「他動詞」と「自動詞」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この2つの動詞の差を理解することは英語を理解する上で大変重要です。「一応学校では習ったけど、しっかりとは理解していない」そんな方が多いのではないでしょうか。
そんな、「しっかりとは理解していない」、「他動詞」と「自動詞」についてこの記事では解説していきます。
結論:動作の対象(目的語)が動詞の直後に必ずくるか、そうでないかの違い
それに対し動作の対象(目的語)が動詞の直後には絶対に来ない、もしくは存在しないのが「自動詞」。
「他動詞」をもっと詳しく
「他動詞」は動作の対象(目的語)が必ず動詞の直後にくる動詞のことを指します。
例えば、 “I take a picture.” (私は写真を撮る)という文章があったとします。この文章の動詞は take (撮る)です。そしてその動作の対象(目的語)である a picture (写真)は動詞であるtake(撮る)の直後に来ています。
動作の対象(目的語)が動詞の直後に来ているということから、take は他動詞であるということが判別できます。
逆の言い方をすれば、他動詞は「直後に目的語が存在していないと成立しない」動詞ということでもあります。つまり、上記の文章が “I take.” だったとしたらこの take は直後に動作の対象(目的語)がないので他動詞ではなく自動詞ということになります。
つまり、他動詞が用いられる文章は必ず、主語+他動詞+動作の対象(目的語)という語順になります。
「自動詞」をもっと詳しく
「自動詞」は動作の対象(目的語)が動詞の直後に絶対に来ない、もしくは存在しない動詞のことを指します。
例えば、 “I run.” (私は走る)という文章があったとします。この文章の動詞は run (走る)です。そしてその run の後ろには動作の対象(目的語)が存在しないので、run は自動詞ということになります。
では、もしこの文章が “I run in the park.” (私は公園で走ります)であったらどうなるでしょうか。in the park(公園で)が動作の対象(目的語)となり、run は他動詞ということになるでしょうか。
この場合そうはなりません。なぜなら run の直後にある in は名詞ではなく、前置詞と呼ばれるものだからです。
直後に動作の対象(目的語)がないので、この run も前述した例文と同様に自動詞になります。
他の例も見てみましょう。
(私たちは駅に到着しました)
主語は we (私)、動詞は arrived (arrive「到着する」の過去形)、動詞の直後にあるのは at。at は前置詞なので arrive は自動詞ということになります。
日本語の文章だけ見ると、「駅」は「到着する」という動作の対象(目的語)のような気がします。しかし、いまやっているのは英語の勉強です。日本語の勉強ではありません。日本語の「感覚」ではなく、英語の「構造」で他動詞か自動詞かを判断しましょう。
また、この自動詞の直後にどの前置詞を使うかは動詞ごとに決まっています。
以上のことからわかるように、自動詞が用いられる文章は主語+自動詞、もしくは主語+自動詞+前置詞+動作の対象(目的語)のどちらかの語順になります。
まとめ
以上、この記事では他動詞と自動詞の違いについて解説しました。
- 他動詞:動詞の直後に動作の対象(目的語)が必ず存在している動詞
- 自動詞:動詞にそもそも動作の対象(目的語)が存在しない、もしくは動作の対象(目的語)の前にそれぞれの動詞特有の前置詞が入る動詞
どの動詞が他動詞で自動詞かはもともと決まっているもので、これは覚えないといけません。
しかし、「これは自動詞、あれは他動詞」と全てを暗記する必要はありません。他動詞のほうが圧倒的に数が多いので、自動詞だけ覚えてしまえば「把握していないものは全部他動詞」と判断することができます。
また、どの自動詞とどの前置詞がセットになるのかも覚えておかなければ実際に英語を使うことはできません。そこで、代表的な自動詞と前置詞の組み合わせと、それに加えて、自動詞と間違えやすい他動詞(つまり前置詞とセットにしたくなる動詞)をここで挙げておきます。
代表的な自動詞と前置詞の組み合わせ
- agree with~ 「~に同意する」
- approve of~ 「~を認める、~に賛成する」
- look at~ 「~を見る」
- refer to~ 「~に言及する」
- object to~ 「~に反対する」
- listen to~ 「~を聴く」
- depend on~ 「~に依存する」
- apologize to A for B 「BのことでAに謝罪する」
自動詞と間違えやすい他動詞
- enter~ 「~に入る」
- discuss~ 「~を議論する」
- marry~ 「~と結婚する」
- resemble~ 「~と似ている」
- mention~ 「~について述べる」
- consider~ 「~を考慮する」
その名の通り動作の対象となる語。「私はケンを殴った」という文章があったとき、主語は「私」、動詞は「殴った」、動作の対象)(目的語)は「ケン」となります。
この動作の対象(目的語)は全ての文章に存在しているわけではありません。「私は毎週末泳ぐ」という文章に主語「私」と動詞「泳ぐ」はありますが、「泳ぐ」という動作の対象はありません。
また、動作の対象(目的語)には基本的に名詞しかなれません。
「私は走ることが好きです」という文章の主語は「私」、動詞は「好き」、動作の対象(目的語)は「走ること」となるので、「『走る』は動詞なのに『好き』という動詞の動作の対象となっている。名詞以外も動作の対象になっているじゃないか」と思う方いらっしゃるかもしれません。
しかし、この場合「走る」に「こと」をつけることで「走ること」という1つの名詞になっています。動詞が動作の対象となることはありません。