「ライター」と「コピーライター」の5つの違いとは?

違いのギモン

文章を書くことを生業とする人々を、みなさんはどのように呼びますか。「ライター」や「コピーライター」など、彼らの名前は様々だと思います。

実はこの「ライター」と「コピーライター」という仕事に違いがあったことをご存知ですか。あまり知られていないこの二つの職業の違いを解説していきたいと思います。

☆「ライター」「コピーライター」の違いをざっくり言うと……

ライターコピーライター
役割読まれる前提で書く読まれない前提で書く
依頼主出版社、編集プロダクション広告代理店、制作会社
文章量長い短い
媒体新聞、雑誌、Web サイトテレビ、カタログ、雑誌
企画立案あまりしないする

はじめに

「ライター」も「コピーライター」もどちらも言葉のスペシャリストであり、文章を考えるプロフェッショナルです。実際の現場には、両方の業務内容を兼任していたり、あまり明確な線引きはありません。しかし、五つの観点から違いを見いだすことができます。

【1】役割の違い

「ライター」の役割

ライターは読者がいることを前提として文章を書く仕事です。一般的に、事実や伝えたい内容を万人にわかりやすく、かつ興味を引くように文章を構成することを役割とします。

作家や記者など、文章を生業とする人をライターと呼ぶこともできますが、一般的には雑誌の記事や、Web の記事を執筆する人を指します。

業務内容は多岐に渡りますが、例えば、社会で起きている事柄について文章にしたり、商品の説明や紹介文を書いたり、自身の考察をまとめたりします。最近では、写真や文字の構成や配列からライターが手掛けることもあります。

「コピーライター」の役割

コピーライターは主に広告作りをするので、読者がいない、あるいは読まれないことを前提に言葉を考える仕事です。実はコピーライターの「コピー」という言葉は広告文字全般を表しているのです。

一般的に、広告戦略のための商品イメージを言葉にしたり、消費者にアピールする文章を考えたり、「宣伝文句」を書くことを役割とします。そのため、主に伝えたい事柄をシンプルな言葉でまとめていく作業をします。

【2】依頼主の違い

「ライター」の依頼主

ライターに仕事を委託する依頼主は、出版社や編集プロダクションなどです。みなさんが普段目にする雑誌や書籍は編集者によって制作作業が進められますが、その文章を手掛けているのがライターです。

例えば、鎌倉旅行というコンセプトで冊子を作る場合、編集者から指示された店舗の取材を行い、現地調査で収集した情報をもとに執筆をします。ここでは、編集者のコンセプトをどれだけ忠実に文章にできるかが求められます。

「コピーライター」の依頼主

コピーライターの依頼主は主に広告代理店や制作会社などです。みなさんが日常生活のなかで見聞きするテレビのCMや新聞広告、電車の中刷り広告のキャッチコピーはコピーライターが考えたものです。

例えば、広告主がある商品を社会人女性をターゲットに売り込みたいと考えてるとします。その意向を汲み取りつつ、商品のPRや企業のイメージアップなど様々な側面から消費者にアピールできる、インパクトのある言葉を考えることが求められます。

【3】文章量の違い

「ライター」が書く文章量

ライターは取材や調査を元に得た情報で執筆を行うので、文章は比較的長くなります。例えば、インタビュー記事やコラムなどの文章量は、時に数千字に上ることもあります。

ただし、小説のような長文の原稿を執筆することはほとんどありません。

「コピーライター」が書く文章量

コピーライターは人にインパクトを与える言葉を考えることが求められているので、文章は比較的短くなります

商品のキャッチコピーはもちろん、リードコピーやボディコピーと呼ばれる少し長めの文章を手がけることもあります。

【4】媒体の違い

「ライター」の文章が掲載される媒体

ライターが執筆した文章は、新聞や雑誌、フリーペーパーや Web サイトなどに掲載されます。この媒体の種類や、特性に合わせて文章の書き方を変える技術が求められます。

最近では、インターネット社会と呼ばれることもあってインターネットに掲載される文章を執筆する機会が増えています。例えば、ニュースサイトの情報更新やブログの代筆、メルマガなど、仕事の幅が広がりました。

「コピーライター」の言葉が掲載される媒体

コピーライターが考えた言葉はテレビやカタログ、チラシなどに掲載されます。どの媒体においても、短い言葉で消費者にメッセージを伝える技術が求められます。

テレビやラジオなどの電波媒体の広告を作成する人を、CM ライターと呼ぶこともあります。

【5】企画立案の違い

「ライター」の企画立案

ライターの仕事は、主に編集者の意向を文章で表すことのなので、企画立案をすることはあまりありません。そのため、アイディアを出すことよりも、「何のために書くのか」という編集者の意向を反映させる必要があります。

しかし、企画や編集段階からライターが関わることもあります。そして、最近では自らが考えた企画を元に書籍を出版することもあります。

「コピーライター」の企画立案

コピーライターは広告戦略のイメージ付けの役割を担っているので、基本的に企画立案を行います。具体的な例としては、マーケティングや販促企画や戦略企画などを作成します。

例えば、「この商品を売りたい」などの依頼主の課題を「言葉」という手段で、解決するための企画を考え、実行するまでがコピーライターの仕事です。

まとめ

以上、この記事では「ライター」と「コピーライター」の五つの違いについて解説しました。

ライターコピーライター
役割読まれる前提で書く読まれない前提で書く
依頼主出版社、編集プロダクション広告代理店、制作会社
文章量長い短い
媒体新聞、雑誌、Web サイトテレビ、カタログ、雑誌
企画立案あまりしないする

私たちは生活の様々な場面で言葉や文章を読んだり見たりしていると思います。それらは「ライター」や「コピーライター」が思いを込めて書いた言葉あるいは文章です。

これからは、それらを流し見で終わらせずに注意深く読んでみてはいかがでしょうか。「ライター」や「コピーライター」の思いを探りながら読むと、面白い発見があるかもしれません。