人に何かをしてほしいとき、例えばドアを締めてほしいときに、「ドアを閉めろ」と命令口調では言いません。丁寧に「ドアを締めてください」とお願いします。
日本語同様に、英語でもお願いする言い方としていくつかの決まり文句があります。
その中でも区別しづらい “Could you~” と “Would you~” の違いとそれぞれの重要構文について詳しく解説していきます。
このページの目次
結論:意向を尋ねる “Would you ~?” 、能力を尋ねる “Could you ~?”
一方、 “Would you ~?” は、お願い事を実現する能力が相手にあることをわかった上で、する気があるかどうかを丁寧に問う構文です。
“Could you~” をもっと詳しく
“Could you ~?” は、相手に、これからするお願い事を実現する力があるかどうかを丁寧に問う表現です。ポイントは、意思の有無を問うているわけではないという点です。
could は 助動詞 can の過去形です。 can の意味は「~できる」と訳し、能力があることを表す語句として使われます。“Could you ~?” は、“Can you ~?” に比べて丁寧な聞き方であり、断られることも十分考慮しているニュアンスが強くなります。
ただ、「可能なら~してほしい」という意味合いになるため、“Would you ~?” よりもやや意味が強いです。
ここで、2つの例文を見ていきましょう。
- Could you pick my sister up around 5pm?
(妹を5時頃に迎えに行ってくださいますか?) - Could you make some meat pies for tomorrow’s dinner party?
(明日の食事会のためにミートパイを作ってきて頂けませんか?)
②の例文も、ミートパイを作るという動作が能力的に可能かどうかを尋ねていることから、 “Could you~” を使った文章だということがわかるでしょう。
さらに、“Could you~” を使った覚えておくべき重要構文を紹介しましょう。
- Could you please tell me how to get to the library?
(図書館までの行き方を教えてくださいませんか?) - Could you please stop bothering me?
(私の邪魔をしないでください。= 私を困らせるのはやめてもらえませんか?)
2つの例文を用意しましたが、どちらも “Could you please~?” という形です。
実はこの “Could you please~?” はより丁寧な言い方として、また命令の意としても使うことができるのです。
①の例文では、より丁寧な言い方で尋ねています。②の例文では、少し強い言い方でやめさせようと命令していることがわかります。
このように、“Could you please~?” は2つの使い方があるので注意が必要です。
“Would you~” をもっと詳しく
“Would you~” は、依頼者に対し、その動作をする意思があるかどうかを丁寧に尋ねています。することに不快感はないかを問うているのであり、能力的・物理的に相手がそれをできることはわかっているという意味合いを含みます。
これも “Could you~” 同様に would を原形の will に戻して考えていきましょう。
will は、「~するつもりだ」という意思を表す助動詞です。時制を過去にし、would に変えることで意味が少し弱くなる特徴があります。
したがって、Would を使って疑問形にすると「~する意思がありますか? = ~してくださいますか?」となるのです。意思を問うということは、お願い事を実現してくれるはずであることが前提に聞こえてしまいがちです。そのため、基本的には絶対にしてもらえそうなことを聞くのが無難です。
ここで、3つの例文を見ていきます。
- Would you pass the salt for me?
(塩をとってもらえませんか?) - Would you wrap this to go?
(持ち帰り用に包んで頂けますか?) - I could. But I wouldn’t.
(できますが、しません。)
仮に①の例文で “Could you~” を使うと、能力について尋ねていることになるため、「塩を取る能力があなたにはありますか?」という小ばかにしたニュアンスになってしまいます。
②は、店員さんに対する依頼です。アメリカ・カナダなどでは、レストランで食べ残しがあった場合に容器に入れて持ち帰ることができます。その際に役立つ言い回しなのですが、こちらも店員さんに対し、「持ち帰り用に包む能力がありますか?」とは当然聞きません。
③の例文は、Would you ~?とCould you ~?の違いを端的に表す一文となっています。「能力はあるものの、する意思はない」ということです。
次に “Would you~” を使った重要構文をご紹介します。
(マックス:ここでタバコを吸ってもいいですか?)
>Olivia : <strongNo.
(オリヴィア:いいよ。)
これは “would you mind ~ing?” 構文と呼ばれるものです。この例文のポイントは、オリヴィアさんの英語での回答で No と言っていながら、実質は許可していることです。
“Would you mind ~ing?” という構文をもっとわかりやすく訳すと、「~することを気にしますか?」となります。それに対し Yes と答えてしまうと、拒否することになります。なので許可する場合には No で答え、断る際には Yes で答えましょう。
“Could you ~?” と “Would you ~?” はなぜ現在形で訳す?
Could you ~? と ould you ~?の構文では、助動詞”will” と”can” の過去形が使用されています。しかし、それぞれの構文は、どちらも現在形で訳します。一体なぜでしょう。
実は、英語には、助動詞を過去形にすることで丁寧なニュアンスを表す用法があるのです。つまり、現在形ではストレートに聞こえることが、過去形にすると一定の距離感の下で相手に響くのです。
そのため、“Could you ~?” と “Would you ~?” は、「~していただけますか?」といったように、丁寧なニュアンスを添えた現在形で訳し、断られても仕方がないという意味合いを含むのです。
もし、“Can you ~?” や “Will you ~?” となると、「~しますか?」や「~できますか?」といったストレートな聞き方になります。
まとめ
“Could you~” と “Would you~” の違いについて説明していきました。
日本語だとどちらも丁寧に「~してくださいますか?」「~して頂けますか?」と訳されているのに対し、実際に英語で使う際にははっきりとした違いがありました。
“Could you~” は依頼する相手に対し、能力的に実行可能な動作かどうか尋ねていることであり、“Would you~” は依頼する相手に対し、その動作を実行する意思があるかどうか尋ねていることと言えます。
また、それぞれの重要構文やよく使うフレーズは頭に入れておきたいところです。