立たされた。
上記の例文にあるように、「矢面」は「矢面に立つ」「矢面に立たされる」という形で使われることが多いです。「矢面に立つ」とは、敵からの攻撃や周りからの非難を集中的に浴びる立場を引き受けることを指します。
①の例文では、戦場でのシーンが描かれています。将軍を守ろうとして、敵軍が放つ矢の正面に「彼」が立ちふさがったということです。また、②の例文は、チームの不調時に、批判を一身に浴びる覚悟がエースの「私」には必要だということが述べられています。
そして、③の例文は、あるクラスで起きたいじめについて、担任の先生が責任者として批判の的になったということを言っています。
「矢面」の類義語
矢面には以下のような類義語があります。
- 第一線:戦場で、敵に一番近い場所一帯
- 最前線:第一線に同じ
上記の二つの熟語と「矢面」は、戦場において激しく攻撃が行われる場所というニュアンスが共通しています。ただ、それぞれが派生して出来た意味合いは「矢面」とは異なります。
既述したように、「矢面」は、批判の的になる立場という意味で現代では使われています。一方、「第一線」「最前線」は、上記の意味の他に、その分野で最も活発な立ち位置という意味も持っています。
例えば、「野球界の第一線で活躍する」「音楽界の最前線に立つ」などの使い方があります。非難を一身に浴びるという後ろ向きなニュアンスの「矢面」と違い、「第一線」「最前線」は、中心的な立場で活動している様をポジティブに表現しているのです。
「矢面」の英語訳
矢面を英語に訳すと、次のような表現になります。
- front of an arrow
(矢が飛んでくる正面) - firing line
(非難の的) - bear the brunt of an attack
(矢面に立つ)
そのまま名詞の形で「矢面」と表現する場合は、”front of an arrow” や “firing line” を用いましょう。
「矢面に立つ」という形で表現する場合は “bear the brunt of an attack” を使いましょう。”brunt” は矛先(ほこさき)という意味です。また、”criticism(非難)” という単語を用いて、”bear the brunt of the criticisms” と表現することもできます。
まとめ
以上、この記事では「矢面」について解説しました。
読み方 | 矢面(やおもて) |
---|---|
意味 | 敵の矢が飛来する正面。非難を集中的に受ける立場。 |
類義語 | 第一線、最前線 |
英語訳 | front of an arrow, firing line, bear the brunt of an attack |
周りを見渡すと、様々な場面で矢面に立っている人の存在に気づくことでしょう。批判を一身に受けているその人は、一方でそれに値する重責を担っているという事実にも目を向けられると良いですね。